石鎚山系(主谷):伊予富士谷遡行&伊予富士〜寒風山〜笹ヶ峰(縦走) |
【山行期日:2006.07.29-30】
九州、四国は待望の梅雨明け!夏山シーズン到来です!
四国山行は、恒例の沢登組と縦走組の共同企画である。昨年は、石鎚山周辺(雪瀑谷遡行+堂ヶ森/石鎚山縦走)と赤石山周辺(保土野谷遡行+東赤石山/八巻山)の山行だったが、今年は石鎚山系を南北に貫く寒風山トンネル駐車場ベースで計画する。 参加者は、10名。07/28、20:15、車2台で門司港出発。山陽道経由福山西ICへ向う。一旦ICを出て『しまなみ海道』にのる。夜間のせいか通行量は僅かである。(※しまなみ海道は、ETC深夜割引は適用されない) |
伊予富士谷遡行&伊予富士〜寒風山〜笹ヶ峰縦走ルート概念図 |
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■車1台をトンネル駐車場に置き、もう1台で谷取付きまで下降する。R194のトンネル行き旧道分岐の反対側に大保子谷林道への分岐がある。すぐ主谷を渡るが、渡る橋の手前に駐車する。支度して07:20出発。主谷右岸の林道を辿る。15分ほどで桂谷が左から出合う。桂谷も大きくうっかりすると間違いそうである。 ここで入渓、桂谷を渡渉、主谷にはいる。このあたりは谷幅が広く、河原も綺麗でゴミも少なく流れるが水は驚くほど透明度が高い。しかし残念なことに河原の彼方此方にトラックやレッカー車の廃棄車両が放置されている。河原を歩いたり水に濡れたりして辿れば、次第に大岩のゴーロ帯となる。ゴーロにはいると濡れることが多くなる。 |
主谷にはいるとしばらくは河原歩き | 河原歩きからゴーロの谷へ |
右岸、左岸と大岩を巻きながら 進めば 短いゴルジュ、問題なく通過 |
しばらく行くと短いゴルジュを通過、一旦開けるが又短いゴルジュに会う。茶褐色の壁と、ふりそそぐ夏の陽に輝く緑のコントラストが実に鮮やかである。30mはゆうに越えそうな側壁がのしかかるゴルジュ内には釜があり、早々と腰まで浸かって越える。ゴルジュを抜けると右から支谷が滝をかけて出合うと本谷には、少しグリーンがかったブルーの透き通る釜に豪快に流れ込む10m二条の直瀑がある。 |
短いゴルジュを抜けると谷は明るくなる | そこまでくっきり見える瀞 |
早々と腰まで浸かって越える | |
側壁の高い短いゴルジュ。緑が眩しい | 豪快な10m二条の滝 |
小休止の後、遡行続行。しばらくは平凡な河原とゴーロが続く。両岸が高まると左岸からすだれ状の滝が出合う。資料では15mとなっているがそれ以上ありそうだ。周囲の緑とよく調和しいい雰囲気の滝である。更に行けばゴルジュになり二俣に出る。左が伊予富士谷(横谷)、右は本谷である。いずれをとってもゴルジュ帯に入る。 |
二条の滝上流は平凡 | |
伊予富士谷/本谷を分かつ二俣 | 左岸から簾状の滝が出合う。 資料では15mだがそれ以上ありそうだ |
シルクの束のような7mの滝。右岸の、濡れて鈍く光る急峻なルンゼから高巻く |
チョックストンを越えてすぐ右手にルートをとる。しばらくトラバース気味に進めば涸れたルンゼが落ちている。ここで一旦谷に戻ることにする。ラクに注意して下降、ゴルジュに戻る。一息入れ進行!すぐに大岩の滝がある。釜はかなり深そうだ。水深が不明なので空身で右から取り付く。ほんの1,2歩だが胸近くまで浸かり大岩下に出る。岩の右下に空間がありそこをくぐれば水流の真中に出、ずぶ濡れで大岩に這い上がる。後続はザックを背負ったままで越える。次は斜滝、左手から越えるが、最後は強引に這い上がる。右手側壁が、大きくハングして覆い被さる所を通過すれば、少し明るくなるが、又もや釜を持つ滝に阻まれる・・・・高巻きせざるを得ないようだ。 |
大きなチョックストン。右から越える | 高巻ルートからゴルジュ内を俯瞰 | ガレと草付ルンゼを下降、谷に戻る |
ザックをロープで渡す。 後続は濡れるにまかせて通過 |
明るい斜滝、左手から越えるが 最後は強引に這い上がる |
右手側壁が大きくハングして覆い被さる。そこを通過すれば少し明るくなるが、又もや釜を持つ滝・・・・ やむなく2回目の高巻きにおいやられる |
左手から高巻き開始。ブッシュが密集し骨の折れるヤブコギになる。右手ゴルジュ側は下方が覗けずどうなっているのかまったくわからない。またヤブの切れ目がなく下降点らしきところが見つからないまま結果的には上へ上へ押しやられる。やがて枝尾根らしきところに出る。 少し見渡せるが、相当高いところまできているようで、谷ははるか下方のような気がする。 一息入れて地形図をチェック。現在地から推定するにもう少し行けば左からルンゼが落ちているはずである。 荷を置いて偵察に出かける。枝尾根を登りトラバースすれば右手ヤブが薄くなり、樹間に岩のルンゼが目にはいる・・・・あれだな・・・ルンゼまで適当にブッシュがあり、懸垂下降2−3回で何とかいけそうだ。 腹ごしらえして下降点に移動。25mほどの懸垂下降、2回で岩のルンゼに降り立つ。更に下部の滝の下降があるので、更に1ピッチ、15mの懸垂下降。少し下れば”懐かし”の谷である。 高巻きは汗ダクダク、おまけに泥で汚れ薄汚くなるるので谷に戻り水に触れると気分一新、蘇る。 下降した所はゴルジュのど真ん中、上流は切り立つ側壁と釜が待ち受けている。うかつに進むと進退窮まることになりかねないので空身で偵察に出る。左からヘツリ越えていくと谷は右に曲がる。上流を見ると大きな滝もなく見通しが利く・・・・OK、通過できそうだ。 ひんやりしたゴルジュ内は小滝があるだけだ。やけに明るく感ずる出口が見える。ゴルジュを抜けると5mほどの二条の斜滝、容易な左側から越えると明るいゴーロに出る。気分いいのでまた休憩にはいる。 次は小滝と樋状の斜滝、両足を突っ張って越えるが、よく滑り少し苦戦する。斜滝をこえてゴーロを行けば・・・またまた20m直瀑に行く手を阻まれる・・・・グリーンがかったブルーの釜、真っ白な水流、濡れて光る岩壁、それに木漏れ日が射す・・・・見とれるほど美しいが、我々は3回目の高巻き!を強いられる。 |
偵察終了・・OK、通過できますよ | 小滝を越えていくと出口・・・明るい! | 斜滝を楽しんだあと一息入れる |
少し滝登りを愉しむ(写真上、写真下)が、斜滝を越えると、またまた20m直瀑に行く手を阻まれる ・・・・3回目の高巻き! |
直瀑とルンゼは、偶然なのか、あるいはヒトが遊べるように神がそのよう創り給うたのか、いつも一対で現れる。ここも左の水量僅かのルンゼにはいる。あまり高く登らずできるだけトラバース気味に巻くように登る。先程と違いヤブはあまりうるさくない。適当なところから1ヶ所、30m懸垂下降し、更にブッシュを伝い下降気味に行けば、先方にスポットライトを浴びたように明るく大きく開けた岩の台地が視界にはいる。どうやら東黒森西沢が出合う二俣のようである。 左からの支谷をトラバースし、ロープを使って谷に降り立つ。7mの滝は右草付きから越え岩の台地に出る・・・・・オオ〜ッ、デカイ!、高い! |
左のルンゼから3回目の高巻きに出発 | |
明るく開けたところが東黒森西沢出合 | 二俣に立つと、谷のスケールの大きさにしばし見とれる |
左の伊予富士谷は18m+30m多段、右の東黒森西沢は、40m+50mの連瀑、 さて・・何処を詰めて登れるのか? |
伊予富士谷(左)と東頃森西沢(右)、いづれも迫力満点だが、 西沢の連瀑100mの落差は、大、大迫力! |
一息入れる。明るく広いこの二俣は、岩を縫って清流が流れ、涼味満点のそよ風が吹き、実に快適である。こういうところで一夜を過ごすせたら・・・・・と思うがここはまだ標高820m位か、きょうはまだ300mしかあがっていない。稜線までまだ900mもある。しかし時間はいつのまにか経ち、既に12:00をまわっている。今日は、少なくともゴルジュ帯は突破しておきたい。ここまでは高巻きまじえてうまく辿り着いたが、さてさて・・どうやらここからが本谷の核心部のようだ 資料では、中間の草付きから廻り込む、と簡単に記されている。それらしきところを探すが下部は岩で傾斜が強い。上部を見上げると立ち木のあるリッジが見える。あそこまで行けば立ち木伝いにいけそうだ。丁度真中あたりに右岩と左岩を分かつルンゼが延びており、それをあがれば立ち木までいけそうである。 (写真右:ルンゼ登攀) ザイルで確保して登行開始。苔むすルンゼは、詰まった泥や落ち葉を払えば、適当にホールド、スタンスが見つかる。15mで草つきのレッジにでる。ブッシュにランニングをとる。上部は傾斜がまして苔で覆われている。剥がすと何とか使えそうな手がかりが出てきた。とっさの場合、ビレイヤーは近くのほうがいいので一人レッジまで上がる。 (写真左:上部の白ヘルが、終了点) ザックを置いて上部にかかる。細かいホールドに頼りに一段上がる。左手に頼りなさそうなブッシュがあるが、ないよりはましだろうとビレイをとる。もう一段あがらねばならない。そのブッシュを抜けないように左でそっと掴み、右は岩を突っ張るように掴んでジワリと体を上げる。 ルンゼは次第に狭くなり、足を突っ込んでジリジリずり上がればルンゼの消えるところに太い木の根っ子が2本、慎重にずり上がりそれをしっかり掴む!・・・・・シュリンゲをしっかり巻いてビレイ、これで一安心だ。 左へ草つきの壁を3mほどトラバースすればレッジに立ち木がある、がこの一歩がいやらしい。何かないか、と草付の壁をさがす・・・と、丁度、ほしい所に小さな木の根を発見!これでザイルスケールで35m位の登攀無事終了! 後続は、確保されているとはいえ15kg近いザックかついでの登攀!・・・・そんなに楽じゃな〜い 上部は立ち木伝いに行く。次第に痩せてくると、右に東黒森西沢の上部の50mが、左には伊予富士谷上部の連瀑が見える。この高巻きルート選定が最適がどうかは判らないが・・・仮に谷心に沿っていけたとしても直登は無理だろう。やがてリッジは太い尾根に変わり、ごく普通の斜面を行くようになる。左手樹間には大岩壁がチラチラ望まれる。この高巻きを終えて、東黒森東沢に出合えば本遡行の核心部終了と考えてよいだろう。 |
伊予富士谷上部の連瀑 | 東黒森西沢上部の50m直瀑 | 伊予富士谷をはさんで広がる 100mの岩壁 |
適当なところから懸垂下降をまじえて谷に下りる。本日4回目の高巻き終了・・・久しぶり?に水に浸る。やはり水際がいい! |
左岸より東黒森東沢が20mの滝で出合う | 右岸に20m斜滝、本谷奥に2段45mの斜滝 |
100mの高度差を誇る岸壁も このあたりで樹林帯に吸収される |
耳に優しい静けさで落ちる 2段45mの滝 |
2,3の斜滝を越えるとインゼル。時間的にもサイト条件としてもビバークには最適! |
カンペイ!・・・お疲れ様です。昼下がりの酒が一番です | 沢好きは火遊びが好き? |
北面の谷の朝は遅い。5時には起床するが未だ薄暗い。今日は、残り800m弱を登るだけである。遡行図では、35m滝が1ヶで、あとは小滝、ナメ滝の連続、と記載されている。これより上部は、ごく普通の谷のようである。3時間も歩けば稜線に出られそうだ。 |
二俣を過ぎると水量僅かの小滝やナメ滝が続くが、次第にゴーロからガレ谷になる |
多くの登山者で賑わう 伊予富士(1756m)山頂 |
桑瀬峠に向かう。高知県側は晴れている |
伊予富士山頂をあとにし縦走路を桑瀬峠に向かう。高知県側は晴れているが愛媛県側はガスがかかっている。笹原の縦走路であるがお花も結構愉しめる。桑瀬峠についたところで縦走組から電話が入る。もう中七番についたのかな?と思ったが、そうではなくガスのため道を取り違え一ノ谷に下山したらしい。新寒風山トンネル出口で待っている、とのことだ。 平家平経由で中七番に下山したとしたらえらい早いな!と思ったが・・・・まあ出来るだけ早くお迎えに行きましょう。桑瀬峠からよく整備されたジグザグ道を下降、11:45トンネル出口の駐車場に到着。駐車場は登山客や観光客で満車のようだ。 簡単に整理し取付へ移動、もう1台を回収、新寒風トンネルを通って縦走組を迎えに行く。 |
【Reported by Y.Kubo Photo presented by K.Akazawa】
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