南ア:戸台川本谷〜甲斐駒ヶ岳 2005.08.05-07



2003年の夏は、黄蓮谷右俣に取り組んだが、残雪のため残念ながら中退した。再挑戦するなら同じメンバーがそろったほうがいい・・・・が今年は諸般の事情で難しい・・・・結局、2名となったので、黄蓮谷右俣と稜線をはさんで反対側になる戸台川に入渓することにした。

 『本谷は甲斐駒西面の水をすべて集める長さ3.5km、標高差:1500mの比較的小さい谷』(日本登山体系)、であるが・・・なかなかどうして気合が入る登行となりました。


 『地形は変化に富んでいて右岸に七丈ノ滝沢、水場の沢が有り、左岸には駒津沢、奥駒津沢が高い滝となって落ち込んでいる。本流は屈曲が多く10ー15mの滝が連続し大きな滝にこそ恵まれないが、中級向きのコースとしてなかなか人気がある』(前出)とのこと・・・加えて3000m近いピークに直接突上げる・・・これも本谷の魅力の一つ!でしょう。


■コースタイム
 08/05 戸台登山口駐車場10:00〜幕営地(丹渓山荘跡)12:20 
 【行動時間:2時間20分】


 08/06 幕営地04:30〜取付06:00/06:15〜甲斐駒ヶ岳山頂16:05/16:30
  〜仙水小屋19:00/19:10〜長衛小屋19:35/19:40〜ビバーク地(北沢峠)20:00  【行動時間:15時間30分】


 08/07 ビバーク地05:00〜幕営地06:30/07:15〜戸台登山口駐車場09:15 
 【行動時間:4時間15分】


■参加者:赤澤、久保、以上2名


■遡行図:『日本登山体系 9巻 南アルプス』参照


◆訂正のお知らせ◆

 市販されている書籍に掲載されている戸台川源頭の空撮写真に基づき、報告を一部修正します。当初は、二俣より右俣に入った、と思っていましたが、実際は二俣を通過、左俣には入り、最終的には尾根にルートを求め稜線に出たことが判明しました。報告は、このままにしますが二俣の報告の箇所に追加しました詳細概念図を参考にしていただければ、御理解いただけると思います。

 結果的には、厳密な意味で『本谷』遡行にはなりませんでしたが、直登、高巻、草付、木登、岩稜、等々、沢登のおもしろさを十分味わえた山行となったと思います。(2005.08.22)




戸台川本谷〜甲斐駒ケ岳登行ルート概念図(2005.08.22修正)

 8/4、19:00 北九州出発。明日の行動予定時間は、戸台登山口駐車場から丹渓山荘跡までの3時間程度なのでのんびり走る。

 8/5、
3回ほど仮眠を取り8時ごろ飯田ICから降り、コンビニで買出し、長谷村経由で戸台にはいる。9:30着。だだっ広い駐車場には数台しかない。

 支度をして10:00出発、右岸の作業道を行く。3つ目の堰堤を越えた所で休憩していると、年配の方が下山してきた。話によると・・・鋸岳を目指し今朝駐車場を出発したが、この堰堤から登山道が左岸に移ったのに気付かずそのまま右岸をつめた。結果的にかなり時間を食い角兵衛沢の取付らしきところから少し登るがルート不鮮明、時間的に難しいと判断、下山してきた・・・とのこと。

 駐車場から鋸岳は、往復10時間はかかり、しかも難路!バスで北沢峠に出る登山者が多い中で昔ながらのルートを行こう、という心意気に感心する。又出直して頑張ってください!小休止の後左岸へ移る。河原を行く部分は不鮮明になるがそれ以外は踏み跡明瞭。角兵衛沢への渡渉点の標識を見送れば目的地はすぐである。


 丹渓山荘跡着、12:20。小屋跡で居眠り中の若者を起こしてしまう。聞くと、泊まりは北沢峠とのこと。小屋跡は樹林帯の中でうっとおしいうえ居住跡の幕営もなんとなく陰気臭いので少し戻り、林間のテン場跡らしき開けた所に腰を落ち着ける。藪沢はすぐ横を流れサイトとしては好(ハオ)!

 沢水でビールを冷やし夕方までのんびり過ごす。夕方まで通過する人は皆無で、今日あった登山者は2名。夏山最盛期だけどメインルートを少しはずせば自分たちだけの山が愉しめます。

駐車場、スタート! 戸台河原から見る主稜線 お花(その1)
鋸岳稜線 丹渓山荘跡地 沢近くのテン場

 8/6、04:00起床、04:30ランプ無しで歩けるので出発する。小屋跡を通り、踏跡を拾いながら本谷左岸を行く。踏み跡を辿れば一旦本谷に出る。右岸に小さなケルン有り。右岸に渡渉、河原から踏跡は山腹を巻くようにつけられている。

 しばらくで威力不動さんに至る。安全祈願をし更に行けば七丈滝ノ沢出合に出る。再び左岸に渡渉し踏み跡を行くがそのうち河原をいくようになる。

 しばらくで前方に五丈ノ滝が望まれる。どうやら本谷遡行の取付点に着いた様である。時刻は、6:00AM。丹渓山荘跡地から丁度1.5時間かかった。


お花(その2)
威力不動さん 七丈ノ滝沢出合 文字通り赤い河原を詰める

 支度をして6:15スタートする。小滝を越せばすぐ五丈の滝である。

 覆いかぶさるような大岩の表面を清めるように流れ冷水の簾を造るこの滝は首が痛くなるほど見上げねばならない。遡行図では15mとあるが、それ以上ありそうだ。

 直登は勿論不可能、右手草付から巻く。この巻き道も結構渋く注意が必要である。巻いて谷に降り立つとF2が続く。F2は釜が有り、資料では水流の右手直登可、となっているが・・・・

 それらしきルートを目で追う、が・・無理! 仮にいけるとしても全身シャワークライムで、行き詰ったらお手上げ・・・、我々の能力ではきわめて困難と判断、右手を巻くことにする。巻きも草付が少々不安定で気を使う。

F1は、15m以上のスケールがありそうだ。近づくと水しぶきで目が覚める
F1をまいて河原に降り立つとF2が続く。直登?とてもできません・・・右手草付から巻く

 F2を巻き谷に戻ると上流は明るく開ける。右手(左岸)より40mの滝となって駒津沢が出合う。更に、奥駒津沢が大きなスラブの上を滑滝となって落ち込んでいる。いずれも冬季アイスクライミングルートとして登られているようである。

 出合をすぎると次第にガレを行くようになる。谷の左岸上部が崩壊して破片岩が扇形に広がり谷筋まで埋め尽くしている。水流は右岸の岩壁沿いに押しやられ左へ曲がり、いくつかの小滝を越える。やがて前方に落差のある明るく開けた滑滝が早くおいで!と誘っている。


巻きルートからのF2
直登はかなり困難?
駒津沢出合の40mの滝 奥駒津沢出合は滑滝
右手上部が崩壊、破片岩のガレに覆われる ガレを越すと小滝の向こうに大きな滑滝

 25mの滑滝はしぶきを浴びながら登る。最上部は直登は不可、左手ブッシュを小さく巻いて滝頭にでる。やがて右岸から水場の沢が河原となって合流する。本流を行けば小滝の向こうに2段10mが望まれる。小滝を越え10mの滝下に出る。

 傾斜はさほどなく、直登できそうだが、前進シャワーになりそうだ。まだ気温が低く、先も長いので巻くことにする。左をあがればバンドがあり中間に出る。上段は、スリップすれば下段も含めて落下するのでザイルを出し直登する。

25mの滑滝+6m斜滝。滑滝は好きなところを自由に、6mは左から小さく巻く
小滝を越えると2段10mの滝
2段10mの滝:まだシャワーは浴びたくないので下段は左から小さく巻き上段は水流右を直登する

 2段10mを越えると右手より支流、本流は左に曲がると、次は15mクラスが2本連続する。一本目は水流に沿って右を快適に直登する。すぐ2本目の滝に出る。取付3m程がかぶり気味だが、中間部はホールド、スタンスはありそうだが上部は不明である。

 いけるとしても時間がかかりシャワークライムになる。この滝で終了ならば取り付かぬこともないが、本日は今からが長い。あっさり巻くことに決定、左の急なガリーを詰め高巻く。

(上)2段10mを越えると左岸より支流
(下)15mクラスが2本連続する

(右上)最初の15mは快適に直登
(右下)取付3mが困難。左から巻く。
滝の周辺は、此処彼処にお花畑! 可憐なお花満開です!



 ■どこでミスをしたか?
 推定ですが、撮影した写真からみると、2つ目の15mを高巻き(所要時間は約25分)、谷に降りた時点で、二俣のすぐ上部に降りていたようです。大きく巻いていないが、資料では、2番目の15m越えるとすぐ二俣、と思われる記載があります。

 従って、報告中の小滝を越え、赤いガレを詰めるあたりはすでに左俣には入り込んでいたと思われる。


 【遡行中に感じた疑問】

1)地形図の二俣の高度と高度計の差が少し大きすぎる。しかし、これはよくあることで決め手にはならない。
2)15m越えてから二俣まで小滝が結構あり、時間がかかりすぎ!資料の記載と違う。しかし資料は、簡潔にまとめてあるのでそうとも言い切れない。
3)二俣は明瞭であった。間違うはずがない・・・しかし崩壊地に遭遇、どうも右俣ではない?

 以下の報告の二俣は、左俣の『奥の二俣』で、そこからの右俣は崩壊地に至り、左俣は上部で更に分岐、右は尾根に吸収され、左は稜線に突き上げていることになります。右の概念図を参照。

■以下の報告は、右概念図を参照していただければ、つじつまが合います。




標高はすでに2000mを越えている。振り返れば山腹を刻む南アルプス林道が望まれる。小滝をいくつか越えていくと赤い岩のガレになり、正面に岸壁が見えてくる。左岸壁上から細い滝が一直線に落ちているのを見送ると大きく開けた顕著な二俣(奥の二俣)である。正面の左俣には水流があるが、右俣は僅かに流れている程度である。
振返れば山腹を刻む
南アルプス林道
小滝が続く
ガレに埋もれた小滝 赤ガレを越えると二俣 二俣到着。標高はおよそ2200m

  
 二俣(
奥の二俣)で小休止する。時刻は10:00、標高は2200m位(2250m位)で残り700mだから今のペースで行けば4時間後の14時過ぎには稜線にでるはずだ。帰りは北沢峠でビールを調達して18時には帰幕・・・冷たい沢水で冷やせば今日もおいしいビールが飲める!・・・まあ、のんびり行きましょう、と余裕のある山行になる筈!でしたが・・・・・・。


 10:15腰をあげる。水量は左俣が多く、右俣はわずかである。しかし本谷は右俣である。遡行図ではすぐ8m、15m、15mの3連瀑だが、3滝とも巻いているようである。水量わずかでヌルヌルした感じなので我々も巻くことにする。両俣を分かつ尾根の末端近くから登行開始。(同じように3連瀑で、2,3番目は直登不可・・・資料でも直登不可

【写真左:二俣で小休止する余裕の二人】


8mを巻いて谷に戻るとそこはスラブとガレのミックス、しかもザレている。注意しないとずるずる滑る。見上げると上部の滝は、谷幅一杯に広がる岩盤をナイフでカットしたような滝でホールド、スタンスは皆無、巻くのが当たり前か。滝の右端のブッシュを伝って乗り越える。
 スラブはさらに続く。滝の上部は傾斜はさほどないが、ヌルヌルで今にもスリップしそうである。ブッシュ帯とのコンタクトラインを伝いもう1段乗り越える。慎重に谷の中心に戻る。花崗岩の谷床は風化のためザレて登りにくい。


8mを越えると正面に断崖状の滝 岩盤をカットしたような滝(巻き道から)

見上げると上部が大きく崩壊し、そこからこの谷が発生しているように見える(此処はホントに崩壊している)・・・・・アレッ!あそこで終わり?稜線まで抜けていない!するとこれは右俣ではなく小さな支流か?となれば先ほどの左俣が右俣で、その左にもう1本あったのを見過ごしたのかもしれない。

 尾根の反対側の谷を確認してみよう、ということで尾根にあがりトラバース。(トラバース中に小沢を横切るが、あとでこの小沢の源頭を詰めることになる)しばらくで涼しげな水音、こちらは水流があるようだ。幸いザイル使うこともなく谷に降り立つ。細いが赤茶けたスラブ上を清流が走る。傾斜はさほどないが、ザイル出して60m程登ると4m程の花崗岩の小滝。いけそうなので取り付くが中間にあるフレークが手をかけた途端崩れ落ちる。


尾根の反対側の谷を詰めるが、次第に岸壁に押され元の尾根筋を辿ることになる

 無理するのはやめ右のブッシュ伝いに巻くことにする。木登りで越える。更に水流につかず離れずそのまま木登りを続けると右岸の岩壁が次第に近づいてくる。すでに水流はなく谷は右岸の岸壁から押されて右の尾根に吸収されておしまい!

 やはり先ほどの谷が右俣のようだ。崩壊箇所を越え谷は続いていたのだろうと思う。しかし水流はほとんどなくガレていたのであのまま遡行を続けても面白みはなかったかもしれない・・・・実質的な谷歩きは終了としてこのまま尾根を詰めることにする。

 このあたりまでくると傾斜はきつく、両手動員の登行になる。草付が思ったより不安定、木登りは安心だ。尾根を詰めるとしばらくで右からの小谷に合流、わずかだが水流がある。はて、これは?右俣の支流かな?(これが先程トラバースした小沢の源頭
谷にはいると水流はすぐ消失、草付スラブの登りになる。最後は白い花崗岩のザレたルンゼを登りブッシュ帯に入る。


嫌らしい詰めの登り
ザイル出せばよかった
白い岸壁にはピンクの花が似合う 最後のザレ場を越えれば
沢靴の登行終了

 足場のよいところで靴を履き替える。すでに時刻は12:30過ぎている。小休止の後、木登り開始。両手両足の登行だからきついが高度は稼げる。行く手をみるとこのまま行けば花崗岩の岩壁にあたりそうだ。右手のブッシュ帯を目指す。ハイマツをこいで露岩をこえていくと、なにやら人の声?見通しのきくところまで行くと右手に駒津峰から甲斐駒ヶ岳の稜線が指呼の距離にある。
 
更に詰めると切り立つ岩、正面突破は不可能だ。右の谷が戸台川本谷、懸垂で降り立てるかみるが、20mじゃ足りそうもない。中継してもその先が確認できない。仕方ないので元の位置まで下降する。さてどうするか?まだ退路は絶たれていないので撤退は可能である。


木登りは安全確実な登行? お花(その3) 本谷を挟んで対峙する駒津峰

 先ほどのザレたルンゼには人のトレールがあった。必ず抜けているはずである・・・・素直に直上してみると岸壁の直下に出る。結構ブッシュの多い岩で、ブッシュをつなげばいけそうである。

 ザイルを出し正面のクラックに取り付く。3m程登ればブッシュがある。少々バランスを要したが、何とかブッシュをつかむ。更にブッシュ伝いに左上しバンドに出る。次もクラックが右上、3m程でブッシュである。ふとみると残置ハーケン!まだ新しい・・・・我々と同じルートをとったパーティがいるようだ。

 このクラックもジワリ伸び上がりブッシュをつかむ。さらにブッシュ伝いにザイルを伸ばしてビレイ、後続を迎える。後も気合が入っているようで、掛け声が聞こえる。ここを抜けるとハイマツ帯、泳げば巨大な岩塔に突き当たった。
 一難去って又一難か・・・さて、どうするか?

 とても正面突破は出来そうもない。回り込むしかないが右手は本谷に切れ落ちている。左手はかなり下方まで下降し大きく巻くしかない、が下降して回り込むとすれば先程の谷のツメの岸壁の上部に出るはずでたいそう難儀しそうだ・・・・どうしよう、やはり撤退か?

 すでに標高は2600mを越えており、午後になったためガスがかかりだした。遠くで雷鳴、時たま小雨がぱらつく・・・周りが、さあ、どうすんの?と催促しているようだ。下降して本谷に戻るか、同じく下降して左の岩稜を大きく回りこむか・・・・と、一瞬ガスが取れ左手に落ち込んでいる岩稜の中腹にブッシュがあるのに気がつく。

 ひょっとしたらバンドではないか。早速、トラバースしそのブッシュにたどり着く。ザイルを出してブッシュを掴んで岩を廻り込む・・・と更にブッシュ、ブッシュ!やった、抜けた!・・・・・廻りり込んだところは急なハイマツ帯になっていました。これで一安心!・・・だがまてまて、このハイマツ帯は何処まで続いているのか?

ガレた戸台本谷。稜線は登山道 立ちはだかる巨大な岩塔。
左下、トラバース中のおじさんが小さい

 ザイル付けたままハイマツ帯を登る、と、さ〜っとガスが取れ彼方に稜線が、そして嬉しいことに今踏んでいるハイマツ帯は稜線まで切れ目なく続いていたのです。

 これで全て解決!緊張が緩むと腹も減るしのども乾く、一口だけ残しのどを潤す。

 更にガスが取れ、甲斐駒ヶ岳のピークが現れた。この尾根を突き上げたところのピークのすぐ横である。やれやれ下降しないで良かった。これで本峰ダイレクトの登行が成就しそうだ。
尾根右手は鋭く切れ落ち、本谷はガレ谷となっている。見るからに危険が一杯だ。

 ハイマツを漕ぎ、16:00稜線着。ここで今日初めて鋸岳に向かう登山者に会う。2,3情報交換し、16:05甲斐駒ヶ岳山頂着!いや〜今日は長かった。一時どうなるかと思ったが・・・お疲れ様でした。


此処を越えればホントに終わり? 稜線まで続くハイマツの尾根と
目標の甲斐駒ヶ岳山頂(右)
詰めてきた尾根 尾根上部。右奥が山頂 お疲れ様でした

 腹ごしらえをし水筒の残りを飲み干す。3時間もすればビールがある・・・もう水は不要!

 04:30、下山開始。このままのんびり下れば仙水小屋辺りで暗くなる、ビールを購入して長衛小屋か北沢峠辺りでビバークすることにする。駒津峰を通過、仙水峠を経由して仙水小屋についたときはすっかり暗くなっていた。

 小屋前の引水で洗顔、そしてタップリ水を補給、ビール買おうとしたら小屋入り口がロープで閉鎖。準備中で立ち入り禁止だと!・・・まあいいか、長衛小屋は自動販売機もあるし・・・・・キャップランプつけて、鹿の闇を裂くような鳴き声を聞きながら下りつづける。

 19:30、長衛小屋着。キャンパーで一杯である。皆さん、宴会の最中・・・さ〜て、ビール、ビール・・・あれっ!販売機に電源がはいっていない!見ると販売時間は、19:00まで!そんな殺生な・・念のため小屋に頼むが・・・・ダメ!と軽く拒絶される!


 がっかり、ガックリしてキャンパーの宴会特有のざわめきや笑い声を聞きながら、ランプともしてとぼとぼ北沢峠に向かう。ビールがないとなれば何も食う気はせず寝るだけだ。車道横の案内板の後方が開いていたのでツェルト設営しカッパ着て横になる。

8/73時ごろから登山者が動き出す。案内板に近づき、前でなにやらボソボソ言合っては立ち去る。そのようなわけで早くから目覚めていた、が明るくなる4時半過ぎ起き、片つけて5時下山開始、旧道を下ること1時間半で幕営地に到着した。

 テント撤収し、07:20戸台へ向かう。2時間後(09:20)駐車場に着く。駐車場着は予定通りだが・・・昨日のビールにはまいった。しかし怪我もせず、多少右往左往したが完登出来たし、おおむね満足の山行となった次第です・・・お疲れ様でした。

(Reported by Y.Kubo & Photo presented by K.Akazawa)


 ■アイスクライミングの中級ルートとして冬季は多くの入山者があるとのこと、ネットの情報もほとんど冬季で、夏の本谷は人気なさそうで、ひっそりしている。


■終了して思うに、上流部がガレになり面白くないのみか危険ですらあるのが理由かもしれない。今回は、たまたま早合点して尾根筋にルートをとったが、かえってよかったのかもしれない。

■資料の『日本登山体系 9巻』は、1984年刊行のものだから、20年以上経過しており、下部はまだしも風化の進む上部は相当な変化があってしかるべきである。一方、黄蓮谷右俣は夏の記録も多い。
 この谷はあまり変化がなく昔の渓相を維持しているのだろう。今回も源頭を確認したが緑のお花畑が続いており見える範囲では崩壊してないようだ。
(文責:Y.Kubo)

【写真右:写真中央の尾根が今回のルート


 沢のルートファイディングはなかなか難しい!、ことを改めて実感。

 たまたま空撮の写真を発見しなければ間違い?には気がつかなかったでしょう。間違い、とは予定したルートに取り付けなかったという意味で間違いです。遡行中は、勢い水流ばかり見つめて遡りがちです。もう少し周りに気配りした山行にしなければならない、と思います。

 複数回通えば間違いはないでしょうが・・・・それではあまり面白くない!いつも初対面!が最大の愉しさを与えてくれるはずです・・・・今後も、このポリシィでいきます。乞う、御期待!