八ヶ岳:御小屋尾根〜阿弥陀岳
2010.04.17-18

参加者:三栗、西方、新谷哲磨、赤澤、久保、以上5名

 
 ゴールデンウィークまで2週間ほどであるが、諸般の事情で日程が合わず参加できない会員もいるし、3月の連休、八ヶ岳を計画したが天候が悪く中止・・・など等あって、5月のトレーニングをかねて八ヶ岳に出かけることになった。参加者は、5名なので車1台で出かける。

 16日午後北九州出発、夜半に現地入り、少なくとも5,6時間は睡眠時間と取って、明朝早出し、舟山十字路からラッシュで阿弥陀岳〜赤岳〜キレット〜権現岳〜舟山十字路の1泊2日の少し欲張った周回ルートを計画した。

 3日間とも好天の予報だったのに前日になって、1日目の17日午前中”雪”の情報に変わる。好天続きだったので残雪は少ないと判断、周回を計画したが・・・・・降雪となれば変更せざるを得なくなりそうだ。


 16日午後予定通り出発。風は強いがいい天気である。しかし中央道に入ると事情が変わる・・・・伊那北〜小淵沢通行規制!の標示が出るようになった。ほんとに雪のようだ・・・・伊那北から通行規制、かなり降っている。

 進むほどに路肩の雪が多くなり真冬のような雪景色になってきた!4月半ば過ぎの山里の降雪!多分、ここ数年はこんな天候はなかっただろうと思う。
 
 荒れさえしなければ絶景を楽しめるかも知れないね・・・・とはいうものの今日の泊りをどうするか?が問題だ。

 いろいろ案が出たが、無難なところで”道の駅”に行くことにする。ここで正月の経験が役に立つ・・・黒戸尾根下山後、立ち寄った温泉付道の駅に向かう。

 広い駐車場の隅に6人用設営・・・・すぐ就寝!とはならないのが、我々の悪い習慣。お酒の好きな面々なのでやはり少し潤して横になった。夜半、風は強く降雪は続いたようだ。


【Photo:満開の桜を飾るなごり雪】


山行報告
 
 4月になると夜明けが早い。明るくなるころには小雨に近い”みぞれ”模様になる。それでも空は明るいので早めに好天になるよう期待してテント撤収する。
出発する頃になると雨はやみ急速に天候が回復してきた。午前中雪の予報だったが、意外と早く回復しそうだ・・・・・天候は期待以上のスピードで回復に向かう。諏訪南ICを通過、八ヶ岳ズームラインに入る頃になると新雪を輝かせるように春の太陽が顔を出す・・・・・やはり春ですね!同じ雪なのに冬のような重苦しさは全く感じさせません。

 
 484号線に突き当たる。ここは左折するが、轍がありスムーズに走行。しばらく進んで八ヶ岳美術館の先から右折するが、左手に別荘地があるにもかかわらずここからトレースがない。多分大丈夫だろうと新雪の道路にのりこむ。積雪量と車高がちょうどいい具合なのか、ノートレースの雪道を快適に走行、ゲートに突き当たる。ここが舟山十字路(標高:約1620m)である。

 
八ヶ岳ズームラインを走る 舟山十字路へ向かう
 
 
 天候はすっかり回復、すっかり雪化粧した樹林とブルースカイのコントラストが眩しい。雪のため当初計画を変更、今日は御小屋尾根の適当な所に泊まるのでのんびり行くことにする。8:00出発。

 ゲートを越えしばらく行けば二手に分かれる。直進は阿弥陀岳南稜取り付き方面、御小屋尾根方面は左手の林道である。
 トレースなしの新雪踏んで蛇行する林道を進めば、40分ほどで林道終点である。ここから山道に入る。

 しばらく進んだ後ルートは末広がりの尾根を左へトラバースするように登るようになる。尾根筋と思われるところから右折、東に向きを変える。あちこちに冬季のものと思われるテープや、所有権?もしくは管理権?を示す札の束が埋められている(ガイドブックでは、財産区境界標識とのこと)・・・たぶんこれを追えば正しい?尾根筋を行くことになうんだろう。

 新雪は10cm程度だが、当然のことだがないよりは時間がかかる。適当におしゃべりしながらボチボチ歩く。


 急坂はないのでのんびり行けば11:00頃、御小屋山(標高:2136.7m)に出る。美濃戸口からの登山道が左手から上がってきているが、今日は新雪でトレースはない。ここからしばらくは平坦な尾根になる。もう先は登下降はほとんどないのでついつい気が緩んで楽しくなる・・・何もかも天気がいいせいだ。
 
 右手、立場岳や権現岳方面の眺望がきくようになってきた。いくつかテンバに良さそうなところを見送り進めば2張に十分な右手が開けた所に出た。時刻は、11:30でちょっと早いがここで泊ることにする。標高:2150m位で、この先もテンバはあるかもしれないが、時間的に大差ないだろう。
 
 春の暖かい日差しを浴びてのんびり午後を過ごす・・・・アルコールが少々不足したが、なんとかしのいで早めの就寝となった。

ほぼ平坦な尾根に出たので気が緩み楽しくなる・・・・この天気ですから楽しくないはずない!

好天に恵まれ久しぶりにのんびりし、日向ぼっこ愉しみました・・・・勿論、アルコール付でね


 18日、今日は阿弥陀岳(時間に余裕あれば赤岳)往復する。出発は、05:35。昨日午後、単独行の方が登って行かれたのでトレースがある。いくつか少しばかりの起伏を越え登りにかかると不動清水入口の標識がある。以降、急坂になるのでアイゼンを装着する。新雪の下に潜む氷化した堅雪に注意しながら登って行けば、次第に灌木林に変わり見通しが良くなってくる・・・・・・ふりかえれば新雪で見事にデコレートされた南ア、北ア、中アの嶺峰が朝日に輝く!

頑張って行きましょう!出発は、05:35 立場岳青ナギあたりにかっこよく顔を出す権現岳
輝く北アルプス(乗鞍岳、穂高岳、槍ヶ岳、常念山脈)の嶺峰
まさに白銀に輝く北岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈ケ岳

 やがて阿弥陀岳の頂稜が見えてきた。森林限界過ぎると急な登りが続く。幾分ジグザグ気味に登ればスラブ状の岩場。表面が氷化しているので注意していく。最後は急な雪壁になる。ここはフィックスザイルがあり一部露出している。雪壁を登りつめると最後は文字通り氷の壁で3mぐらいか。ありがたいことにフィックスがありこれをつたえばひょっこり頂稜に出る。新小屋尾根方面を示す立派な標識がある。たぶんここが阿弥陀岳北西稜の終了点? 阿弥陀岳のピークはもう少し先だが、360度の眺望は申し分ない。

森林限界過ぎると急な登りが続く・・・・新雪の下は凍る堅雪だから要注意!

 痩せた岩稜を少し進み、岩のコブを右から巻いて雪壁をトラバース気味に登れば岩のピークに出る。阿弥陀岳側に鎖と梯子がセットされている。注意深く越え少し登れば阿弥陀岳のピークである。ピークは結構広い。正面に赤岳、右手にはキレットから権現岳に至る稜線、左手奥には南北に大きく延び西面を岸壁でかためた横岳の岩稜、背後には南アルプス北部の山々、遠くに中央アルプス、遥かかなたに北アルプスが望める・・・・今日は季節は春だが、たぶん眼前に展開しているのは冬季の景色だろう!期待通りの絶景!に巡り会えました。

 ピーク着が08:40、テンバから3時間強かかった。帰り1.5時間として赤岳を往復をプラスすれば4時間はかかりそう・・・・・明日午前2,3時に帰北のためには、遅くとも15時頃には出発したい。やはり時間が足りなくなりそうなので赤岳はまたの機会にして下山することにする。

御小屋尾根取り付きの標識からコブと岩塔を越えねばならない
・・・両側スッパリ切れているので要注意!
岩稜をたどりコブをまいて岩塔から鎖、梯子をつたえば阿弥陀ピークはすぐそこである
阿弥陀岳のピークへもう少し! カッコいい!ね・・・阿弥陀岳ピークで記念撮影

権現岳。遠景は甲斐駒、仙丈、北岳 八ヶ岳主峰:赤岳
南北に延びる横岳と西壁
阿弥陀岳ピークから望むキレット〜権現岳の稜線、遠くに北岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳


 帰りは安全を期してザイルを出すことにする。下降開始、09:10。氷まじりの雪壁を確実に下降するところまでザイル確保で進んだ。
テンバ着が11:10。テント撤収、出発が11:40。下降するほどに急速に残雪は消える・・・・・ゆっくり下降したがそれでも舟山十字路には13:10頃到着となる。ほぼ予定通りの時間に到着した。
 すでに路面に雪はなく、昨日の雪景色が嘘みたいに季節相応の春山になっていた。

下降の方が難しい!・・・・新雪の下は凍る堅雪、安全を期してザイルを出す

中ア、南ア、等など素晴らしい景色を愛でながら下降・・・テント撤収
・・・・帰り着いた駐車場は春山に戻っていました


 手際よく荷物を整理、まずは温泉に向かう。諏訪南ICから国道に出て山梨側に少し行ったところにある、”ユートロン 水神の湯(100%源泉 かけ流し ¥700)”でひと汗流すことにした。スキーシーズンオフなので客は少なくゆったり!レストラン付きなのでついでに食事もする。
 
 さわやかな春風をいっぱい吸い込んで八ヶ岳山麓を後にしたのは15時半過ぎでした。運よくたいした渋滞にも合わず帰北したのですが、一点だけ判断ミスがありました。

 恥ずかしいやら情けないやら・・・佐波川SAのスタンドが22:00終了!しており美東まで行けそうになかったのでやむを得ずJAFの世話になりました。最近、中国道SAの夜間の営業時間が変更になっています・・・・皆様、お出かけ前にご確認下さいませ。

ともあれ2時には無事門司駅着!参加者の皆さん、お疲れ様でした。



当初の計画
■ルート:舟山十字路〜御小屋尾根〜主稜線
 1日目は、赤岳⇒キレット小屋あたりまで行く予定。頑張りましょう!
 2日目は権現越えて西岳経由で登山口:舟山十字路まで。
かなり長い行程ですので軽量化に努めてください。

■共同装備:
●テント:2名用(西方)、3名用(久保) ●ザイル、スコップ:久保 ●ガスヘッダー、カートリッジ、コッフェル、等:西方・三栗組で1セット、新谷・赤澤・久保組で1セットとします。●その他:アイゼン、ピッケル等春山装備一式。ワカン不要 ●食料:各自。1泊2日なのでできるだけ簡単に!●ヘッドランプ:必携!

■集合時刻:門司駅北口出発14:00


出発前日
●4月にしては珍しく明日は積雪がありそうです。 念のためワカン持参してください。
●雪が多いようだったら、御小屋尾根で1泊、好天が予想される日曜日に赤岳往復に変更します。


参加者の一言
●冬なのか?!春なのか?!わからない気象でしたが、山行中は素晴らしい晴天に恵まれ、美しい景色を堪能出来ました。
●思いがけぬ雪と晴天で絶景の連続でした。
●本当に思いがけない雪景色に、絶景かな!絶景かな!でした。
●この尾根、舟山十字路から 標高差:1200mあります。2100-2200mあたりに幕営適地が多く、上部は眺望抜群!しかも少し緊張する個所もあります。また少し頑張れば赤岳や権現岳周回も可能なので結構楽しめる尾根だと思います。





Reported by Y. Kubo
Photo presented by T. Shintani & K.Akazawa