【続報】四国赤石山系:沢登と縦走の山旅
二ツ岳北面に入るのは、2回目。前回は、わさび谷で比較的楽な遡行であった。浦山川本谷は高巻きが多く時間がかかりそうだし、鉱山の谷は、実質的には敬天の滝より上部が対象となり谷泊には短そうなので、中級?と思われるイチノマツコ谷を選定する。折角だから中の川登山口近くから遡行することにした。 【コースタイム】 10/21: 中ノ川登山口(08:45)〜入渓:標高420m(08:50)〜鉱山の谷出合(09:40)〜ホーロク谷出合(10:00)〜イチノマツコ谷出合:標高570m(11:15/11:25)〜二俣:標高980m(14:45)ビバーク 10/22: 二俣出発(07:00)〜奥の二俣:標高1200m(07:55)〜稜線:標高1620m(10:00)〜二ツ岳:標高1647.3m(11:20/11:40)〜林道終点登山口(13:30) ■リハビリ山行(久保)のため、コースタイムは、谷遡行で+20-30%、二ツ岳からの下山は、+50%程度になっています。 |
縦走Gを東平まで送った後、国道に出て二ツ岳登山口へ移動する。 ネットでは、林道の舗装工事が進んでいるような印象を受けたが、それは林道の上部のことで,中の川登山口までは、前回訪れたときより幾分改良されているものの、凹凸と轍の深い林道に変わりはない。 中の川登山口の空き地に駐車、支度をしてすぐ横にある踏み跡から谷に入る。数分で谷に降り立つ。二ツ岳からエビラ山にかけた北面を流域にしているには水量が少ないようだ。このところしばらく好天続きだし、季節も秋だからこんな具合なのかな。 しばらくはゴルジュ帯のようだが、谷は浅く開けており気分よく進む。 【写真右:中の川登山口 二ツ岳まで、2時間40分、峨蔵越まで1時間40分、林道終点の登山口まで4km】 |
この辺りは標高は、500mに満たないためか紅葉はまだまだである。しかし暑いことはなく、木々も僅か色づき初秋の風情はたっぷり。しばらくはゴーロと小滝を越えていくが、やがて狭い廊下に出る。勿論泳ぐ気などないから、左岸の踏み跡をたどり、巻いて谷に戻る。あまりポピュラーな谷とは思われないが確かな踏み跡・・・・釣り人か? |
しばらくすると少し薄暗い廊下、左岸から巻いて越える |
ゴルジュ帯であるが、浅く明るい。淵、小滝、ゴーロを進む |
小滝を超えていけば、右岸より鉱山の谷(写真:中)が、続いてホーロク谷(写真:右)が出合う |
ホーロク谷出合を過ぎしばらくで両岸が切りたつ廊下になる。トポでは右岸から巻いているようだが、原田、伊津見の2人は、へつって何とか越える・・・かなりきわどかったとのこと。残りはあっさり巻くことにする。廊下を越して谷に降りると釜のある二段の滝、一段目は左より越えるが2段目は深い釜に阻まれ行けそうもない。左手壁に手がかりがあるので、空身でザイルをのばす。ホールドにしたフレークが割れるアクシデントがあったが、何とか越える・・・・ザックを背負っての岩は結構、厳しい! 二段目を巻いて谷に戻れば、ようやくイチノマツコ谷の出合である。浅い淵に小滝で出合っているが、実に静かである。本谷のほうもこの先困難なゴルジュがあるとは思われないほど、流れは小さい。小休止して腹ごしらえする。ここまではトポでは、一言二言簡単に記してあったが、実際には入谷しておよそ2時間半かかった・・・・やはり、谷は来てみないと解らない! |
二手に別れて廊下を越えると、二段の滝が現れる |
一段目は左から越えるが二段目(写真:中)は困難、左壁から越える |
『ナメと釜が見事!』(日本登山体系)との表現に興味を引かれイチノマツコ谷にはいるが・・・・なるほど苔生す岩と碧色の釜、適度な高さの滝が、うまく調和した山水画の世界を愉しむ。大滝はないが、小滝やナメ滝は、切れ目なく続く・・・いずれも問題なく越せるが、水流のある岩は少しぬめり気味で滑りやすくい。しかし岩のくすむ緑は、周囲の黄昏の緑にとけ込んで全体がモスグリーンの世界だ。 |
静かなイチノマツコ谷出合 写真正面の滝は、浦山川本谷 |
左俣(イチノマツコ谷)にはいる |
苔生す岩、紺色の釜、そして適度な高さの姿・形の滝がうまく調和し 山水画の世界を演出してくれる |
いくつもの小滝、ナメ滝を越していく。全体的に岩は苔生し、谷全体がモスグリーン! |
10m以上ありそうな2つの滝、いずれも巻いて越える |
イチノマツコ谷に入って、1時間40分、核心部の連瀑帯に出る。資料では、8m、20m、40mである。右岸からの高巻きになるが、その前に小休止、腹ごしらえをする。見上げると上部の両岸は高く、滝の高さ+αで、100m以上高巻く必要がありそうだ。 一服したら出発、左のルンゼをあがる。草付ルンゼのため岩が浮いておりラクに注意がいる。慎重にあがり適当なところからトラバース気味に右上する。傾斜が強いのでブッシュ頼りに踏み跡らしき所をトラバース、滝を越したと思われるところから、30mの懸垂下降。丁度、谷心まで僅かの所に降り立つ。 谷に戻るとスラブ滝、直登は無理なので巻く。続く斜滝は右から越える、と上部は大岩が重なり二俣のようである。高度計は、1000m、地形図では、980mくらいが二俣なので、間違いなさそうである。 |
本谷の核心部(8m,20m,40m)は、右岸から一気に巻き、30m懸垂で谷に戻る |
一つ目のスラブ滝(写真:左)は巻く。続く滝を直登していけば、大岩の重なる二俣に出る |
二俣着、14時45分、ビバークには少し早い?が、久保の膝を考慮してもらい二俣泊まりとする。二俣基部あたりに僅かの砂地があるのでそこを中心に整地開始。相当なアルバイイとなったが、ツェルト2張り分の平地を造成する。 谷(沢)泊の愉しみは、やはり『たきび』と『焼酎』!勿論、ビールは荷揚げしていますが、やはり焚き火囲んでの焼酎が一番!二俣は、標高約1000m、見ると周りは、秋色の気配・・・・酒を暖むるに紅葉を焚く・・・の世界!です。 |
秋色が濃くなった二俣。谷泊の最大の愉しみは『たきび』、焼酎が旨いよ! |
22日は、曇天の朝だが、雲底は高い。7時出発、右俣にはいる。ゴーロを越せば小滝、左から越えると上部はナメ滝、スラブ滝が続く。岩がぬめって滑りやすい。スラブ岩には、落ち葉がたまり、黒々した岩に映えて美しい。しばらく進めば上部に、石積が見える。勿論、人工物である。何の為のものか解らないが、鉱山の谷の名称があるくらいこの山系は、昔から人の手が入っている・・・これもその昔の名残なのか。石積のあたりはビバーク可能である。 |
落ち葉のつもる滝を越していけば、正面に石積が現れる |
更に進めば、標高1200mの奥の二俣。二ツ岳に近い左俣にはいる |
左俣は急峻なルンゼになっている。岩には苔がびっしり付いて滑りやすく気が抜けない。ラクとスリップに注意してじりじり詰める。すでに水流はなく、少し詰めたところで登山靴に履き替える。ルンゼ内の涸滝を越えていけば、大きなチョックストンの滝に出る。ここは、右のルンゼからあがる。難しくはないが浮いた岩が多く注意深くはい上がる。こういうところはザイルを出すまでのことはないが、浮き石をつかめば終わりだから、一にも二にも慎重に! |
急峻なルンゼを詰める。こういう所でラクがあれば逃げようがない・・・慎重に! |
ルンゼにチョックストンは付き物、乗り越えるのは結構やっかいだ |
標高1500mを越える。秋色に彩られた急坂、秋味たっぷりの登行が愉しめる |
ほぼ安全地帯の稜線にでる。小休止の後、二ツ岳への縦走開始。踏み跡が落ち葉に埋もれた所が結構あり、紛らわしい箇所がある。稜線上は幾つかの岩峰があり、小さいものは越えるが、大きなものは右や左から巻くようにつけられている。テープも要所にはあるが、無いところもあり、あわてず注意して進んだ方がいい・・・間違って登り返すのが一番疲れるからね。 |
岩峰、岩塔の多い稜線。巻くのに登下降が多く結構疲れますヨ |
エビラ山〜黒岳方面を望む |
写真上:縦走路から二ツ岳方面を望む 写真下:二ツ岳山頂 |
二ツ岳山頂の展望台からの岩峰 |
写真上:岩峰:鯛ノ頭、遠くに赤星山を望む 写真左:鉱山の谷の敬天の滝(落差:70m) |
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ウェブサイトで見た舗装された林道は、上部の一部で、大部分は未舗装である。しかし悪い部分が舗装された為、アクセスが改善され、上部の登山口が一般的になっているようだ。 下山時刻が予定より少し遅れたため、縦走組との待ち合わせ時刻:15:00に少し遅れそうだ。 国道に出て、車をデポしている道の駅に向かう。途中、縦走組より電話。40分程遅れる旨連絡するが、15時30分には中七番:住友フォレストで縦走組をピックアップする。 温泉は、いつもの湯ノ谷温泉・・・ついでに食事も済ます。17時過ぎに温泉出発、しまなみ海道経由で帰北したのは、23時前でした。 参加者の皆さん、お疲れ様でした。来年度も、四国の山旅に御参加ください。 |