2010.03.22
|
天候は晴れ!早めに起き、テント撤収して登山口へ向かう。既に数台の駐車車両がある。支度をして春近し、とはいえまだまだ冬枯れのブナ林に入る。 樹林帯は残雪十分でブッシュなどまだ雪に押さえ付けられたままである。雪は締まっているのでどこ歩いてもほとんど潜ることはないが、トレースがあるのでそれを拾いながらのんびり歩を進める。 しばらく行けば右手奥にピークが朝日に輝く烏ヶ山の頂稜が見えてくる。鳥越峠が近くなり傾斜が増すとスリップして歩きづらくなってきたのでアイゼンを装着する。急坂をあがれば鳥越峠である。 |
登山口出発! | ブナ林を行く | 木間に顔を出す烏ヶ山 |
|
薄紅色に染まる雪面を下り駒鳥小屋方面に向かう。【写真左下:駒鳥小屋】 |
地獄谷は既に水流が出ている。ゆるやかに蛇行する流れは雪解け水で結構な水量だ。しかし広い河原のブッシュや岩はまだまだ雪に埋もれたままである。春を告げる水音を聞きながら雪の台地をぶらぶら烏谷の取付まで下降する。風も無くポカポカ陽気に包まれていい気分だ。 3ヶ所ほど渡渉すれば烏谷出合である・・・・・見ると出合の滝は夏と変わらぬ水量で落ちている。 たしか、烏谷は出会いから少し進んだところがV字のゴルジュになっていたはず!こんな水量では快適に行けそうも無く沢登?になりそうだ。もっと雪の多いときに出直すことにして撤退!、鳥越峠からのルートに変更することにする。戻りましょう! |
春浅き地獄谷の散策!と行った気分です |
3ヶ所ほど渡渉するが濡れることはない | 烏谷出合の滝 |
夫婦滝 | 白い台地から残雪の山嶺を仰ぐ・・・少しのんびりしませんか! |
撤退といっても300mほど登り返すだけだし天候もいいのでもさほど苦にはならない。正面、遠くに残雪の主稜線を見ながらゆっくり登り返す。今の時期、ブロック雪崩さえ注意すればどこでも歩ける季節である。鳥越峠に出るまでも無いので駒鳥小屋まで行かず一つ手前の支谷に入る。 下部は少し急で狭い谷だが上部は開けて台地状になる。振り返れば矢筈ヶ山・甲ヶ山、そして槍尾根が望めるようになる。最後の急坂を頑張って尾根筋に出る。 |
駒鳥小屋より一つ手前の支谷に入る・・・・風は無く鳥も囀る気持ちいい谷である |
彼方に矢筈ヶ山、甲ヶ山 | 槍尾根〜大山主稜線を望む |
稜線に出る。雪は固く部分的に氷化しているのでアイゼンは外せない。ひと登りでピークに出る。ここからいったん緩やかに下る。いつしか2月だったっと思うが大雪のとき下降ポイントが判らなかったところだ。その時は、大きな雪庇が轟音と共に崩壊したこともあり退却した。 下りきった緩やかな尾根は北面は雪壁、稜線は北面の残雪と息を吹き返した南面のブッシュがちょうどせめぎ合っている最中で、今日のところはまだ北面が踏ん張っているが、ブッシュが立ち上がり雪のブロックを北面に落とすのは時間の問題だ。 しばらくで次のピークへの登りになる。アイゼンはいたままで気の抜けない登りだから結構疲れる。 |
南壁:キリン尾根と槍ヶ峰を望む | 気持ちいい稜線歩きがしばらく続く |
ピークに到着。このピークは、烏谷を取り巻くU字型の尾根の西端になり烏谷を俯瞰できる。 さすがに谷は残雪豊富のようであるが、北側に延びる尾根の烏谷側は崩壊を続けているの泥壁が露わになっている。烏ヶ山本峰に続く稜線の北壁側も雪が落ち泥壁剥き出しの箇所が多い。 しばらくはブッシュを抑え込んでいる残雪の稜線を行くが、先ほどよりはブッシュに勢いがあり通過しづらい箇所が出てきた。時には右手ブッシュを漕いだりして烏ヶ山北峰?に出る。本峰は眼前!残雪まばらな西壁はブッシュが多いが結構傾斜があり厳しそうに見える。 ■まとめ 残雪の多いところは快適に歩けるが、少ない所はかなり危険。残雪はブッシュを押し倒して積雪しており、残雪の重みがブッシュの反発力に負けると一気に跳ね飛ばされることになる。今の時期、残雪の少ないところはいつブッシュが跳ね起きてもおかしくない状況にある。そういう所は安全優先!尾根の右手のブッシュを巻いて進むこと。 |
ブッシュと残雪とのコンタクトラインを行く | 烏ヶ山北峰?までもう少し・・・ 少々ブッシュがうるさくなってきた |
お疲れ様です! | 残雪季らしいコントラストの効いた大山主稜と槍尾根 |
|
烏谷側の崩壊地。遠くに矢筈ヶ山〜船上山 | 二人がいる箇所、北壁側はスッパリ切れいる |
ミスは無いと思うが・・・・念のためロープを出す |
|
烏ヶ山ピーク | 本峰と南峰のコルから東側の尾根と烏谷を望む。 |
コルから下降開始!はじめは少々ブッシュがうるさいが、次第に開けてくる。雪の谷になれば、適当にジグザグに下れば30分足らずで常緑樹林に入る。これを横断してブナ林へ!できるだけ登りがないように緩やかにトラバース気味に下っていくと、トレースに出会う。 下降開始して1時間少々で出発した登山口に帰ってきた。本日の行動時間は、休憩含め7時間30分・・・ちょうど心地いい気分になれる運動量である。ブッシュが埋まり、雪が締まる残雪の山は、愉しいですね。 |
木谷へ向けて下山 下方の常緑樹林を突っ切ってブナ林へ入る |
先ほど通過した稜線。傾斜は強いが ジグザグに下降すれば楽勝! |
|
Reported by Y. Kubo
Photo presented by S.Okamura & K.Akazawa