伯耆大山:鳥越峠〜烏谷〜烏ヶ山〜鳥越峠  2007.06.10


 伯耆大山の主稜から鳥越峠をはさんで東に位置する烏ヶ山へは、なかなか足を踏み入れるチャンスがない。数年前、秋の地獄谷を歩いた。すっきりした天候ではなかったが、味わいのある紅葉を眺めながらの遡行であった・・・・

 次回は、
新緑と残雪の時期 に大山滝から烏谷・烏ヶ山を経て大山主稜へ!と思い5月中旬をねらっていたが、かなわず6月になってしまう。

 今回は、時間的にも前夜泊日帰りとなったので、烏谷〜烏ヶ山のみを踏破する計画で、大山に向かった・・・・

Cource Toime
健康の森登山口(06:00)ー鳥越峠(07:10/07:20)ー駒鳥小屋(07:40-08:15)ー烏谷出合(08:45/08:50)ー二俣(09:40)ー右俣上部(10:10)ー中俣?上部(10:50)ー尾根登山道(11:50)ー烏ヶ山山頂(12:40/13:05)ー鳥越峠(14:10/14/25)ー登山口(15:15)


Participant
西方、青木、新谷C、新谷T、赤澤、栗原、三栗、原田、伊津見、久保、以上10名







■前夜(06/09)はトイレが一新された鍵掛峠の駐車場に泊まる。早めに着いたので、小宴会ののち就寝するが・・・翌朝は、雨時々曇り!・・・・予報では晴れだったのに!嘆いても仕方ないねえ・・・・大山ではよくあることだが、今回は木漏れ日の差す新緑のブナ林!を期待していただけにちょっと残念である。そのうちに晴れるでしょう。テント撤収して登山口へ移動。やんでいた雨が又、降り出したが、予定通り出発する。


 
登山口から鳥越峠までは、一面新緑のブナの樹海を行くことになる。しばらくで雨が止む。少し薄暗いが、新緑の爽やかさは少しも損なわれない・・・・緩い傾斜のよく整備された散歩道をおしゃべりしながら気分よく歩く・・・

 ここは全て落葉樹、しかも積雪が多い為低いブッシュや下草が雪に覆われた冬季はすこぶる見通しがよい。しかし緑盛りの今は、うっそうとまではいかないが、緑いっぱいの樹林帯で見通しはほとんど効かない。

 さてこの樹林帯、積雪期以外いつ通ったかな?と思うが、どうも記憶が定かではない。ひょっとしたら初めてなのかもしれない。

 ブナを愛でながら進めば、歩道は登山道らしくなり左の尾根沿いのルンゼを行くようになる。やがて文殊越からの登山道と合流、右折すれば鳥越峠方面に行く。いくつかの枝尾根を越えてトラバース気味に進むが、しばらく止んでいた雨がまた降り出した。今日は一日中こんな調子か・・・・期待せずに歩きましょう!

雨が降ったり止んだり・・だが新緑いっぱいのブナを愛でながら行く

 登山口を出発して、1時間ほどで鳥越峠の取付、急坂一登りで峠に出る。烏ヶ山方面には登山禁止の札がある。槍尾根方面も危険の注意書き。どちらも崩壊した箇所が多くしかも痩せた尾根であるので当然すぎる注意書きだろう。

 小休止の後、駒鳥小屋へ向けて下る。足許のよくない急坂を下り、尾根を巻くように下降していくと20分ほどで駒鳥小屋に出る。
 この小屋は、昔のままだがまだしっかりしてしている。積雪期は、埋もれていることが多い。割と清潔に保たれた中に入り沢支度をする。今日は、沢登というほどのことはないと思うが、烏谷を詰めるので準備だけはしておく。


鳥越峠で小休止(写真左)の後、駒鳥小屋(写真右)へ向かう

 沢装備装着して谷に下る。谷に下りる所もえぐれて足許がよくないがフィックスがある。駒鳥小屋から烏谷出合までは、30分ほどの河原歩きである。

下流の大山滝と駒鳥小屋の間は、地獄谷経由で登下降する登山者は多いようで、よく見るとしっかりした踏み跡がある。

 大山東壁の水を集めて緩やかに流れる開放的な谷をしばらく下っていくと右手(右岸)に二条の滝を見る。地形図では、出合の滝より少し遡った所にある2つの滝を夫婦滝としているようである。

 更に下ると流れ方向が北に転ずるが、右手から3mほどの滝が出合うここが烏谷の取付である。出合で小休止する。


烏谷出合までは河原歩き、割としっかりした踏み跡をたどる
右岸に二条の滝。この上流に夫婦滝?しばらくで烏谷出合。小休止

 出合の滝を越えると・・・はや源流の様相!水流は細く、岩は苔生す・・・今日は沢の準備はしていても、ハイキングがベースですのでそんなに落胆はしませんが・・・しばらく行くと、チムニー状の滝!両足で突っ張って越える。右からも巻ける。ここを越えると短いゴルジュ帯で左壁がスラブ状で高い。新雪があれば少し嫌らしそうな所である。

 ゴルジュに小滝を超えていけば、2段(5m+3m位)の滝。1段目はザイルを出し水流の右の凹部を登り、2段目はフリーで左から間単に越える・・・・おやおや沢登りにはなるまいと思っていたが、少しばかり滝がありそうだ!
しかし・・・残念ながらこれでオシマイ! 2段の滝を越えると水流は急速に細くなり、二俣あたりで消失してしまう。


烏谷取付の滝を越えると・・・はや源流の様相
チムニー状の滝を越えると、幾つかの小滝がある短いゴルジュ帯
二段の滝、ひょっとすれば!と期待を抱かせるが・・・・・・水流はすぐ細くなり、そして消失

 右俣を進む。涸谷をたどると次第に傾斜が増し細くなってくると右手に急峻な壁が迫って来る。更に詰めればガスの中にボンヤリ奥壁が見えてきた。しばらく待てばガスが薄くなりひときわ高く烏ヶ山の岩峰が姿を現す。今立っている地点が標高1200m強だから、比高250m位だろう。なかなかの迫力である。

 本峰は左の尾根の向こう側にあるので今いる右俣をこのまま詰めると、鳥越峠から烏ヶ山に至る縦走路に出ることになるが、最後は崩壊し続ける壁になっており雪のない今は行く気にならない。今回は、偵察がてらのハイクなので最終的には、新小屋峠〜烏ヶ山の縦走路に出る予定である。従い、烏ヶ山本峰が見えたこのあたりで転進することにする。

右俣の涸谷を詰めると右手にブッシュ混じりの岸壁を落とす尾根が迫る
奥壁がボンヤリ・・・・・しばらく待つと烏ヶ山本峰の岩峰が姿を現す

 少し下り左の尾根を越えると小谷。出て正面を見ると・・・・・ド〜ンと先よりでっかい烏の岩峰が迫る!
 本峰北壁が正面に見えるのでこのまま詰めると北壁直下まで行きそうである。この小谷は次第に細いルンゼになって壁に吸収されていっているようだ。

 少しだけ詰めてみることにする。しばらくガレを詰めるが、浮石や枯れた木くずが多くなり、源頭らしくなってくる・・・・と、正面にルンゼをまたぐ雪塊登場!もう少し登ってみる。ブリッジを消えると脆い岩の小滝があり、これを越すと小谷はルンゼとなって傾斜を増しながら延びあがっていく・・・・ここらで転進するか

烏ヶ山本峰北壁!この小谷を詰めると直下まで行けそうだ
大きな雪塊!ブリッジになっているので潜ることも出来る。小滝上部の大岩までいく


 転進!小谷を少し下り小尾根を越えるとまた小谷。これはかなり小さい・・・・これも少し詰めてみよう。ガレを詰めると左から草付の尾根が迫る。傾斜はさほどなさそうだし、尾根上部は岩はなくブッシュのまま稜線に出られそうである。適当なところから草付の左壁に取り付くが、・・・・雨でしっとり湿った泥壁はズルズルで何とも足許が定まらない・・・・・ここを無理矢理越えてもあまり意味無いので、予定通り新小屋峠からの登山道のある尾根にあがることにする。

 少し下り適当なところから東へトラバース開始。小尾根を二ツほど越えると小谷に出た。この小谷の左が目標の尾根だから、この小谷は多分、左俣?と思われる。

【写真右:参加者全員(烏ヶ山本峰にて)】

 地形図にあるガレをやり過ごしてこの小谷を下ると、上部までブッシュがつながっている尾根が右から下りてきている。この尾根に取り付く。かなり急だが少し登るといつの間にか踏跡に合流してしまう。どうやらこの尾根が烏谷から烏ヶ山に至るノーマルルートのようである。15分ほどのがんばりで登山道にでる。

 登山道に出たところで小休止。時刻は11:50、地獄谷から取り付いて丁度3時間の散策、紅葉の秋と残雪期の雪稜に期待が持てそうな烏谷であった。

 少し休んで烏ヶ山に向かう・・・・さすがに登山道は楽である。尾根を登り南峰を越え、コルから岩場を越すと本峰に出る。時刻は、12:40。

左の草付の壁に取付くが、足許悪く転進。右写真奥は、登山道のある1230.5mのピーク
藪尾根をトラバースし左俣に出る。少し下降して登山道のある尾根筋を目指す

 烏ヶ山の登山道で荒れているのは、本峰から1386mのピーク間の稜線である。特に烏谷側が切りたっており注意が必要だ。大休止ののち装備はそのままで鳥越峠に向かう。稜線通しには行けないので木谷側の小尾根を少し下降、切れ落ちた急斜面を右にトラバースするが、ザレた所には古いフィックスがある。尾根筋にもどり、忠実に踏み跡をたどる。

 痩せた所や、壁の脆い所があり気を抜けない稜線であるが・・・・冬の厳しいところだけに此処彼処に咲く花が可愛い。とりわけ岩場に咲くイワカガミの群落が目を引く。気を抜かず、しかし少し愉しみながら1386mのピークまで行けばあとは峠まで問題なく漫歩気分である。

1386mのピークを越えていけば、正面に荒々しい岩肌の槍尾根を望めるところがある。思わず、ため息が出る・・・・う〜ん、やはり大山主稜はカッコいいですねえ!

ザレにはフィックスがある 烏谷側を通過するときは踏み抜きに注意!
岩場を飾るイワカガミの群落・・・・・ソフトを使って絵画的に処理すると、『絵』になります

木谷側は、所々岩肌が露出した急崖である
残雪期に詰めた南西尾根(左)、木谷とブナの樹海、環状道路を望む
ウロウロした烏谷。正面は右俣 右俣上部は脆い壁で崩壊中
新小屋峠からの登山道がある尾根。左端が、1230.5mのピーク
う〜ん、やっぱり大山はかっこいいですねえ!鋭いピークは槍ヶ峰

 
  鳥越峠、14:10着。小休止して装備を解く。鳥越峠起・終点の周回コース、7時間の旅でした。

 ハイキングにしては、ちょっと気を遣う山行であったが、沢、藪、ヤセ尾根、お花、それぞれ少しずつミックスされた結構愉しい山旅だったと思う・・・しかし、もう少し緊張感がほしかったですねえ。

 峠で本日はじめて登山者に会う。倉敷方面のグループで、降ったり止んだりの中、ユートピア小屋近くまで行かれたとのことだ。中には、此処大山で会ったことのあるような、無いような?方もおられた・・・・その安らかな笑顔から推察するにどうも大山病?ではとお見受けした・・・(失礼!)、しかし相手側も同じことを思われたかもしれない。

 登攀具をザックにしまい、すっきりして下山にかかる。登山口がちかずくにつれブナ林を散策されている多くの人に出会う・・・・やはりブナ林はいいねえ。皆さん、存分に愉しんでください。

下山だからさすがに足取りは軽く、1時間弱で登山口着、15:15でした。参加者の皆さん、お疲れ様でした。

 


久しぶりに、『ふる里』で食事し、神郷温泉で汗を流しました。

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Reported by Y. Kubo   Photo presented by K. Akazawa