北ア:涸沢〜前穂高岳(北尾根)〜奥穂高岳


登山形式
 涸沢にベースC設営後、前穂高岳&奥穂高岳縦走


参加者
 
溝尾幸一(L・記)、貞苅 誠(会・装)
 緒方利春(食)
 ※山岳同好会『嵐』会員



概略日程
 
05/02(金):晴。北九州(八幡西/21:00)〜 05/03(土):晴。沢渡〜上高地〜横尾〜涸沢。  05/04(日):晴。涸沢〜北尾根〜前穂高岳〜奧穂高岳〜涸沢。05/05(月):曇りのち雨。涸沢〜横尾〜上高地〜北九州(04:00)


 行動記録 

◆◆ 5月3日:晴。北九州から沢渡まで約11時間。去年と同じで、天気快晴(雲なし)、申し分なし!涸沢まで入る ◆◆

 発着地 到着 出発 概 要 初日感想
沢渡 0830 0910  
 今回はラリーグラス号を3人で借り切っての、ツアーだった。

 途中名古屋周辺の高速道路上で道を間違うハプニングもあったが、さしたる時間のロスを感じることもなく沢渡着。途中の渋滞もなく、駐車場探しもなく、この日1日はスムーズだった。 

 横尾の吊橋から涸沢までの雪渓がだんだら坂で、近くにヒュッテが見えてももう一坂あったりして、疲れを増長させた。 

 食事は、ビールや食材を3人で十分に担ぎ上げたので、夕食は豪勢と思った。定番のギョーザがうまかった。差し入れもあったりして嬉しかったが、荷物を担げることが何よりも必要だ。


 タクシーで上高地に向かう(約30分)
上高地 09:40 0947
 約45分で到着。明神には少し雲がかかっている。
明神 1035 1041  
 上記とほぼ同時間。相変わらずの穏やかな晴天、春本番を思わせる。
徳沢 1125 1140
 丁度1時間で到着。 快晴、天気良好。暑いくらいである。
横尾 1240 1250
 横尾から70分の行程。
横尾橋 1401 1410
 上高地から約6時間で到着。
涸沢 1600
就寝 1930

明神岳を望む(明神から) 前穂東壁が望める横尾
横尾橋で一息入れる 涸沢までの道のりは遠い・・・・奥穂のバットレスが視界に入る
涸沢団地到着・・・・いつもながらすごい数のテントがひしめく!



◆◆ 5月4日:晴。涸沢幕営地〜5・6のコル〜前穂高岳〜奥穂高岳〜白出のコル〜ザイテングラート〜涸沢。行動時間:約13時間 ◆◆

発着地 到着 行 動 記 録
起床 02:45 04:30
 2時起床の予定が遅れてしまった。外は風もなく、全く寒くはなかった。穏やかだった。
4時前には5・6のコルを目指すパーティのキャップライトがテントからも見えていた。4時半には十分明るく、歩行には一切支障はなかった。穏やかな外気に包まれて、コルを目指した。約1時間30分でコル着。 かなりのパーティが先着していた。 我々の後にも何パーティかが続いていた。


5・6のコル 06:05 06:17

 朝日の射す頃で、陽射しがまぶしかった。急ぐことなく、順番に各パーティが出発していった。自分達の出発はゆっくりして少し遅い位だったが、追いついてしまった。
 3・4のコルでは20人近くが集結してしまったが、それ以前の4峰の登りで「順番待ち」が完全にできてしまった。尾根(4峰)筋の登りを奥叉白側に回りこんで、雪混じりの稜線を上がりこむらしいのだが、雪に動きが邪魔されるらしく結構な時間待ちができていた。5人位がすぐ前で待っていてその先は分からない。
 右の涸沢側の雪面にトレースらしきものがあった。 誰かが行ったような気はするが、決して新しいトレースでもなかった。 どうするか少し迷ったが、いつ順番待ちが解消されるか分からなかったのでそこを詰めることにした。 

 回りこむと、下が開け涸沢側が良く見えるようになってきて、高度感が出てきた。岩場はガレ場に近く、上に進むにつれ斜度を増してきた。 

 それでもバイパスなのか正規のコースの一部なのかわからなかったが、慎重に登りきった。 
 途中2ヶ所ナッツをセットした。
(写真右:今山行中、一番の迫真の箇所;4峰の登攀)

その後、上の方でピンが出てきて、「ここも何とか言いながら登るんだ。」と少し納得したが、3峰と比べると状態は決して良くなかった。

 緊張感はこの1ピッチ(約30m位)が一番だった。セルフビレイを岩角で取って2人(緒方・貞苅)を待った。 そして2人同時に上がって来た。 

 この判断で時間短縮と他パーティを追越すことができて、結果的に時間に余裕ができた。すぐ近くを1パーティが通り過ぎていった。 下で見たすぐ前のパーティではなかった。すぐに山頂(4峰)経由で3・4のコルを目指したが、他パーティと同道状態だった。

3・4のコル 08:53


 そして3・4のコル着。どこが先着なのか分からない位に、ものの僅かな時間の間に多くのパーティが集まって「集会所」状態になってしまった。ここからがまた長かった。 すぐ前の若い3人パーティの後にすかさず陣取って、2番目の位置をキープした形で番を待った。ここまでは良かった。

 ここで5番目、7番目、それ以降であったならその日の内に帰れてなかったかも知れない。

 岩場を順調に越え、それでも3時間近くをかけて、北尾根終了と山頂着。「長かった。もう一つ前だったら1時間は違っていたかも知れないのに。」と思わせる位、先行する若いパーティの動きは時間がかかりすぎた。 結果、2峰の手前で追い越してしまった。

前穂高岳 12:02 12:30


 山頂では、最高の展望を味わうことができた。360度見渡すことができ、申し分なかった。槍・穂高の稜線の端に槍ガ岳が見える。去年登ってもう1年が過ぎた。明神が静かに脇に控えていた。登山者であふれ返すこともなく静かな山頂だ。 
 明神を目指す若者グループが出て行った。 スキーで下山するつわものもいた。 それぞれが最高の春山を満喫したことだろう。既に吊尾根を行く登山者の姿も見えていた。時間も気になっていた。12時半山頂発なので、帰着は十分可能だ。
 
 奥穂高まで3時間を予定していたが、休憩(3回)を入れて大体その通りに着くことができた。 尾根上は日陰もなく、陽に焼けてしまった。半袖でも良い位の陽気だった。吹く風も正に春風そのものだった。 ただ、登りの長いこのコースはきつかった。

奥穂高岳 15:25 15:35
3時を過ぎる頃から、稜線にガスがかかりだした。槍ガ岳の姿がもう見えない。
白出のコル 16:05 16:15
北尾根が間近に、荘厳に見える。
涸沢 17:30
13時間行動だった。(途中で追い越さなければ、もう後1、2時間は間違いなくかかっている。)


5・6のコルへの登り 5.6のコル。すでに多くの先行パーティが順番待ち
奥穂高岳と涸沢岳 北穂高岳(左が南稜、北穂沢を挟んで右に東稜)
5・6のコルから5峰を越えていくとピラミダルな4峰が屹立する
前穂北尾根の核心部:3峰(3・4のコルから)
奥穂高岳〜涸沢岳〜北穂高岳のパノラマビュー、遠くに槍ヶ岳を望む

快適な3峰の登攀!
前穂高岳山頂!ぐるり360°の展望が得られる
前穂高岳〜奥穂高岳の吊尾根を行く・・・・・3時間もかかる長〜い登り!

北尾根〜前穂高岳を望む(白出のコルより)

出発して、13時間・・・・明るいうちに帰幕することが出来た

◆◆ 5月5日:曇のち雨。下山日。 ◆◆

発着地 到着 行 動 記 録
起床 05:00 06:50
 5時前に少し、雨が降ったがすぐに止んだ。奥穂高、北穂高にガスが低く垂れ込め、視界不良。いつ雨がまた降り出してもおかしくない。
横尾橋 07:30

 下山を急ぐパーティがすでに多く、なかなか抜かせず相前後して横尾を目指す。

横尾 08:23 08:35
(休憩) 09:25 09:30

 周囲の山に雲が低く垂れ込めている。 2日前と天気が全然違ってしまった。横尾出発後、河原道を通りそのまま対岸に徳沢を見る形で、上高地を目指す。途中1、2回休憩を挟んで明神に着いた。

明神 10:10 10:20
 涸沢から4時間20分をかけて、上高地着。 到着寸前になって、雨が降り出した。
上高地 11:10

 すぐにタクシーを拾って、沢渡へ降りる。雨が小降りながら降り続く。 上高地を目指す観光バスが鈴なりで渋滞を引き起こしていた。(雨ではゆっくり散策もできず、ターミナルの遥か手前で乗客を降ろすのだから後続の車両はたまったものではない。)
 沢渡でタクシーを降りて、去年と同じ場所で入浴。 そして高速の入り口近くまで来て、昼食のできそうな場所を見つけて、一休憩。ここまでは良かった。

 帰りの高速が随所で渋滞続きで、大変だった。特に大阪を越すまでに所要時間の大半を費やした。2時帰着を予測していたが、4時も近くなっていた。帰りの高速を貞苅さんが一人で運転した。体力と神経の疲労もいかばかりであったことだろう。

北九州 3:40

涸沢から、4時間20分かけて上高地へ下山・・・・つく直前から雨になる


共同装備:
 4人用テント、テントマット(2)、ガスヘッド(2)、スタビライザー、コッヘル(中)、ツエルト(1)、ラジオ 9mmザイル(1)、スコップ、5Lポリタン、 EP ガス(2)、フライパン(1)、ナッツ(1s)

個人装備:
 
エアマット、ロングスパッツ、アイゼン、ピッケル、セーター、カメラ、ナイフ、シュラフ、ヘッドランプ、サングラス、日焼け止め、サーモス、アタックザック、目だし帽子、シュラフカバー、ライター、食器セット、非常食、トイレットペーパー、プラティパス、アタックザック、オーバー手袋、毛手袋A、予備電池、地図、磁石、行動食B、温泉グッズ


Report & Photo presented by K.Mizoo