ロシア:エルブルース山行報告 T
■日程: 平成28年 7月23日〜8月 9日
■参加者:赤澤和行、栗原ちかこ、溝尾幸一、岡村眞由美、岡村繁雄
エルブルース(5,642m)は、ヨーロッパおよびロシアの最高峰でもある。今回、平成27年末のマウントクック登攀に引き続き、高千穂ガイドに手配を依頼した。はるばるロシアまで足を延ばすということで、後半にはロシア観光を組み入れてもらった。 18日間の前半8日間は、入国とエルブルート登山、その後3日間でエルブルース東南部のイリクチャット渓谷山域のトレッキング。その後、サンクトペテルブルクへ移動し周辺の観光、最後に列車でモスクワに移動後、半日市内観光、帰国という行程であった。 とにかく広い国土だが、サンクトペテルブルク、モスクワから一歩郊外に出ると豊かとはいえない国情が感じられた。 エルブルース登頂後、ガイドのアンドレさんに紹介されたチェゲトのウールマーケット(お土産店)では、店のおばちゃんの愛嬌と安さで、あさるようにお土産を物色、観光も満喫した。宿泊施設は、ヨーロッパ等に比較すると多少難ありのところもあったが全般的に問題はなかった。 |
期日 | 行 程 | 宿泊場所 |
7月23日 |
航空機で上海経由モスクワへ移動 |
モスクワ郊外 アビアター シェレメチボ ホテル泊 |
7月24日 |
航空機でモスクワからミンボディへ、さらに車でチェゲトへ移動 |
テルスコー・チェゲト |
7月25日 |
高所順応トレーニングハイキング |
テルスコー・チェゲト |
7月26日 |
チェゲトよりボチキ小屋へ移動後、高所順応トレーニング 昼食後、ボチキ小屋 → 標高約4,200mの「シェルター11」の跡地までトレーニング登行。(歩行:登り 約3時間、下り 約1時間) |
ボチキ小屋 泊 |
7月27日 |
高所順応トレーニング (歩行:登り約5時間、下り約2時間程度) |
ボチキ小屋 泊 |
7月28日 | スノートレーニング&休息 | ボチキ小屋 泊 |
7月29日 |
エルブルース山頂アタック |
ボチキ小屋 泊 |
7月30日 |
ボチキ小屋よりチェゲトへ移動 |
テルスコー・チェゲト |
7月31日 | ||
8月1日 |
チェゲトよりベースキャンプへ |
イリクチャット |
8月2日 |
トレッキング |
イリクチャット |
8月3日 |
"Green meadow”ベースキャンプより下山 |
ルスコー・チェゲト |
8月4日 |
サンクトペテルブルクへ移動 |
ンクトペテルブルク |
8月5日 |
サンクトペテルブルク市内観光 |
サンクトペテルブルクHOTEL NEVSKYKOWFORT 泊 |
8月6日 |
サンクトペテルブルク市内観光 郊外のペトロドヴォレツ宮殿へ(ピョートル大帝の夏の宮殿) |
サンクトペテルブルクHOTEL NEVSKYKOWFORT 泊 |
8月7日 |
モスクワへ移動 |
モスクワ |
8月8日 |
モスクワより帰国 |
機中泊 |
8月9日 |
福岡へ帰国 |
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7月23日〜24日 福岡空港を出発し上海経由でモスクワ到着後、手配の車で郊外のホテルで宿泊。ホテルの食堂で、カウンターの棚にあるワインを飲みたかったのだが英語が通じず、結局ワインをあきらめウオッカを飲むこととなった。 ロシア語でワインは、「ヴィノー」と言うらしく、まったく言葉が伝わらない不自由さを改めて痛感した。モスクワから空路ミンボディ空港へ、そこで今回ガイドのアンドレさんが手配通り車で送迎に来てくれていて、一路テルスコー・チェゲトへ車で約5時間。 結局、福岡を出発し途中モスクワで1泊し約20時間の移動時間を要してチェゲトへ到着。 |
テルスコー・チェゲトのホテル (Esen Hotel Terskol) |
ホテルでの夕食 (左がガイドのアンドレさん) |
7月25日 一回目の高度順応は、3,150mのエルブルースが展望できるというとこまでのハイキングである。テルスコー・チェゲトのホテルを出発、ホテルから町の郊外へ約一時間歩いて、登山口へ。ぼろぼろの牛小屋の間を通過し、林道をてくてくと登って行った。 |
登山口までの道すがら、 左の黄色のパイプはガス管 |
登山口にあるぼろぼろの牛小屋 |
林道をてくてくと登っていく |
滝を左手に見て進む | 前方今回のゴールの観測所らしい建物 |
トレーニング終了点にて〔3,150m〕 |
下山道、周辺の山並みが広がっている。 前方にドングスホルスを望む |
放牧されている牛の横を通過 |
標高が低い場所には、お花畑が点在していた |
ボチキ小屋付近より、トレーニングで登った3,150m地点、 観測所らしい建物を望む〔望遠〕 |
高度が下がると周辺には、お花畑が随所に広がり目を楽しませてくれた。今回、エルブルースの登山だけを考えハイキングシュースを持参しなかったため、冬用の登山靴で全ての行程を歩くこととなり、靴が重たく苦労した。 |
7月26日 ホテルより車でロープウエイ乗り場の「アザウ山麗駅」へ移動。小屋での食料も一緒に荷揚げする。ロープウエイとチェアリフトを乗り継ぎ「ガラパシ駅」へ、徒歩で数分の場所にあるボチキ小屋〔3,750m〕へ到着。 |
山麗駅「アザウ山麗駅」より | ロープウエイよりアザウ山麗駅を望む |
ボチキ小屋 正面が食堂 |
左奥が食堂 | 小屋の内部 |
ボチキ小屋とエルブルース(左のピークが西峰〔5,642m〕) |
午後より高所トレーニングへ出発(右のピークが東峰〔5,621m〕) |
短パン姿の男性と登るカップル | 客を乗せた雪上車が、 我々が休憩している横を通過 |
高所順応トレーニングより下山、前方ボチキ小屋 |
25日から27日の3日間は、高度順応トレーニングのため上がっては、下りを繰り返して徐々に、体を高度にならしていった。26日は、エルブルースのスキー場のような斜面を標高4,200m付近まで、27日は、標高4,800mを目標にしていたが、天候が崩れてきたため4,600m付近までのトレーニング山行となった。 この数日比較的天候は、安定していた。傾向としては、朝はよく晴れても午後には天候が崩れ、雪やみぞれになる。 |
早朝ボチキ小屋よりドングスホルス〔4,454m〕を望む(望遠) |
早朝ボチキ小屋よりウシバ〔4,719m〕を望む(望遠) |
7月29日 ボチキ小屋、2時起床簡単な朝食を取り、3時小屋を出発。小屋の下に待機していた雪上車に乗り込み、標高5,100m地点まで一気に上がって行った。 標高5100m地点3時52分に到着、まだあたりは真っ暗。アンドレさんを先頭にエルブルース東峰をトラバースしながら東峰と西峰のコルを目指して進んだ。途中、日が昇る際に、エルブルース東峰のシャドー(影)が、斜め前方に現れなかなか幻想的な風景を味わうことが出来た。 東峰と西峰のコル〔5,300m〕に5時50分到着。 |
雪上車の荷台に、乗車 | 朝焼け |
エルブルース シャドー |
雪上車では、荷台に乗っているだけであるためかなり冷えたが、歩きだし日が昇るとぐんぐん気温も上がり、ほとんど風もなかったため、思ったほど寒さは感じなかった。 私は、アンドレさんがゆっくりとしたペースで登ってくれたおかげで、空荷でもありパーティーの前後を移動し、周りの絶景をカメラに収めることができた。徐々に夜が明け、朝焼けの素晴らしいパノラマを見せてくれた。 |
コーカサスの山々 |
エルブルース東峰のトラバースの登り | 東方の影が眼下に見えだした |
前方エルブルース西峰 | コルから西峰の登り |
コルからの登り |
山頂間近、 後方奥は東峰のピーク |
前方のピークが エルブルース西峰の山頂 |
エルブルース 山頂〔5,642m〕 7月29日7時25分に、ヨーロッパ最高峰のエルブルース山に、5名全員、登頂しました。 |
東峰のトラバース 天候に恵まれ、全員山頂を踏めたので、下山時には、みなさんリラックスしていました。 |
下山時、コルからエルブルース東峰 のトラバース |
前方 右下付近がボチキ小屋付近 |
雪上車を待ち待機状況 | 雪上車に乗車 |
下山時の雪上車内 傾斜がきつい |
ボチキ小屋の前まで雪上車で下山 |
今回は、5,100m
地点まで雪上車で、約1時間弱で到着。雪上車1台(定員10名)で、往復1,800ユーロ(登り1,000ユーロ、下り800ユーロ)の費用だが、我々5名+ガイド2名で、他に3名の同乗者を確保してもらい、登り700ユーロ。 下山時には、4,600m 地点まで歩き雪上車に乗車、他の同乗者もいたことから、400ユーロで乗車することが出来た。 |
ボチキ小屋前での記念撮影 | ボチキ小屋 別棟の食堂での朝食 |
ボチキ小屋よりエルブルースを望む(望遠) |
ボチキ小屋より南側の山々を眺望 |
ボチキ小屋のトイレ | 30日ボチキ小屋より下山 |
カラバシ駅よりリフトで下山 | 前方左方向がアザウ山麗駅 |
高所登山は、その時々の天候に大きく左右されるが、今回天候に恵まれ個人差はあるものの、思ったより高度順応もうまくいき楽に登頂することが出来た。 比較的天候が安定している感じであるが、運が悪く余裕がないと登頂できないケースもあるようである。おそらくエルブルースの登頂を目指す登山者は、そこそこ歩く人であろうから、後は高度順応と天気次第ということになる。 現地までやや時間がかかるが、物価も安く食べ物も多少の好みがあるものの美味しく、全般的に登山と観光を楽しむことができた。今回の手配は、高千穂ガイトを介してロシアのセットネバ社及びブルードリーム(モスクワ)により行われ、現場では毎度ながら溝尾さんが全て英語で対応してくれた。 複数の現地スタッフにより、つつがなく全行程を楽しくこなすことができたことに感謝したい。 (イリクチャット渓谷の山行報告Uは、別紙記載。) |
エルブルース概念図 | 各自にセットネバ社より発行 された登頂証明書 |
Report & Photo presented by Shigeo Okamura