西中国山地:浦石峡(錦川水系)2008.06.15


 沢登はどうせ濡れるんだから雨が降ってもいい!という方も多いが、雨天の沢は薄暗く、しかも濡れた衣服は乾かない・・・とても快適とは言いがたい。しかもゴルジュ帯では急な増水の危険だってある。

 やはりキラキラ輝く木漏れ日に、水流のはじける白さが際立つ沢登り、が理想!・・・・ではあるが、そう贅沢はいえないので最低、雨の日だけは避けたいのが本音!

 梅雨に入り不順な日が続いていたが、週間予報では、日曜日の山口県北部は曇り時々晴れの予報が出た。計画通り沢登実施の連絡を流す。

 目的地は西中国山地、遡行時間5時間程度、グレードの目安は中級・・・で案内出した所、8名の参加者があった。目的地は、以前行く予定を延期していた、山口県を代表する沢;浦石峡である。

 6月15日の朝は、北九州は予報に反して小雨である。しかし山口県北部は何とか持ちそうな予報なので、予定通り出かけることになった・・・

【写真:下山中に見かけたササユリ】

参加者
 三栗、西方、栗原、新谷C、岡村S、赤澤、林、久保、以上8名

コースタイム
 浦石峡取付高根橋(09:50)〜遡行開始(10:25)〜高速道下通過(11:30)〜F4(12:40)〜F6:アベウシの滝(13:40)〜F7:コヤノ谷の瀬戸(14:15)〜F9上流登山道(15:10)〜車道(15:20)〜寂地峡駐車場(16:00)

 ※木目ノ滝までは遡行せず容谷山への登山道?が横切り地点で中断
 ※滝No、高さ、名称、等は、三浦章著:『西中国山地の沢』に依拠

行動記録


 北九州を出る時は雨だったが、鹿野を過ぎる辺りから小雨に、六日市辺りは雲が低く霧が出ているが道路は乾いている!・・・・やはり来て見なきゃ分からない。15時過ぎまでもってくれたら・・・・感謝!しなきゃネ
 吉和ICを出て、寂地峡駐車場に向かう。木目ノ滝へ行く車道を下山するので、1台をここに駐車、もう1台に8名乗車取り付きの高根橋に向かう。

 
 高根橋には先着があるので、少し手前の空きスペースに駐車する。手早く準備し出発。トポではこの駐車スペースから下降できるとあるが、先着組がいなくなったので我々も橋へ向かう。 橋から、20mほどの懸垂下降で河原に降り立つが、8名もいると結構時間がかかる。傾斜のゆるい所にセットしたこともありザイルの回収に若干手間取ったが、10:25には遡行開始!


今回はこの8名で頑張ります! 高根橋から懸垂下降で河原に降り立つ


 早速現れたのは、カンス淵と呼ばれる淵を持つF1:2m。右手が途中までへつれそうだが、基本的には泳ぐしかなさそうだ。元気な岡村がトップでザイルを伸ばす。右からへつり、途中から泳いで滝に取り付く。水中からの一歩が少し要バランス+脚力だが、難なく乗り越しザイルフィックス。
 後続はザイルを手繰り滝を乗り越すことになるが、水中から”陸(おか)”に体を引き上げる時に少々パワーが必要だ。ここでも結構時間をくってしまったが、全員通過。続くF2も少し泳ぎがはいるが容易に越す。


F1:右手からへつり気味に取り付く F2:少し泳いで緩い滝に取り付く
ザイルの助けを借りて奮闘?


 浦石峡は、側壁はさほど高くないがゴルジュ状の峡谷である。大雨の直後などはかなり困難な遡行になりそうだ。しばらく小さな淵や小滝を越えていくと、1時間ほどで橋の下をくぐる。見上げると林道の橋のはるか上方に中国自動車道の橋が見える。
 更に釜のある小滝や淵が続く。へつったり水中を行くが、泳ぐような所はない。

 11:50頃、小休止。出発して2時間ほど経つが、行程消化は、1/4といったところか?まだF4まで来ていないし、予想以上に時間がかかりそうだ。

 腰を上げ更に40分ほど進めば、側壁が傾いて狭まったゴルジュの奥に、それぞれ釜のある2段の滝が現れる。2段目は、右にチョっクストンが見える・・・・やっとF4:4mまで来た。


F4までは、小滝、淵、釜のある小滝等を越えていく。高架橋下辺りで開けるが直ぐゴルジュ帯となる

 
 F4は、2段の滝で構成されている。それぞれ釜があり、側壁は左岸は被り、右岸は手がかりの無いスラブであるので泳いで取り付きしかない。まず岡村がザイルを引き1段目の滝を越す。久保が続き、1段目にあがる。更に岡村がひと泳ぎで2段目の左岸側のチョっクストン下のチムニーに入る。スラブにあがりこんで1,2歩が難しいが、トポどおり残置ピンがありクリック。上部はそれほどでもなく2段目の滝上に出てザイルフィックス・・・・これで準備完了!後続は、順次ザイルをつたい、泳ぎ〜滝登り〜泳ぎ〜滝登りでF4を越える。

 【左大】F4全景

 【上左】1段目に取り付く

 【上右】2段目に取り付く

 【左小】残置ピンにクリック

まずひと泳ぎして1段目の滝に取付く。滝上から更に泳いで2段目に取り付く
・・・・ザイルがあるからスイスイといけます


 しばらくいくとF5で、2段の滝である。倒木のある釜があるが右手の水際をへつり、水流の右水際を登る。細かいがホールド、スタンスあり。更に進むと谷が少し右に折れ、F6:アベウシの滝10mが現れる。釜を持つ直瀑である。ランニングビレー取れれば登れないことはなさそうだが、右の草付岸壁を巻き気味にいくのが順当だろう。V級程度の岩場、ザイルを出して越える。
 滝の上流は綺麗な滑床である。新緑をぬって木漏れ日でも射せば、爽やかな沢歩きになる所だが、今日の曇天では望むべくも無い。沢が左にカーブすると、浦石峡のハイライト! F7:コヤの谷の瀬戸、10mである。

2段の滝:F5は、右からへつり、水流の右水際を登る・・・・快適です!

F6:アベウシの滝 トポではトップロープで登っているようだが、無理せず右手の草付岸壁を登る


 F7:コヤの谷の瀬戸は、左岸側壁が被った斜めの庇になっている。右岸は、下部がスラブ壁、上部は傾斜が落ち、ブッシュがあるので手前から高巻くことも可能である。この滝を突破するには、水流を二条に分つカンテ状の岩を登らねばならない。

 釜に入って進めば直ぐに胸まで浸る・・・次いで、2、3 掻き泳いで岩に取り付く。岩にあがりこんで、2,3歩が要バランス、慎重に登れば残置ピンがある。ランニングビレイを取り、スタンスに立ちこめば2本目の残置ピンがある。ビレイをとれば一安心だ。もう少しあがるとガバホールドがあり容易に滝上に出る。

 少し進んで左手の岩棚に上がりこむとブッシュ、ここにフィックスすればルート工作終了!

 F4同様、ザイルをつたい後続するが、一人ずつ確保せざるを得ないため時間がかかり、残念ながら時間切れで2名は高巻きすることにした。

胸まで浸かり最後は少し泳いで取り付く。あがりこんで数歩が要バランス。残置ピンが2本あるので安心!

 
 F7を越えて2つほど滝を巻いて行く。時刻はまだ15時前だというのにかなり薄暗くなってきた。雨でも降り出しそうな気配である。やがていけばゴルジュ帯が途切れ河原になると、前に青い鉄橋が横切っている。木目の滝はまだまだ先なので、木目の滝へ行く車道から直接容谷山へ向かう登山道?のようである。

 時刻は、15時10分だし、天候も崩れそうなのでこの橋で今回は終了とする。登攀具をしまい沢靴のまま右に踏み跡をたどれば10分ほどで立派な車道に出た。

F8?F9? 歩道が横切る所で終了とする 10分足らずで車道に出る
 
 取り付きの車を回収するため、2人先行する。
 寂地峡駐車場に到着する頃、雨が降り始めた・・・・木目の滝はパスしたが、まあ終了時刻としてはいいタイミング?だったと思う・・・・皆さん、お疲れ様でした。

総括的感想

 暑い盛りの、晴天の日に、お出かけください! ”浦石峡”は愉しく!遡行できる沢だと思います。

Reported by Y.Kubo
Photo presented by S.Okamura & K.Akazawa