伯耆大山紅葉鑑賞の山旅:一向平〜地獄谷〜烏谷
2007.11.03


 
2003年10月末、川床起点に大休峠〜地獄谷〜振子沢〜宝珠尾根〜阿弥陀川の周回ルートで紅葉の大山を愉しんだ。
 
 今回は、なかなか足を踏み入れる機会の無い一向平起点に、地獄谷〜烏谷〜大山主稜〜大休峠の周回ルートを計画した。

 残念ながら地獄谷遡行中にアクシデント発生、烏谷から急遽尾根を越えて新小屋峠に下山することになる。行程半ばで中退となったが・・・地獄谷〜烏谷の紅葉は十分楽しむことが出来た。

 地獄谷は沢登というより河原歩きに近く難場らしきところはない。しかし・・・アクシデントは往々にして容易な所で起こりがちである・・・アクシデント起これば、愉しい山行も、一遍で暗転しますから・・・用心!用心!自分の身は自ら守って末永く山旅を愉しみましょう!


参加者 

西方、青木、栗原、岡村M、加藤、赤澤、岡村S、伊津見、久保、以上9名


コースタイム
 

一向平駐車場 07:10〜大山滝 07:50〜地獄谷取付 08:35〜入谷 08:45〜烏谷出合 10:40〜烏谷 11:50〜尾根取付(エスケープ) 12:20
〜登山道 13:30〜新小屋峠 14:25


 深夜、一向平駐車場到着。野営場の管理棟らしき所に明かりがあるが、駐車場は真っ暗である。駐車車両はなさそうだ。少し飲むつもりなので駐車場の隅にテントを設営する。周囲は人家はなさそうだが、管理棟に誰かいれば迷惑になるので、ヒソヒソ話をして少しばかり寝酒を愉しむ。

翌朝、天候良好!早めに起床。明るくなって気がついたが、周囲はトイレも完備した整備されたキャンプ場である。

 7:10、出発。しばらくは舗装された道を行くが、そのうちに山道になる。名瀑百選の大山滝、大休峠を経て川床にいたる歩道は、中国自然歩道の一部になっておりよく整備されている。歩道は、加勢蛇川を見下ろすようにつけられているが、やがて階段の急降下でつり橋にで、右岸から左岸へ渡る。しばらく行くと名瀑百選:大山滝である。

【つり橋のたもとの標識。一向平〜川床は、9km。ゆっくりした1日コース】

 大山滝は、高さが37mの2段の滝である。説明版によると、『侵食を受け難い二枚の溶岩が造瀑層となって、二段の滝となった』そうです。


尾根筋はすっかり色づいているが、大山滝はもうすこしかかりそうだ


 小休止ののち地獄谷分岐に向かって腰を上げる。左岸を少し登ればブナ林に入る。谷にようやく朝日が射しはじめる・・・・黄色く紅葉した木々はライトを浴びたようにキラキラ輝く・・・実にすがすがしい早朝の森である。
 そのブナ林もしばらくで終わり緩い傾斜の樹高の高いヒノキ林になる。幅広い歩道をゆっくり登って行くと、大休口に出る。ここが地獄谷の取り付きである。


 休憩し、沢靴に履き替える。登山靴で遡行出来ないことはないが、今日は1泊2日の装備を背負っており、沢靴のほうが安全だ。地獄谷への下降にはいると、すぐ数人の登山者に追いつく・・・彼らは軽装、登山靴姿である。

 10分ほどで谷に出る。水温はさほど冷たくなく、水量は多からず少なからず?のようなだ。我々は、沢靴なので濡れるのを気にせず遡行開始、登山靴の彼らは、濡れぬように岩を伝って進むが、渡渉に手間取っている。岩、石は結構、ぬるぬるしており、やはり荷がある今日は沢靴が正解だ。


谷沿いの木々の紅葉はまだまだ色づきが薄いが、秋の谷歩きの雰囲気十分である。多分、上流に行くに従い色鮮やかな木々に変化していくだろう。

ブナ林も、ヒノキ林も日が射すとコントラストが効いて立体感が増し躍動しはじめる

大休口から踏み跡辿り地獄谷へ下降、紅葉本番間近の地獄谷に降り立つ

 
 前回の烏谷(6月)偵察の時は、駒鳥から下降、烏谷に入ったが、今回は下流から遡行して烏谷に入る。この間は、およそ2−3時間の遡行であるが、堰堤越えがいくつかあるものの滝らしい滝はなく両岸の紅葉を愛でながらの河原歩きに終始する。また、堰堤には、フィックスザイルがあり乗り越しも問題ない。

 おしゃべりはしてもいいけど、スリップせぬ様、足許には十分注意して河原歩き愉しんでください!

 【全然、冷たくないわよ・・・】

 滝のない!・・・いくつかの堰堤があるが・・・ゴルジュ帯や広い河原、低い段丘、大岩のゴーロ帯、など結構変化に富んでいるが、緊張!することなんぞまったくない地獄谷の遡行は続く。両岸の木々は遡行するほどに色合いが鮮やかになるが・・・・燃える!と驚嘆するまでは至らず・・・・・。

 遡行中に、1名浮石に乗り左腕を下にして転倒する。すぐ起こすがたいしたことなさそうなので遡行続行する。しかし、痛みはないが腕が痺れているようなのでシュリンゲで確保、コンテで行くことにする。

 入谷して2時間ほどで見覚えのある烏谷出会いに到着。


滝のような堰堤は、5ヶ所?ほどあるが、フィックスがあるかなければ簡単に巻ける。
ミニゴルジュがあるが巻かずに通過する

次第に濃くなる秋色を愉しみながら右岸、左岸と渡渉していけば、左岸から大休滝が出合う・・・・滝見物かねて小休止

広い河原、段丘を越えていくと谷は次第に方向を南に転ずる。
広いゴルジュ帯をいけばやがて右岸から烏谷(写真:右下)が出合う


 なつかしの烏谷にやってきた。6月に来た時、紅葉のj時期はさぞかし綺麗だろう!輝く紅葉に包まれるのでは!と思い今回計画したが・・・・少し過剰な思い込みだったかな、と思うがまあそれでもこんな感じでのんびり愉しみながら歩ける自然林の谷はそんなにない、と思う・・・・贅沢言わず与えられたものを味わいつくすのも長〜く山旅を続けるコツですからネ。

出合いで小休止。ここから1時間も遡行すれば二俣である・・・皆さん、先は長いですよ!

 積極的に濡れるのはやめにして出合いの滝は左から巻いて細い烏谷にはいる。岩は苔生し源流の雰囲気にひたれるが、細木の流木が多く少々歩きづらい。しばらく遡行すればチムニー状の滝に出る。6月は直登したが、濡れたくないので左岸から巻く。この巻き道は滑りやすいのでザイルをフィックスする。谷を越えるとV字状の短いゴルジュである。大岩や小滝を越えていけば2段の滝に出る。ここは濡れずに直登可能だ。左岸からも簡単に巻ける。

 2段の滝を終えしばらく行けば水流は涸れる。地獄谷より標高があがり、周りの紅葉も色づきがよくなってきた。適当なところで小休止するが、どうも先程の転倒で加重を受けた左腕が痛み出した、とのこと。たいしたことはないだろう、と勝手な判断していたが・・・・・骨折でもしていたら大変だから烏ヶ山へ行くのをやめ出来るだけ早く下山することにする。烏谷からの撤退するには、新小屋峠にでるのが最短ルートである。新小屋峠に出るには登山道のある左手尾根に出なければならない。

 更に詰めていくと正面奥に尾根よりひときわ高く抜き出た烏ヶ山が姿を現した・・・・まだ200mは有りそうだ。

 先を急ぐ・・・やがて二俣、ここは左俣にはいる。

出合いの滝を巻き苔むす谷を詰めるとチムニー状の滝、左岸から巻いて越える

V字状の短いゴルジュを行けば、2段の滝。直登も可だが左岸から巻くことも出来る

色づきのよくなった谷を詰めていくとやがて頭上高く烏ヶ山が望める

 左俣をつめ、6月に取り付いた尾根を辿ろうと思ったが・・・・結果的には、少し下流のルンゼを詰めて尾根の登山道に出ることが出来た。このあたりは、踏み跡がいくつかあり、尾根に出るルートは固定していないようである。ルンゼ上部はかなりの傾斜だったが、問題なく登山道に飛び出した。出たところは地形図の、1230.5m三角点に近くで、新小屋峠への登山道が尾根から分岐する地点だった。

 一息入れる。休んでいると、烏ヶ山のほうからワンちゃん二匹と戯れながら御夫婦が降りてこられた・・・・軽く挨拶を交わす。

 御夫婦は先に新小屋峠に向かって下山された。我々も後を追う・・・・が、新小屋峠から一向平駐車場までは10km以上あり、2−3時間はかかりそうだ。従い、3名先行し出来るだけ早く車を回収することとする。

 【1230.5m三角点近くの登山道に出る】

 小走りで下山すれば、ワンちゃんと御夫婦に追いついた・・・・・新小屋峠に駐車されているのであれば、事情を説明して便乗させてもらえるかもしれない、と思い、失礼とは思いつつお話したところ快諾していただいた・・・・・ほんとに有難うございます。助かりました!心から感謝します!

 御夫婦は、米子にお住まいで山屋さんではなくキノコ狩に来られているとのことだ。毎週、山に入られているようでキノコについては非常に詳しい。この時期、大山はキノコ狩の方が多く入山されているとのことだ。下山かたがたキノコの話を聞く・・・・この登山道周辺のどの木に、いつキノコが出るか、まで知り尽くされている・・・・イヤイヤ足許にも及びません。うなって感心する間もなく峠に到着。すぐ、車で一向平まで送ってもらう。

テープを発見、それに従いルンゼを詰める。たいした藪漕ぎもなく登山道に出る

また機会つくっていきましょう! 稜線から烏ヶ山を望む


 御夫妻のご好意できわめてスピーディに車を回収することが出来た。一向平から新小屋峠に舞戻り、後続メンバーをピックアップする。

 大山環状道路経由で米子に向かうが、さすがに紅葉の最盛期!渋滞に巻き込まれたが、早い時刻に米子に到着。交番に立ち寄り緊急受診可能な病院を紹介してもらう・・・・・おかげさまで最悪の自体は避けることが出来た。正直、ほっとしました。

 事故は、なんでもないところで起こる!緊張が解け、ふっと気を抜いた時に起こる!・・・・誰でも理解はしている・・・・しかし事故は起こります。
 グループで出来るだけの安全対策をしても、個々人に起因するものは個々人で守るしかありません。

 長〜く山愉しむためにも、仲間のためにも・・・気を抜かず、自分を過信せず・・・・・ですね。
参加者の皆さん、お疲れ様でした。今回の続き? 御安心ください。また計画します!


 【新小屋峠に到着。皆さん、お疲れ様でした】

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Reported by Y.Kubo  Photo presented by S.Okamura