西中国山地:奥匹見峡(三ノ谷)&高岳〜聖湖 2006.05.28


■新緑の眩しい西中国山地!沢登ハイキングを愉しむ!

 天気予報は、曇り時々(あるいは、所により)雨を告げていたが、予定通りでかける。参加者は、沢組:8名、ハイク組:3名の計11名である。ハイク組は、奥匹見駐車場から県境尾根に出、最近整備された県境尾根ルートを辿り、高岳(標高:1054.3m)に立ち、時間あれば聖山(標高:1113.2m)により聖湖に出る予定だ。沢組は、昨年遡行した『二ノ谷』の隣にある、『奥匹見峡(三ノ谷)』を遡行する。多分、沢の方が早く終了するので、待ち合わせ場所は、聖湖畔の民族博物館である。

 沢組は予定通り早く終了したので、聖湖に移動、待つこと1時間強でハイク組3名とめでたく合流する。別行動で、所定場所で、しかも時間通り合流する、というのは簡単なようだが、以外と難しい。
昔は、勘違いや行き違いがあったが最近はそういうことが少なくなった・・・皆さん、少しずつ成長しているのかな

 

【奥匹見峡(三ノ谷)遡行】

 高岳方面に向う3人を見送り駐車場で支度して、すぐ入谷する。曇天の為、陽射しがなく水が冷たそうだが、シャワークライムがなければそこそこ愉しめるでしょう。皆さんの出立ちは、標準仕様を中心に雨具着用から短パンまで・・・各人各様で臨みます。

 資料では、F1からF7までは簡単に直登出来る、とある。なるほど、まさしく9:00入谷してから9:30、F8に出るまでは河原歩き+α程度の遡行となった。しかし顕著な滝は無いが、苔生す岩、曇天ながら眩しい新緑、そして濁り皆無の清流が、谷歩きを愉しくしてくれる。遊歩道が上部まで通じているようであるが、ほとんど気にならない・・・しかし晴天の盛夏であればいくらかは見せ物になるかもしれないが・・・。

 F7:魚切ノ滝を越え、小滝を幾つか越すと両岸岸壁が迫り、岸壁を割って垂直に水流を落とすF8:小龍頭の滝(10m)が現れる。


本日はこのメンバーでまいります 冷たいので濡れないように!
遊歩道橋が右岸から左岸へ F3(3m)?暑ければ勿論水流を行きます
苔生す岩、新緑と清流、滝は少なくとも気分のいい遡行が味わえる。右は、多分、F4?
滝と言えば滝ですからこれもカウントされているようです。F5とF6?でしょう。
F7:魚切の滝(5m)?右から飛沫を浴びて越える F8:小龍頭の滝登場

 やっと落差のある滝に出る。F8:10mで『小龍頭の滝』と呼ばれている。滝頭から垂直に勢いよく落ちている。左岸は切り立ち近づけないが、右岸は岩が張り出している。右岸にあがり詰めると垂壁・・・いけそうもないなあ、と思ったがよく見ると3m位のところに残置ハーケンがある。そのすこし上にリングボルトも見つかる。
ここがルートのようだ・・・ザイルを出す。フリーでハーケンにクリップしようと試みるが、壁から体がはがれそうで・・・思い切りよく伸び上がれない。仕方ないので背中をすこしサポートしてもらい何とかクリップする。

 次のボルトまではフリーですこし登らねばならないが、手がかりなし。やむなしA1でいくか・・・長・短のシュリンゲをかけアブミ代わりにしてボルトにクリップ、更に上のボルトに短いシュリンゲをかけ、それに乗り移る。ようやく岩の上部に手がかかり、乗り越すことができた。

 外傾した小テラスに上がると左壁にリングボルトあり。クリップして左壁にあがろうと試みる。つるつる岩のマントリングになるが・・・どうもすっきりいけそうでない。どうするか、と思いあらためて滝頭を見ると勢いよく流れる水流の左端に残置ハーケン2本が見つかる・・・・・もっときちんと観察すべきだった。

アンザイレンしているザイルは15mなので後続1人にテラスまで上がってもらう。残置にランニングを取り滝頭に立つ、そして左岸の岩の上に上がり込み太いブッシュにフィックスする。テラスから50cm程下方にある滝側の外傾したスタンスに立たねばならないが、この一歩が少しいやらしい。

 カラビナケーブルで二人ほどあがってもらうが、万が一スリップしたら滝のど真ん中に宙吊りになるので、40m一本あげ、残りはスタカットであげることにする。
ここでだいぶ時間を食ってしまうが、久しぶりに気合が入った登攀になり、皆さん、御満足のようでした。

F8:シュリンゲを利用してテラスへ・・・水流の左端をフリクションで滝頭に出る

 『小竜頭の滝』を越えると、左手に、『大龍頭まで、200m』の標柱を見る。資料では、大龍頭の滝がF13になっているので、200mの範囲内でF9からF12まで連続するようだ。しばらくで釜を持つF9(2m)。右から越える。階段状を越えていくと、水勢のよい斜滝:F10が現れる。

 盛夏であれば、シャワーが愉しめるのだろうが、今日は少々冷たい。小さなリッジを伝い右端を登るが、どうしても濡れてしまう。しかし水遊びするのであればこの程度の斜滝が一番愉しい。


F9:姫滝。右から越えると、水勢のいいF10:斜滝(鎧滝 10m)が現れる
F10:水しぶきが直撃、思わず顔をそらす・・・・右端を登るが、今日はシャワーは避けられない

 F10を越えると、次は、釜を持つF11:2段の滝(2m+3m)。左手から取り付く。上段は易しい左壁を登る。

 続いてF12:夫婦滝(10m)である。二条に流れ、左側(雄滝)はチムニー状で勢いがいい。通常は、雄滝を登るらしい。今日の水量だったら全身シャワー間違いなし・・・盛夏であれば雄滝が面白そうだが、少し冷える今日は水量の少ない右側:雌滝を登ることにする。易しいフリーで上段まであがり、左リッジ状の岩を越える。


F11:2段の滝。左壁を伝う易しい岩登り
F12:夫婦滝。左の雄滝が面白そうだが・・・全身シャワー間違いなし・・やはり今日は雌滝がいい

 奥匹見峡(三ノ谷)の盟主は、F13:『大龍頭の滝』(50m)。さすがに見上げる程高い。滝見物で大休止する。時刻は、10:50。09:00に出発したから、ここまで1時間50分程かかった。資料によれば、F8からF12までが本谷の愉しい部分で、F13の大滝で終わりのようだ。この上流は小滝が続き、県境尾根まで行けるとのこと、折角だから縦走路まで詰めることにする。

 遊歩道は右手にある。『鹿の背』の標識があり木の根を伝って越えると枝沢の左を行くようになる。すこし沢を登り、岩壁が消えたところで左手上部の尾根に向かい急でよく滑る草付を登る。尾根に出るとすぐ谷に戻る。

大龍頭の滝をバックに記念撮影
F13:大龍頭の滝(50m) ここから遊歩道?は険しくなる

 F13を高巻いて谷に降りるとゴーロになり、時たま小滝が現れる。静かな谷になりあらためて周囲を見れば曇天にかかわらず新緑が眩い。フィナーレの雰囲気に近くホントに小滝しかないんだろうな、と思い歩を進めると・・・・・・あに図らんや、釜を持った立派な滝が続いて出てくる。いずれも泳がねば滝に取り付けそうにないので高巻かざるを得ない。

 顕著な滝が4ヶほど続いて現れ、最後は、10mを越す斜滝で締めくくりとなる。斜滝は、少しシャワーを浴びながら気持ちよく登らせてもらう。

ゴーロの谷。谷が静かになると、自然と目は周りの新緑に!
5m位か?右から高巻く 7−8m?。これも右高巻き 5m位?左から高巻く
2段の滝。上段は釜あり
右壁をへつり気味に直上
フィナーレにふさわしい、快適なナメ滝風な斜滝

 斜滝を越えると、急に傾斜はゆるみ源流域に入る。両岸にササが迫ってくると本谷は終了に近い。新緑を愉しみながら行けば二俣。このまま詰めても下山路が長くなるだけなので、左を取る。しばらくで水流はなくなりササの斜面に変わる。

 薄いササを漕ぐことおよそ15分で稜線の登山道に出た。時刻は、12:00、出発してから丁度3時間である。F8で少し時間食ったが、あとはザイル出すこともなくスムーズで愉しい遡行になった。これで谷に木漏れ日でもさしたら・・・・爽快感は倍増!

 15分ほど休憩し、少し飛ばして下山する・・・丁度小雨がぱらつきだした30分後、駐車場到着。皆さんお疲れ様でした。



■所要時間:入谷〜稜線登山道まで3時間。下山:30分
■参加者:林、原田、伊津見、高木、橋本、赤澤、岡村S、久保、以上8名

■資料:『西中国山地の沢』 (宇部山岳会 三浦 章 著)

(Reported by Y.Kubo Photo presented by S.Okamura & K.Akazawa)


【高岳〜聖湖】


 このルートははじめて歩く。ネットで調べると最近切り開かれたらしくまだポピュラーにはなっていないようだ。しかし西中国山地の中心地だけにブナ林は期待できそうだ。

奥匹見峡駐車場が、天杉山登山口である。沢組と分かれ09:00出発。急坂を登り尾根に出る。いくつかピークを越していくと天杉山・高岳分岐に出る。10:15着。

 しっかりした標識が設置されている。しかしさほど高い標識ではないので積雪期は埋もれてしまうのではないだろうか。

 ここから私達は左折し新しい切り開きを辿り高岳に向かう。
登山道は、ササが綺麗に切られているが、訪れる人が少ないのか切り株が伸びて歩きにくい。


 10:15、分水嶺の標識。聖山への分岐を12:05通過、12:45高岳山頂に到着。あいにく小雨に煙って景色はまったく見えない。ともあれビールで乾杯!
山頂は広く、天気がよければのんびりできそうだ。北にテープのついた道ができているが、多分、八幡高原に通ずるのだろう。聖湖方面は東側に進みカーブしたところにある。山頂からみるとすこし判りづらいので、八幡高原方面に下りてしまいそうだ。

 このルートは、ブナ林がとてもいい山道ですが、ササも多く熊よけが必ず必要と思います。そして、モット沢山の人が歩かないと、ササに埋もれてしまいそうです。

 時間あれば、聖山経由、と思っていたが天候も良くないので高岳から直接聖湖に下山する。湖畔にでて民族博物館まで車道を歩かねばならない。沢組はもう終了して博物館あたりにいるはずだから迎えに来るかも・・・・と言いながら歩いていくと、思った通りお迎え車がやってきたのです。

 自然林豊かなこの地区、また秋の紅葉シーズンに訪ねたいものです。

■参加者:鉄井、青木、三栗、以上3名

(Reported by Y.Tetsui  Photo presented by S.Mikuri)

新緑のブナ林の散歩を愉しむ・・・・クマが怖くてず〜っとおしゃべりしていました
最近整備されたばかりです 天杉山〜恐羅漢山方面と高岳方面との分岐
高岳に到着。あいにくの小雨で眺望は得られず・・・しかし、新緑は十分愉しみました

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