アラスカ:デナリ(マッキンリー)遠征 No.2 |
■活動報告 |
6.15 天候は晴。荷揚げ品をザックとそりにパッキング、7:05出発する。ルートは明瞭である。急角度でせりあがる末端峰を正面に見据えて急雪壁を登る。 下半部は緩傾斜だが中間あたりから急になる。初めはスノーシューズでスタートしたが、急傾斜の為途中でアイゼンに履き替える。急傾斜でのそり引きは堪える。 |
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2時間ほどでモーターサイクルヒルに出る。ここにスノーシューズをデポ、方向を少し右寄りに取り一部氷化した急雪壁を1時間ほど登りつめると傾斜が落ちる。ここから末端峰を回りこむようにルートがつけられている。次第に傾斜は増し高度は富士山を突破、足の移動がおそ〜くなる。 外人部隊が何組も追い抜いていく。同じ歩数でもストロークが違うから遅くなるのはわかるが、それだけでなくガンガン登りまくっている、という印象を受ける。荒木さんの話では外人は概して高度に強い、ということだった・・・・とにかく強そうだ! 左:荷揚げ出発準備 |
ウェストバットレスの末端峰を廻り込むあたり(ウィンディコーナー)から円錐の斜辺を登行する格好になり、そりがトレールからはずれて自分の右下を滑る形になる。その下方にはクレパスが大きな口をあけて舞っている。ヤバイ、やばい!傾斜地の場合でも塩ビパイプを介して引いているため何とか引いている形になっているが、ロープだけだったらとても大変だろうと思う。 |
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やがて平面度がますとキャッシュ予定地点:4100mである。11:55着。すでに荒木さんが雪穴を掘り待っておられた。いつもいつも先行してもらい有り難うございます。 食料、装備、そり、等を収納、Permission Noと下山予定日を記載した旗竿を立てる。12:15、C3への帰途につく。 |
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モーターサイクルヒルあたりまで下降すると小雪が舞いはじめる。さらに急坂を下降していると岡野さんにあう。今から4100mまで行くとのこと・・・・気をつけて!・・・・風も強くなり雪も舞ってきた。大丈夫かな? C3着は14:05。小雪は降り続く。5名(C1以降、夕食は荒木さんといつも一緒!)で夕食を済ませ、岡野さん大丈夫かしら、と思いつつ急坂を見てたら・・雪の舞う中、20時ごろ黒い粒が一つ、ゆっくり、ユックリ降りてくる・・・そう、それは岡野さんでした。みんな彼女の強さに感心! 風雲急を告げる!フォーレイカーにかからんとするレンズ雲⇒ |
C3からモーターサイクルヒルへ。右下がC3 | モーターサイクルヒルからウィンディコーナーを目指す |
彼方の稜線を回り込むあたりがウィンディコーナー | 4100mにキャッシュ。標識は必ず立てねばならない |
6.16 昨夜は、雪が降り続いていた。8:00起床。30-40cmの積雪でテントが押されっぱなし!仕方ないので除雪作業に出る。我々は、広く整地された所に設営しているので、空き地に雪を放り投げる。9:30-13:30まで、ブランチをとりながら荒木さんを囲んで懇談会。チョモランマ、チョーオーユーなどの高所登山の話を聞く。荒木さんの話を聞いていると、我々のレベルでも、ひょっとしたら行けるかもしれない!と思うから不思議だ。 高所では水分の摂取が重要。毎日2-3リッターは必要・・・夜中に小用に起きるぐらいがいいよ。出すことで不純物が体外に出、高度順応がうまくいく・・・・コーヒーは利尿作用がある・・・荒木さんの一言は、高所を目指す我々への福音?・・・・今まであまりうれなかったコーヒーがなぜかしら急にうれだした!・・・結構、『嵐』は単純なんですネエ。 |
この間も雪は降り続く。14:00〜15:30、本日2回目の本格的除雪・・・・・それにしてもよく降る。夕方、もう1回除雪をせざるを得ないくらい雪は降り続いた。昼間、松本さんも顔を出し、山の話は尽きない。今日は予定では休養日だったので、悪天と重なり1日得した勘定? |
多量の降雪に埋まってしまいそうなC3 | 1日3回出て除雪作業に精出す |
6.17 8:40起床。昨日同様、テントが埋もれつつあり。除雪作業に精出す。今日は、終日吹雪!で停滞。夕方より少し明るくなり好天の兆し。明日行動可能になればいいが・・・・昼間岡野さん来訪!・・・岡野さんの山生活・・・冬の知床・・・・厳冬期の知床か、・・・ロマンあるネエ。なんか冬の知床に行きたくなってきた。 |
停滞の日は、テントの中で愉しく過ごしましょう(岡野さん、来訪) |
6.18 7:00起床。日本だったらもっと早く起きるのだが、暗い夜がこないから寝つきも悪いし朝も遅くなる。天候は回復したようだ。今日は、4100mのキャッシュ回収し、MC(メディカルキャンプ)まであがる予定。C3に残すものをまとめ識別用の旗竿と嵐隊フラッグを立てる。2日続けて多量の積雪があり、急斜面の新雪表層雪崩が気になっていたが、すでに先行パーティがありそれをみる限り心配なさそうである。 | ||
11:00、アンザイレンして出発。急斜面取り付く。中間辺りから上部は新雪は風で飛ばされカリカリの堅雪剥き出しだ。荷上げした上、不要品はC3に残したが・・・ザックが重〜い!・・・息が切れぬように登行を続ける。 モーターサイクルヒルに出ると風が強くなる。ウィンディコーナーへ向けて方向をチェンジ、急雪壁に取りかかる。 向かい風が強い・・・・かなり強い・・・・進むほどに強力になる!・・・う〜ん、とても立っていられない!思わず這いつくばる・・・富士山で吹き飛ばされた時と同じだ・・・しかもこの風、息が長い・・・・立てないからアイゼンのツアッケ引っ掛けて匍匐前進(漸進)・・・・少し弱まると立つ、が又すぐ膝を突かざるを得ない。・・・・格闘すること2時間でやっと登り切り上部に出る。 やれやれ、と思ったらちょっとしたミスで6人用テントのポールを落とした!とのこと。幸い途中にひっかかっているらしい・・・すぐザイルで確保、100mほど下降して回収。この作業でつい息がゼイゼイになる。このゼイゼイが停まり平常に戻るまで30分以上要する。 |
上部に出ると幾分風は弱まるが、我々も相当消耗しているのでいつもよりペースダウン。ウィンディコーナーを通過、キャッシュした4100mについた時はなんと18:15!になっていた。遅く出発した荒木さんは途中で我々を追い抜き今日も先行、丁度、荷を掘り起こしている所であった。 |
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そりに荷を固定、牽引ロープをハーネスにセット、いざ出発!う〜ん、重い!しかも我々のそりは幅が広いのに深く刻まれたトレールの幅は狭い!。そりの側面がこすれるので重さに加えて摩擦抵抗でさらに力が要る。トレースを外すとそりの抵抗は少なくなるが膝までもぐるラッセルになる。どっちもどっちだ!・・・・とにかく、きつい!・・しかしあと僅か標高差:200mだ・・・・ ヨレヨレになりながらも21:45、MC着。でもまだ作業がある。本格的なベースを作らねばならない。 疲れた体に鞭打って整地、雪ブロックを積みテント設営。これでホントに終了。夕食を作る気力も出ず、スープ類と行動食で簡単に食事しシュラフにはいる。長い1日が終わる。 |
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←モーターサイクルヒルに出ると強風が吹きつける。以降、2時間以上にわたる風との闘いになる |
猛烈な風に抗してウィンディコナーを目指す | 風との闘いが終りウィンディコーナーを通過 |
彼方の台地がMC・・・まだまだ遠い! | MCにベースキャンプを設営する |
メディカルキャンプから望むフォーレイカー |
メディカルキャンプから望むハンター |
頂稜を仰ぐ。マッキンリー南峰は、このバットレスの2000m(標高差)彼方! |
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★アンカレッジ〜タルキートナ〜LP(Landing Point)〜C3:【6.05〜6.14】 |
★MC(Medical Camp)〜HC(High Camp):【6.19〜6.23】 |