伯耆大山北壁:弥山尾根東稜&八合尾根
2010.02.21


 
今冬初めての大山である。
今年は、仕事や天候や何かとタイミングが合わずなかなか大山にこれなかった。やっと好天と休日がうまく合致、20日午後から出かけることになった・・・・3月までにもう1度これるか怪しいので北壁1本ぐらいはトレースしておきたい。


 20日は19時頃、大山寺着。いつもの無料駐車場に泊る・・・・ここはトイレつきで快適、だがスキーシーズンだから早朝係員に退去を命ぜられるのが難ですが・・・・宴会は、モツ鍋、8人で溝上酒造:しぼりたて生酒を※升も飲んでしまいました!あまりに旨く、抑えられませんでしたねえ・・・・勿論、次の日に少し影響しましたが、雪稜はしっかり愉しみました。

参加者 ■八合尾根:三栗、栗原、西方、高木、以上4名 ■弥山尾根東稜:原田、新、赤澤、久保、以上4名

元谷から仰ぐ久しぶりの北壁


ルート概要
Remark: ルート図の写真は、当日撮影したものではありません

 我々は、10ピッチで登ったが、パーティで異なるのは当然のことだ。50mザイルだが、少し足りずセカンドに少し登ってもたったピッチもあるし、30m程度で切ったピッチもある。

アプローチ:
 元谷大堰堤を越え弥山沢に入る。週末の好天を狙って多くのパーティが入山しているのでトレースがしっかりついている。

 別山へのトレスを見送り東稜末端へまっすぐ向かう。途中から中ノ沢へもトレースあり。2人1パーティがラッセル中。東稜末端には6−8名ほど準備中のようだ。我々が末端についた時は既に全員出発していた。

 準備して取り付きに向かう。新/久保、原田/赤澤の2パーティとする。ザイルは、50m、60m各1、非常時用に30m×1も持参する。
尾根末端から右手雪壁を少し登ると取付である。

1P:先行者のトレースをたどる。雪に締りがなくアイゼンが効いているのかいないのか心もとない感じだがずり落ちないから効いているのでしょう。40mほどで露岩のあるリッジに出る。小テラスあり。露岩のリングボルトにビレーをとりリッジを右から巻いて雪壁を登ると先行パーティがビレー中。
 このピッチ、50mでは足りないのでセカンドに少しあがってもらう。

2P:小さな岩を乗り越せば少し傾斜が緩み進めば2つ露岩。ここにもボルトがある。多分、はじめの露岩でピッチを切れば、ここが2P目のビレーポイントになるのだろう。
 露岩を越えると少しかぶり気味の岩場、一歩が少しいやらしい。しかしブッシュがあるので助かる。

3P〜7P:ブッシュをビレーポイントにした雪稜になる。岩の乗り越しが1ヶ所あるがあとは概ね快適な雪稜。所々、氷壁状になっておりバイルが非常に気持ちよく効く!

8P:7P目のビレーポイントからは40mほど雪稜が続き壁に突き当たる。見るとルートは2つあり、直登ルートは岩が露出した岩場、もう1つは少し右にトラバースしてルンゼを登るルートである。

 先行パーティの様子ではどちらもランニングビレーは取れないようだ。右のルンゼを行くことにする。このままではザイルが足りなくなりそうなので、20mほど登りブッシュを掘り起こしてビレーをとる。
 このルンゼは草付岩場のようでステップが決まりにくく、アイゼンも心もとない。ルンゼ下部はワラをもつかむ、ではなく枯れ草をもつかむような気持ちでじりじり登る。上部はブッシュが手懸りとなり幾分楽になる。しかし雪がしっかりついて締まっていたらダブルアックスでスイスイと登っていけるんだろうと思う。

 9P:少し右にトラバースするが、しっかりついている様に見える雪だが、壁に乗っかっているだけだから始末が悪い。回り込んだところでピッチを切る。

10P:比較的しっかりしたステップの残る雪壁を40mほど登ると尾根の肩に出た。ここから傾斜がぐんと落ちるので、実質的な終了点である。正面が縦走路のようで登山者が行き来している。
 既に14時を回っている。取り付いたのが9時だから、5時間以上かかっている。途中順番待ちがあったので実質登攀時間は4時間ぐらいか、と思うが、2P、8Pの岩場があるので西稜よりは少しグレードが上だと思う。


8P目のいやらしい壁を登る原田 9P目のビレーポイント

稜線(縦走路)までは残りわずか!
春の陽光ふりそそぐ弥山山頂

弥山尾根東稜ラストピッチの原田/赤澤パーティ


 下山は、六合目からシリセードで元谷まで一直線!と思って下ったが当てが外れた。ふかふか雪だから少々傾斜があっても埋もれてしまう。仕方ないのでステップの刻まれた、つまりよく踏まれたトレースは何とか滑るが、尻や背中がゴツゴツ!・・・・・だましだまし滑って元谷に出る。急がないと4人が厭き厭きして待っているに違いない・・・・・お待たせしました!16時15分、駐車場着でした。




八合尾根の雪稜は快適でした!

 当初は七合尾根へ向かったが、8合尾根に転進。八合沢にはトレスがなく腰近くまでラッセルして取り付く。取付へは別山のほうからトレースが延びており八合尾根自体はトレースがありラッセルなして好天下の雪稜を楽しむことができた。
 
 中間部の大岩の乗っかった箇所は右手から巻き、その上部の岩場は直登する・・・・しまらない雪のためガラガラの岩も氷結いていないので快適とはいいがたい。上部の雪稜は快適!
 稜線に出るまでは緊張感もあったのだろう、さほど疲れは感じなかったが・・・・ゆるい傾斜ののぼりなのに弥山ピークまでがきつい!

 小屋で東稜へ行った4人を待つがなかなか来ない!結構な数のパーティが取り付いていたので時間がかかるのだろう・・・・と思い先に下山することにした。

 尾根取付(08:30)〜終了稜線(10:30)〜弥山(11:00/12:00)〜駐車場(13:30)

七合から転進! 八合の雪壁、雪稜は快適でした



 大山寺で4人を待たせること3時間!16時過ぎに東稜パーティ4人駐車場到着。帰北を午前様にしたくないので急いで整理、腹ごしらえのため”ふるさと”へ急行!・・・・山越えして少しというかかなり塩素臭い”千屋温泉”で汗を流し、新見ICに20時前に入ることができた。23時過ぎには何事もなく帰北しました。

 雪質がいまひとつ!の感ありましたが久しぶりの雪稜の登攀、十分楽しめました。参加者の皆さん、お疲れ様でした。



Reported by Y. Kubo & Y.Takaki
Photo presented by Y.Takaki & Y.Atarashi