富士山:須走口〜剣ヶ峰 2006.06.03-04 |
■5月末から6月初めの富士山は、晴天に恵まれると残雪の白、岩稜の黒褐色/茶褐色、そして青空のコントラストが眩しい。今回訪れた須走口からの登山は標高2500m近くまで樹林の道!・・・・御殿場口、富士宮口、吉田・河口湖口、いずれもいきなり砂礫と溶岩の道だが、ここ須走口は樹林帯に始まり、次第に潅木帯に、やがて砂礫と溶岩に変わり、ラストが雪・・・・ただただ斜面を登るだけの単純な登行だが、他のルートに比較して周りの変化が愉しいルートである。 いまの時分、天気が続くと毎日50cmも雪融けが進むらしい(登山口小屋主人の話)・・・・・5月中〜6月中に現れる、『まぼろしの滝』も、この雪解け水が造り出す富士の歳時みたいなもので、須走口の登山口からさほど遠くない所に出現する。やはり山は、季節の変り目が変化があり、危険も多いが愉しみも多い、と思う・・・。 ところで、何で又、富士山へ?・・・・目的は、う〜ん・・・まあネ・・・イロイロありますわね。 |
■コースタイム: ・06/03 登山口駐車場(2000m)07:45発〜見晴館着(3190m)12:00〜14:00着 ・06/04 見晴館(3190m)04:00発〜頂稜(3700m)06:00/06:25〜剣ヶ峰(3776m)07:00/07:10〜見晴館(3190m)08:05/08:30〜下山道経由登山口09:45着(ブルトーザー道経由下山09:55着) |
■参加者:岡村M、岡村S、高木、赤澤、久保、以上5名 |
■06/02 21:00北九州(門司)出発。御殿場ICで高速を降り、R183号を富士吉田方面へすすむ。東富士五湖道路の起点の須走から『ふじあざみライン』にはいる。自衛隊の演習場を横に見て直線的に高度を上げる。やがてジグザグに進むようになると、昨年11月末閉鎖されていたゲートを通過、ぐいぐいと高度を上げ、06:50、標高2000mの登山口到着。下界は曇りだったが、ここは低い雲の上、薄いガスがかかるが概ね晴れのようだ。富士の全容も仰がれまずまずの天候となった。 ■06/03 駐車場はがら空き、適当な所に止め支度していると・・・ガスの動く合間に富士が見える。ここから標高差は1700m、さすがに高い!がのんびり行けば行けるでしょう。支度終わり、登山口は向かう。入口に、標高2000mの標示碑あり。売店を兼ねた小屋の前を通ると・・・小屋のおばさんに、椎茸茶どうぞ!と勧められる。サービスとのことだからいただく、がなかなか美味い。 進むと古御岳神社がありその横から樹林帯にはいる。良く整備された登山道で、樹林帯だから日も差さず気分良く歩ける。登るにつれ樹林帯は次第に背の低い灌木帯に変わるが、季節は次第に逆に進み、鮮やかな新緑から優しい若葉に、そして芽吹きに変わっていく。 予定では遅くとも山頂泊まり、の予定。従って、3000mまでは、350mピッチで、以降は、200mピッチの計画である。 |
須走口駐車場から仰ぐ富士 | 登山口。標高2000mの標示碑 |
登山口の小屋 | |
古御岳神社 |
ハンの木やダケカンバなどの広葉樹林帯を行く・・・・次第に灌木帯、しばらくで富士が見える |
灌木帯を抜けると視界が開け富士が視界に入る。今から頂稜に出るまでず〜っと富士をみて歩くことになる。予定通り、2350mあたりで1回目の休憩。今のところ、全員快調? |
砂礫と灌木帯に変わる | 標高:2350mあたりで1回目の休憩 |
ガスが取れる・・・青空に残雪が映える | 林館?標高:2425m |
残雪で登山道が埋まったダケカンバ帯を通過すれば、砂礫、低灌木と溶岩の道になる |
次の休憩は、2700m。上部に小屋が見える・・・多分、瀬戸館だろう。見晴らしの良い所の登行はそうだが、見えるほど近くはない・・・あまりきょろきょろせず一定のペースで進むと瀬戸館(閉鎖中)に出る。ここで休んでもいいが、予定より早めに休むとあとできつくなるので、2700mを越えるまで歩く。 |
瀬戸館(2627m)を通過、小屋を見下ろす2700mあたりで2回目の休憩 |
次の休憩地点、3000mを目指して・・・ 右上に太陽館が見える |
太陽館(2920m)。開館準備中! ヒマラヤのような雰囲気 |
太陽館を越えると雪渓・・・ これは頂稜直下まで続いている |
標高:3050m、3回目の休憩・・・ しかし後続がなかなか来ない? |
今回は共同行動前提できているので、頂稜まで行くのはやめ適当なところで泊まることにする。その旨、サポーターに伝え、先発する。少し行けば白い鳥居があり、くぐると見晴館である。テラスは狭いが、小綺麗なベンチがあり、小テント2張りは問題なさそうだ。標高は、3190m、頂稜まで500mちょっとしかない・・・時刻は、まだ12:00、ちょっと早いがここで泊まりましょう。 |
お〜い!、ここが今日のお泊まりよ〜・・・・今日はなぜか絶不調!最終ランナー到着 |
文字通り見晴らしの良い見晴館(標高:3190m)前のテラス。今日はここでお泊まり! |
■06/04 夜半過ぎ、外国人グループの話し声で目が覚めたが、未だ早いのでウトウトする。03:00起床、簡単な朝食を済ませ、テント撤収、必要なものだけパッキングし残りは小屋の隅にデポする。 04:00出発。50m程登ると残雪の広大な斜面に出る。夏道は、トラバースして向こうの尾根に取り付き、吉田口からの登山道に合するが、それでは”モッタイナイ”のでアイゼンを履き頂稜まで直登することにする。 斜度は下部は緩く上部はいくらかきつくなる。まだ日の出前、雪はしっかり締まりアイゼンがしっかり効く。標高差およそ500m登行の単純労働だが、そもそも単純さは登山の本質?如何にに愉しめるか、ですからネ。 今日も下界は曇天なのか見事な雲海が眼下に広がる。3400mあたりで夜明けを迎える。振り返れば、東の空、雲海にゆっくり真っ赤な太陽が昇る。富士の大気は澄んでいるが、日出るあたりはそうでもなさそうで、雪面の燃え様は少し頼り無げだ。それでもぴりっとする冷気のなかに迎える朝日にはなぜかしら感動する。 しばし朝日をみたら、振り返り又、単純労働に精出す。雪面は、スプーンカット状になりステップを刻みやすい、が傾斜もあり、基本的にはジグザグ登行が楽である。さすがに3400mを越えると空気の薄さを少し感じる。息が切れるような登行をすれば、回復に時間がかかる。ハアハアせぬようなスピードで歩くのが疲れないコツである。 |
2000mあたりの雲海を越えて夜明けの太陽が顔を出す 朝日を浴びると冷気に包まれた登行が少し和む |
仰げば頂稜まで一面の雪壁、振り返れば、雲海を足下に雲上の登行 |
頂稜直下50mくらいのところで雪面は途切れ、ザレた斜面に変わる。アイゼン外し一登りで小屋のある頂稜に出る。テント数張り有り。出発時刻が少しずれたので、到着も、06:00〜06:25となった。全員そろったところで時計回りで剣ヶ峰に向う。登山道に残雪はなく、火山特有のザレた道を伝い、伊豆岳を巻いて行けば左下に宝永火口、遥か下方に御殿場口が望める。 東安河原から少し下降すれば、御殿場口への登・下山口、一登りすれば浅間大社奥宮で、富士宮口への登・下山口である。正面に剣ヶ峰が近づいてきた。更に歩を進め、馬の背を通れば最後の登り。10分足らずの登りで剣ヶ峰に出る。 07:00、剣ヶ峰到着。外国人2グループ、7名ほど先着しており、夫々日本最高点をあじわっているようだった。ドイツ人に聞くと(勿論、Englishで),昨夜、22:00、駐車場に到着、そのまま登りはじめて、6時間かかったとのこと・・・たまたまとはいえ、山頂は外人が多い、とは・・・・富士山ならではのことでしょう。 |
お〜い!ここでオシマイですよ〜・・・・今日は全員快調です! |
宝永火口を見下ろす。御殿場口方面 | 正面は、浅間大社奥宮。奥のピークが剣ヶ峰 |
火口を隔ててみる剣ヶ峰(左中央)と直下からの剣ヶ峰 |
日本最高点でくつろぐ・・・・なかなかイイですよ・・・・全員、快適、快調な足取りで到着、お疲れ様です! |
泊まりであればゆっくり出来るが・・・いつも通り、今日中に下山、北九州へ帰らねばならない。 10分ほどで下山開始、今日は、周回せず元の道を戻る。夏道を辿り、3600mあたりからアイゼンを履き雪渓を下る・・・・少しゆるんできたが、見晴館の直ぐ近くまで快適下降!デポ荷を回収、パッキングし直して残り1200mの下降にかかる。太陽館は、今日も準備に精出していた。 太陽館から右手にブルトーザー道を少し行けば、下山道の標識がある。先発3名は砂礫のズルズルしたこの『砂走り下山道』を下る。後発2名は、そのままブルトーザー道を下山した、とのこと。どちらが歩きやすいかと言えば、どうも後者のようだ。距離も変わらない・・・・しかし、後者は駐車場の横に出る。前者は、登山口の売店兼用の小屋に出る・・・この差はオオキイ! |
『ブルトーザー道』を下山する後発2名 | 『砂走り下山道』をたどる、先発3名 |
【砂走り下山道先発3名の記録】 声をかけたのはお店の主人、彼からイロイロ富士山情報を聞く。最近の遭難のこと、雪融けのこと、小屋の開設時期のこと、あざみライン開放の時期、等々。 |
【Reported by Y.Kubo Photo presented by S.Okamura, K.Akazawa & Y.Takaki】