白山:大白水谷&大倉尾根〜御前峰 2006.09.23-24 |
■当初予定の四国行き参加希望者は5名・・・・・四国もいいが・・・前回の中アで、お花畑に吸い込まれるようにして終わる沢登の爽快さを体験したので、出来ればもう1本標高の高い沢(谷)に行きたい!・・・・それで費用を見積もったところ、四国行きの30%増しで白山辺りまで足をのばせる事がわかった。しまなみ海道は山陽道とは一旦切れる上、ETC深夜割引がない為、距離基準でみれば割高になる。 気象情報では、2日とも天候に恵まれそう!・・・・ならば、好天時に遡行しようと思っていた白山東面:、『大白水谷(おおじらみ谷)』に行こう!急遽目的地を白山に変更、皆さんの了解を取る・・・・沢に入らない2人には、未知の大倉尾根から愉しんでもらうことにする。 |
■山行計画:大白川ダム駐車場〜御前峰往復前夜発1泊2日 ●沢登 大白川ダム〜大白水谷〜御前峰〜大倉尾根下山 御前峰まで標高差1500m、沢1泊2日、泊まりは、1800m付近、遡行時間:8−9時間、下山:3時間 ●尾根 大白川ダム〜大倉尾根〜御前峰〜大倉尾根下山 御前峰まで標高差1500m、山頂付近1泊2日、登行時間:6-7時間、下山:3時間 ■参加者: ●尾根 鉄井、加藤 ●沢登 原田、赤澤、久保 |
霊峰『白山』 【室堂案内板】 「白山」は、富士山、立山と並んで古来日本の三名山とうたわれ、霊峰としてあまねく知られております。 白山火山帯の主峰である「白山」は御前峰(海抜2702m)、大汝峰(海抜2680m)、別山(海抜2399m)の三峰から成り立ち、手取川(石川)、九頭竜川(福井)、長良川(岐阜)、庄川(富山)の四大水系の分水嶺を形成しております。 最高峰御前峰の頂上に祀られた「白山奥宮」は全国各地に分布する三千有余の白山神社の総根元社であります。 白山奥宮の境内2,759ヘクタールの地域は、古来いのちの親神として斎き奉る白山比淘蜷_の御神体として仰がれておりますが、去る昭和37年11月、この白山奥宮境内を中心として石川・岐阜・福井・富山の四県に亘る47,402ヘクタールの地域が「白山国立公園」と指定されました。 国立公園「白山」の最もすぐれた特色としては、@豊富な動植物、A広大な原生林、B美しい自然景観、などが挙げられます。 悠久の昔から禁足の神体山として信仰されてきた「霊峰白山」は、中世以降は「修験道」の道場として開山され、「登拝」の対象とされてまいりましたが、郷土の誇りであり、日本人の心のふるさとである「白山」を、今後とも一層美しく守りつづけるため、神山の大自然を傷つけそこねることのないよう、お互いに十二分に注意いたしましょう。 【写真右:室堂白山奥宮】 |
■09/22、20:00北九州発。名神に入り小牧ジャンクションの手前から『東海北陸自動車道』にはいる。標高、1000m近いひるがの高原SAを過ぎ、荘川ICで高速を降り、R158〜R156経由で、御母衣湖に出る。御母衣ダムの下流、平瀬温泉が大白川ダムの入り口である。順調な走行で、出発して、8.5時間後の04:30、平瀬に到着する。 |
尾根を行く2人は、07:20出発 室堂まで6.9km、標高差は1200m |
沢登組も、07:25出発 |
白山:大白水谷遡行、大倉尾根登行 & 室堂平〜御前峰散策ルート概念図 |
■コースタイム: 09/23 平瀬道登山口07:25〜大白水谷入渓07:27〜大滝09:00〜二俣11:30〜ビバーク地(1830m付近)12:00 09/24 ビバーク地05:40〜終了点(2430m付近踏跡)08:00〜登山道(平瀬道)08:15〜室堂08:30 |
駐車場から車道をほんの少し戻れば取付の橋である。右岸のブッシュ帯の踏跡を辿る。格別に踏まれているわけではないので、しばらくいって水際に出る。トポでは小1時間ほど河原歩きとなっている。水は有色でいくらか白濁?丁度、温泉から流れ出るお湯のような湯ノ花混じりの青色をしており、所々白い岩があって、これが溶け出しているようだ。これで水が温ければまさしく温泉!なのだが・・・勿論、温いわけはないが、思ったほど冷たくもない。 |
温泉地帯を行くような河原歩き。快晴のもと広く明るく開けた河原を辿る |
ゴルジュ帯の入口でちょっとしたアクシデント発生・・・大したことなさそうなので遡行続行する |
やっと滝場に出る!・・と前方に目を移した途端、久保の右足が踏んだ岩が左にグラリ!と回転、右足が落ち込んでしまう。膝が岩に当たり少しねじる恰好になった。岩にあがり様子を見るが、少し痛むものの足首は何ともなく歩くには支障なさそうなので遡行続行することにする。 ゴルジュといっても谷は開けているので、明るさは少しも変わらない。取付からの3ヶの滝は、直登無理で左から巻きあがるが、次の2つは直登する。4mは右から、8mも右からへつり右壁を登る。快適な登攀で滝上に出ると、奥に25mの大滝がひときわ高い。 |
ゴルジュ帯にはいるが、開けた谷は明るい。滝3ヶ程左から巻く |
明るい谷、 気分のいい遡行になりそうだ |
2条4mは中央から越す |
8m直瀑、右から少しへつり右壁直上、快適! | 奥に25mの大滝 |
25m大滝下に出る。この滝は、地形図に記載がされている。標高は、1450m. 見る限り傾斜はさほど強くなく、左壁を直上出来そうだ。原田トップで快適にザイルをのばし滝上に出る。ホールド、スタンス共に適度にありV〜V+といったところか。ザイルスケールで30mである。 |
大白水谷最大の大滝、左壁から快適に直上、落口に出る |
大滝の上流、斜滝を越えると、2段20m。右壁を行くが途中の大岩から上部がシビア、無理せず大岩下を右から回り込んで草付を登るが、かぶり気味の大岩の回り込みが、ザックの重みで後ろに引かれそうで少しバランスを要する。草付から谷に戻れば次は愉しい斜滝が幾つか続く。陽光の下、爽快な気温の遡行であまりに気持ちがいいので、滝を越えた所で休憩。 |
2段20m、大岩の下まで右壁を登りから岩の下を右から回り込んで草付を登る |
快適な斜滝が続く。あまりに気分がいいので休憩! |
小滝や大岩をこえると15m位の直瀑 |
15m程の直瀑、右から巻く | 陽光に輝く白い岩の滝 |
白い滝はシャワーを浴びて直登する。この辺りから白い塗料でペインティングされたような岩の滝が目立って多くなる。いずれも滝も容易に越せるが、登る愉しさもさることながら、この白い滝は眺めてもなかなかいい。蒼い色の釜、樹林の緑、そして青空とのコントラストが鮮やかで、輝くような色彩際だつ世界に引き入れられたような遡行になる。 幾つか白い滝を越すと、白くデコレートされ、ひときわ華やかに輝く白い滝に出る・・・少し離れてみるとこの滝は美しい!色彩的には岩壁と樹林とのコントラストが際立つが、配置も形もイイ!特に、衝立のような滝上流の柱状岸壁が白い滝に立体感を与えているようだ。 |
水しぶきも白いが、滝の岩も人工的にペインティングしたように白い |
ゴーロをはさみながらいくつも白い岩の滝が続く |
白くデコレートされ、ひときわ華やかに輝く白い滝、岸壁と樹林の色彩も鮮やかだが配置も形もイイ! |
この10mほどの滝が、最も派手かもしれない。原田、左壁から慎重に直登る。その間、残る2名は右手から巻きにかかるが、これが悪い!大きく巻けばいいのに労を惜しんで最短距離を巻こうとしたため、てこずる。腕力勝負の木の枝ぶら下がりで越える。ここは原田ルートが正解! 滝上に出ると、心地いい風が吹く・・・・ちょいと休憩しましょう。仰げば、澄みわたる空の紺色が目に沁みる。 さ〜て、一休みしたら先に行きますか。ゴーロを行けば、流れは穏やかになり、小滝がいくつかあるのみ。尾根を回りこむように進むと正面に尾根が下りてくる。尾根の末端が二俣のようだ。のんびり辿ると、11:30、二俣に出る。高度計は、1800mを表示しているので間違いなくビバーク予定の二俣である。 ビバークには早すぎるようだが、仮に抜けてもどっかに泊まらねばならない。同じとまるなら、谷の中がいい。天候は良好だし、昨夜は睡眠不足、膝も早めに休めたほうがよさそうなのでビバークすることに決定! あたりに適地を探すが、ツェルト2張り分の適地が見つからない。二俣周辺も含め偵察するが・・・・・どうも今ひとつ気に入らないので本谷をすこしあがり適当なところを探すことにする。5分ぐらいあがった所に適地発見! 早速、造成作業にかかる。埋もれていた石を丁寧に取り除けば、砂礫地になり格好のサイトに変身する。 設営後は、予め冷やしておいたビールで乾杯!歓談したり横になったりして過ごし、早めに夕飯、横になる。 |
白く輝く美しい滝は左壁直登がベター。爽やかな風の吹き抜ける滝上の平坦なゴーロで一息入れる |
白い岩の滝と蒼い釜もこれで終わりのようです | 二俣に出る。左股を詰めれば大倉尾根の登山道 |
30分ほどの土木工事で格好のサイトが造成できた・・・設営し、いつものように冷えたビールで乾杯! |
09/24、快晴の朝を迎える。4時過ぎに起床する。思ったほど冷え込みは厳しくない。昨日は夕方早くから横になった為、12時間くらいは休んだことになるが・・・あまり寝ていないような気もする。立つ鳥跡を濁さず、きれいに撤収し、05:40出発する。今日は大きな滝はなくのんびり谷を詰めるだけである。 |
澄み切った蒼い空のもと朝日を背に受けて明るく開けたゴーロを行く |
ゴーロの合間にいくつかの斜滝があるが、いずれも快適に通過、どんどん高度をかせぐ |
赤茶けたこの7m滝が最後?朝日を受け爽やかな気分、朝日に向って記念撮影 |
草付(お花畑)がすぐ近くまで迫る源流域。既に標高は2000mを越えている。水流もいつのまにか細くなりすこし蛇行しながらの延びあがって行く。蛇行部分を短絡すべく右手草付きにあがるが沢靴ではどうも歩きにくいので沢装備を解き、靴を履き替える。しかしヘルメットは着用したままで草付を横切りふたたびゴーロの谷にはいる。 しばらくで二俣、右手はガレ谷、左が大カンクラ谷である。ちょうど出合のところに残雪がある。残り僅かだが、この辺りが大カンクラ雪渓の中心なのだろう。 左のゴーロを進めば、大岩がありそれをのり越していけば、谷は細く小さなルンゼになりハイマツの海に消え入ってしまう。 |
源流域に入る、水流は次第に細り標高は、2000mを越えている 背後の三方崩山が低くなってきた |
すでに水流は涸れガレ谷となる。二俣には残雪、左が大カンクラ谷 |
初夏には真っ白な雪渓(大カンクラ雪渓)に覆われているルンゼを詰めると終了点は近い |
しばらくでカールをトラバースする踏跡に出る。右は御前峰と剣ヶ峰のコル辺りに向うのか、御前峰に直接登るのか、わからないが、左は大倉尾根をあがってきた登山道に出るはず。このまま詰めても意味ないのでここで終了とする。時刻は、08:00、出発して2時間20分である。前にひろがる景色を見ながら休憩。 腹ごしらえしザックを整理した後、左へ踏跡を辿る。生い茂るハイマツをわずかばかり漕げば立派な登山道(平瀬道)に出た。登山道をすこ進むと、左へ展望歩道を分岐、室堂まで0.5kmの標示がある。 ほぼ平坦な道を行けば、正面に室堂の赤い屋根が目にはいる。平瀬道は、結構登山者の行き来が多い。赤い屋根の建物に近づくと・・・・なにやら見覚えのある縞模様の帽子がウロウロしている・・・・・・それは、今日会う予定の鉄井さんでした。・・・・・加藤さんも一緒にキャッチ! お疲れ様です!ということで無事合流! |
踏跡に出たところで終了とする。左に辿ると数分で登山道に出る |
展望歩道分岐 室堂まで0.5kmの標示 |
室堂センターは間近 平瀬道は行き交う登山者が多い |
大倉尾根(平瀬道)〜南龍ヶ馬場〜室堂
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■コースタイム: 室堂08:40〜御前峰09:10/」09:40〜お池巡り〜室堂10:40/10:50〜大倉山避難小屋11:40/11:50〜登山口13:30 |
5名、室堂でタイミングよく合流。昨日は放射冷却で相当冷え込んだそうだが、南龍ヶ馬場でツェルト幕営の2人はいたって元気な様子、ザックを歩道脇にデポ、室堂センター売店で乾杯用飲み物を購入し、御前峰に向う。 今日もすっかり晴れ渡り、初秋の爽やかな風が吹く室堂平の景観を愉しみながら整備された歩道を登る。見た目には標高差が300m近くもあるなんて思えないが、空荷でゆっくり登って40分ほどかかるから、それくらいはあるのだろう。 山頂は、適度な数の登山者、それぞれ一足早く秋をあじわっているようだ。早速、ビールで乾杯!快晴の今日は見通しがよく、剣立山〜槍穂高、乗鞍岳、御嶽が雲海のに浮かんでいる。 しばらく歓談してると、剣ヶ峰とのコルからヘルメット姿の5名があがってきた。昨日、我々より一足早く出発された人達である。ここに突き上げるのであれば、多分、「小白水谷(こじらみ谷)」からだろう。沢(谷)を詰めて山頂ダイレクト!・・・すっきりした登山スタイルでいいですネエ。 |
眼下に広がる室堂平、遠くに別山(2399m) | 御前峰山頂の白山奥宮 |
遠くに槍・穂高連峰〜乗鞍岳 | お疲れ様でした、乾杯! |
折角だからお池巡りして下山することにする。北西に延びる主稜を辿る。散策道は、よく整備されている。すこし下降すれば、右に紺屋ヶ池、左に油ヶ池。更に進めば、秘めたような色彩のの翠ヶ池に出る。背景に彼方の北アの山並みを従え、いかにも”高山の池”らしい。 ここでターンして室堂方面に向かう。しばらくで万年雪に埋もれた千蛇ヶ池に出る。もう1月もしないうちに初雪、今年降る雪は来年の今頃まで残るのかしら?今踏んでいるこの氷雪、ひょっとしたら古の氷雪かもしれない。 散策道は二手に分かれるが、近道を通り室堂センターへ向かう。 |
剣ヶ峰(2677m) | |
大汝峰(2684m) お池巡りはこちら |
小白水谷を俯瞰。左俣上部は、小カンクラ雪渓になる |
翠ヶ池。バックは、北弥陀ヶ原、三方崩山、遠くに北アルプス | 大汝峰(2684m) |
雲上の散策道。要所要所にガイド板 | 氷雪に埋もれた千蛇ヶ池 |
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残雪のあった大白水谷上部 6月頃は大雪渓だろう |
大白水谷を俯瞰する。右の尾根は大倉山 |
大倉山手前のコルが見える 左のルンゼを下降すれば二俣 |
オカアサンと一緒?元気ハツラツのお二人 |
秋の香り漂う大倉山の尾根 | 大白水谷のビバーク地が見える |
大倉山の尾根は東西に長くなだらかで、右手に白水湖が望まれ、左手には昨日遡行した大白水谷が望める。ビバークした場所もはっきりわかる位に距離はないので、時間無ければ二俣で打ち切っても確実に登山道に出ることが出来る。 |
【Reported by Y.Tetsui & Y.Kubo Photo presented by K.Akazawa 】