西中国山地:アシガ谷(錦川水系)〜右谷山 2007.09.15


 台風11号の接近と秋雨前線の為に、楽しみにしていた3連休の山行は延期せざるを得なかった・・・残念だが仕方ない。沢登も縦走も雨ベースでの天候では面白くない。連休の前日、九州はよくないが、島根、広島あたりは曇り時々晴れマークとなる・・・・・1日は持ちそうなので日帰りで出かけることにする!

目的地:寂地山〜右谷山〜容谷山〜小五郎山を結ぶ稜線の西面にくい込む沢(谷)で適当な所を探す。トチゴヤ谷は”上級”とのことなので、一つ下流の”アシガ谷”とする・・・・遡行図では大きな滝はなさそうだが行くだけ行ってみましょう!

コースタイム
:河津(08:20)〜林道終点の橋(09:00/09:10)〜アシガ谷取付(09:15)〜二俣(10:30/10:40)〜稜線:標高1260m(11:50)〜ミノコシ峠(12:20)〜右谷山(12:40/12/50)〜ミノコシ谷取付林道(14:00)〜河津(14:20)

参加者
:原田、岡村S、赤澤、久保、以上4名


河津に駐車する
正面は夫婦岩

 河津を出発して林道終点の橋まで40分ほどで到着、ここで支度して入渓する。昨年は囂々と流れていた谷は今日はひっそりとした流れである・・・・少々物足りないが・・・・・釜のある小滝を右手から一段あがるとナメ床になる。すぐに二俣で左が河津峡の本谷、右がアシガ谷である。

 河原をすこし行けば小滝があり、しばらくでゴルジュ帯にはいる。すぐに水のきれいな釜のある斜滝がある。水流左から越えるが、Aさん沢靴を車においてきたので念のためザイルを出す。すぐ上流に小滝があってこれは簡単に越えられる。しばらく行けば高い堰堤、多分この谷最大の落差!右手のルンゼから巻くと立派な作業道があり堰堤上に出る。河原にでて進んで暗〜い樹林帯にはいる。


林道終点の橋:ここで準備 橋から入渓 アシガ谷に入る
早速斜滝登場、ゴム底では心配なのでザイルを出す
続く小滝を越えると堰堤。右のルンゼから巻いて河原へ・・・・・そして薄暗い樹林にはいる

 二俣までは大岩のゴーロやミニゴルジュなどが続くが、小滝程度が幾つかある程度で、はや源流のルンゼを詰めていく感じである。大雨の直後だったら多分、ここもあそこも滝になっているだろうなあ・・・・・とその姿を思い浮かべながら遡行を続ける。

 晴れの予報だったのに、日差しどころか小雨が時たま落ちてくる天候で樹林の中の谷は暗い。せめて日差しがあれば、森林浴にもなりそうな見事な緑だが・・・・・堰堤を越えて小1時間ほどのんびり行けば顕著な二俣に出る。地形図では、850mほどの所で、左俣は大岩が積み重なり、右俣はかわいらしいナメ滝が出合う。水量は半々、といったところだ。

 右俣をとれば右谷山は近いが、流程が短く藪漕ぎが長そうに見える。左俣をとれば流程は長いがヤブ漕ぎは短そうだ・・・勿論、見た目だけの感じだ。実際は大差ないかもしれない・・・・・検討の結果、左俣をとることにする。

大岩を乗り越していけば少しゴルジュっぽくなるが、しばらくで開ける
露岩に根を張る?樹木・・・・あたりの岩は苔むしてなかなか雰囲気がいい

小さなゴルジュ、斜滝を越え大岩を回りこむと2条の斜滝、いずれも気持ちよく遡る
小さなゴルジュを越えると二俣までは大岩やら小滝やらが続く・・・・・やがて傾斜が緩み二俣へでる
顕著な二俣。左俣は大岩、右俣はナメ滝で出合う・・・・検討の結果、左俣を行く


 左俣にはいる。水量が半減したのでいよいよ源頭の雰囲気が濃くなる。しかし谷は小滝、ナメ、岩のルンゼ、といろいろ取り混ぜながら次第に細〜く、細〜くなりながらもなかなか途絶えない。

 高度計が1100mm過ぎてもまだ水流は切れない。匹見峡二の谷の時も、稜線の笹原まで水があったが、この山地はブナ林が多くたっぷり水を蓄えているんだろうと思う。さすがに1200m近くになると藪の少々うるさい岩のルンゼになったので左の急な尾根の取り付く。息を切らせて詰めれば10分ほどで寂地山〜右谷山の登山道に出た。
 
 標高差:700m近く遡行したわりには、ハイライトのない谷であった。しかし、稜線直下まで切れることなく続くルンゼ状の谷をじっと我慢して詰めるのもそれなりの充実感があっていい!・・・しかし、正直言えば一つ二つぐらいは目のさめるような滝がほしいですねえ。

 今日は小雨混じりで谷自体が薄暗かったせいもある・・・晴れて日差しがあれば、樹林の緑が際立つ谷歩きになったかもしれない。

大岩、小滝、ナメ滝、ナメ床、倒木、樋、小粒ながらひと通り出てくるが、水流は少しづつ細る
すこし滑ってゴム底では滑りやすそうなのでザイルで確保。右折してナメ滝を越えたところで休憩・・・小雨模様!
綺麗なナメを通過、終わりそうで終わらぬルンゼを詰めること30分、少し藪っぽくなったところで左尾根にあがる


 下山はミノコシ谷に沿っている作業道経由の計画である。一息入れて右谷山へ向かう。すぐに右谷山:1.9km、寂地山:1.2kmの標識。やはり登山道は歩きやすい・・・1235mピークを巻いて尾根筋にもどれば、ミノコシ峠である。峠から急坂をひと息で登れば右谷山に出る。小休止して少し腹ごしらえをする。

 10分後腰を上げる。縦走路を少し進むと右手に白テープあり・・・・この辺から下降しているようだ。右折し藪に入る。しばらくはテープがあったがそのうち見失う。やがて二次林になったので少し左に方向修正し急下降していくと涸谷に出る。しばらく下ると左手に伐採地が広がり、立派な作業道に出た。靴を履き替え作業道を伝うと丁度ミノコシ谷を絡むようにつけられており末端は夫婦岩横に出た。このルート、前回の藪ヶ峠からの下降ルートより早く楽である。

 残暑は続いているが、さすがに9月も半ば、稲穂は色づき山はちょっぴり秋の気配を漂わしはじめている・・・そろそろ沢登の時期も終わりだ。今日は、実質的には谷歩きであったが、まあ時にはこんな山旅もいいではないか、と思う・・・・・・あと1,2本ぐらい谷と遊んだら今年の沢登はオシマイにしましょうネ!参加者の皆さん、お疲れ様でした。


尾根に取り付いて10分ほどの藪漕ぎで稜線の登山道に出る
ミノコシ峠通過、急坂をひと息で登れば右谷山にでる。
小休止の後、少し尾根を進みミノコシ谷を目指して右手藪尾根に入る
二次林を急下降すれば枯れ谷に出る。二俣近くになると左手が伐採されており作業道が通じている

Reported by Y.Kubo  Photo presented by S. Okamura & K.Akazawa