祖母・傾:祖母山〜尾平越縦走 & まんりょう谷/成瀬谷遡行 
2004.10.10-11

 台風22号の日本列島直撃で、愉しみにしていた三連休の『剣岳』はあっけなくお流れになった。連休で比較的好天が期待できるのは九州のみ・・・・皆さん、この日目指してトレーニングされてきたので日帰りじゃ物足りないだろう・・・ということで祖母・傾半縦走(祖母山〜尾平越、1泊2日テント泊)の山旅となった。参加者は5名で車1台、

 縦走組3名の送迎をになう『アッシー君』2名は、本年最後の沢登とする。出発地である神原方面では、まんりょう谷〜障子岩尾根、お迎えの尾平越付近では、成瀬谷〜古祖母山とし、古祖母山頂で合流の計画・・・・・・縦走組は快調、沢組は苦戦しましたが、予定通り10/11古祖母山山頂で合流、お互いの健闘をたたえあった次第であります。


■参加者
 縦走組:川中、鉄井、田村、以上3名、
 沢組:赤澤、久保、以上2名


■概略行程

 【10/09】
 18:00小倉南区出発、同日21:20神原駐車着

 【10/10】
 5:30起床、神原登山道入口駐車場移動、3名下車。3名は、祖母山へ。
 同日9合目小屋横の指定地に幕営。

 沢組は、白水へ移動、メンノツラコース近くに駐車し、7:00出発。
 遡行開始7:40〜稜線13:45〜八丁越15:12〜白水16:45。
 竹田で夕食後尾平越トンネル(高千穂側)広場に移動、幕営。

 【10/11】
 祖母山幕営地7:30出発〜古祖母山11:15着。
 沢組:駐車場7:00出発、成瀬谷遡行開始7:20〜稜線10:20〜古祖母山11:20。
 合流後出発11:25〜高千穂側トンネル広場13:05。

■遡行図:
 まんりょう谷は、『九州の沢と源流』、成瀬谷は、『祖母・傾最新情報』を参照。


『成瀬谷遡行』へ
『祖母山〜尾平越縦走』へ

◆ マンリョウ谷遡行〜障子岩尾根 ◆

 縦走組を登山口駐車場で降ろし白水ヘむかう。集落の先、中内橋のたもとに駐車し、沢支度をし7:00出発。途中、メンノツラ方面への林道を右に見てヒイバチ滝に向かう。小さな標識がある。しばらくして忘れたヘルメットを取りに帰った為10分ロスしたが、7:30にヒイバチの滝到着。

 折角だから滝見物に行く。右手に2分ほど遡ると雄大な2段の滝の全容が見える。60m?以上はありそうだ。7:40、ヒイバチ滝をそのまま下降、まんりょう谷との出合いから入谷する


 下流部は大岩がゴロゴロ詰まり、それを丁寧に越えていかねばならないが結構疲れる。やがてH690の二俣に出る。右をとる。

ヒイバチの滝。2段で50-60mはありそうだ

大岩がゴロゴロ詰まった谷を丁寧につめる。水量が多いといたるところが滝になる

H690の顕著な二俣。右俣に入る 4mは左水際を登る 3段の滝のゴルジュ。右を巻く

右俣にはいると大岩があり4mほどの斜滝がある。左手水際を登る。やがて3段の滝を有する小さなゴルジュに出会う。下段はわずか1mほどであるが釜があり、泳がないのならば巻くしかない。右手から小さく巻く。

 明るく開けたゴーロを行けばやがて幅広6mの斜滝。通過は容易で、愉しみながら滝中央のゆるいりっじを登る・

 次はトユ滝10m、両足突っ張って越えると、次は釜を持つ6m。左からヘツリ左水際を直登する。このあたりは、たやすく登れるので遡行が愉しい!


 やがてH850の二俣着。ここからが本谷の核心部だ。
幅広6mの滝は、愉しみながら越える

トユ滝10mは突っ張って越える 6mは左へつりで直登 ゴルジュ入り口の5m斜滝

 H850の二俣は左を取る。すぐに5m程の斜滝、、左から越えるといよいよ本谷のハイライトであるゴルジュ帯だ。右壁は被り気味でどれほどの高さあるかわからない、左壁は100m近い高さで急傾斜で頭上の樹林帯まで岩壁が続いている。

 ゴルジュ帯のゲート:10m滝は中央に張り出したリッジを登る。ホールド、スタンス十分で快適。次の2mは左壁から小さく巻く。流木のある次の4mは大岩の左からシャワーで越える。さらに進んで緩傾斜帯を行けば3m斜滝、続いてCS3mの滝、右手から越えるが水流にスタンスを求めると押し流されそう!
 強引に乗り越せば、目前に流木のヤマ!流木乗り越えれば、幅3m?のV字谷にすっぱりはまり込んだ巨大なCS!



ゴルジュ入口の10mは快適 続く2mは左から越える。奥に4mが見える 4mを越すと次は、3mの斜滝、3mのCS滝

 CSの下をくぐると、左壁と滝上のCSとの隙間から谷幅一杯に豪雨の如く清水を撒き散らしている10mのCS滝。ところかまわず降り注ぐ雨!だからずぶ濡れにならずに進むことは出来そうもない。比較的密度の薄い左を急いで通過したが・・・・寒気がするぐらい濡れる。CSの庇の下にはいる。CSと右壁との隙間は岩でびっしり埋まっており、いわば岩の伽藍になっている。降りかかる水は飛沫程度だ。見上げると通過できる場所は1ヶ所しかない。左上方落口のところにひと1人這って通れるくらいの穴がある。穴の向こうは不明だが、当然流水の樋になっているのは間違いない。

 穴まで行くのに、水が流れるヌルヌルの壁を登らねばならず、仮に穴を抜け出た後、流水樋をどうやって遡るか・・・・思案の結果、通過は困難と判断、ゴルジュ入口まで撤退し、高巻くことにする。
撤退開始、10:40。資料では、『チョックストンの右のテラスを伝って滝上に立つ』とあるが、多分、昔通過できたところが今は流木や岩で埋まってしまったのではないか?と思う。


3m斜滝からCS3mの滝。
右の水流から強引に越える
CS10mの滝。豪雨?をくぐって
CSの下に入るが・・・Give up!
ゴルジュ入り口まで撤退

 流木や岩に支点をとり、懸垂で入口の10m滝上まで下降する。右手を見るとスラブ状岩壁のすそを巻くように樹林帯が迫っている。このバンドを伝い、岩壁の切れ目から岩壁の上に出ることにする。10:50、高巻き開始。

 30分ほどバンドを伝うと、ブッシュが岩壁を縫うように繋がっている箇所に出る。木登りで岩壁上に出る。このあたり下草はなく非常に歩き易い。H1000まで上がり後は少し下降気味にトラバース、適当なところで右手に降りたところがちょうどゴルジュ帯先の二俣(H980)。時刻はちょうど12:00


V字谷にすっぱりはまり込んだ巨大なCS 高巻いてH1000m付近をトラバースする

 ゴルジュを越えたので先の見通しが立つ。残りは難しいところはないし、標高差で400m程度である。2時間程度でなんとか縦走路に出られそうだ。大休止してランチタイムとする。10分ほど休止してスタート、右俣に入るとすぐ2段の滝だ。

 上段は2条で流れ、なかなか立派な滝である。2段ともまとめて左から巻く。つづくミニゴルジュも水流のあるところは通過不可能だ。ここも左から小さく巻く。


H980の二俣。右をとるとすぐ2段の滝
2段に続きミニゴルジュ。左から越える 12m/20mの2段の滝。左より高巻く

 ゴルジュを越えると、H1030の二俣。ここは左を取る。奥に4mほどの直瀑が見える。4mは左から越えれば、次はかわいらしいゴルジュ帯、奥に流木が絡んだトユ滝がある。流木を乗り越え先に進む。すでに水流は細り源流域の様相だ。少しで流れは2分する。左が水量多いけど、もう滝はなさそうなので帰路に近い右を行くことにする。
すでにH1200近い。後200mほどである。

H1030の二俣は左へ。直瀑は左を巻く 小さなゴルジュ。奥にトユ滝があるが流木で埋まっている

 いつの間にかガスが立ち込め小雨が降ってきた。先を急ぐ。苔むしたゆるいガレをつめ、おまけみたいなナメ滝を最後に右の尾根に上がる。歩きやすい鹿道をたどればやがてスズタケの密藪、密になれば稜線=縦走路は近い。

H1200近い二俣。帰路に近い右をとる 苔むすガレは源流の様相 スズタケを漕ぐ

13:45、前障子岩に近い縦走路に出る。標高は、1350mである。

 八丁越まで1.5時間、そこから白水まで1.5-2時間くらいかかりそうだ。八丁越からの下山路は途中から廃路?同然との情報だったので、暗くなる前に何とかたどり着きたい!
 
 休憩無しで大障子岩へ向かう。すでに7時間以上経過、足が重いうえに雨風強い。本峰入れて3つの岩峰の登下降が堪える。途中、祖母山へ向かう登山者1名追い越す。ガスと雨だから大障子岩はパス、200m程下降、左にしっかりした『クーチ谷』経由の下山口を通過すればすぐ八丁越である。

 『→白水/神原』の標示があり、右に明瞭な道が下っている。時刻は、15:12である。暗くならないうちに帰れそうだ。休まず下山開始


 最近、つけられたと思われるテープが諸所にある。ふみ跡は明瞭で迷うようなところはない。途中沢にでしばらく下降の後、トラバースして尾根の巻き道に入るが、迷うとすれば沢のあたりだろうと思う。高度が下がると二次林に入る。ここは作業道が登山道兼用になっており、テープと『→白水神原』の表示を追っていけば、やがてメンノツラコースとヒイバチ滝コースの分岐に出た。

 高度が下がったせいだろう、いつの間にか雨はやんでいる。分岐から5分で駐車地点到着、時刻は16:45。本日の行動時間は、10時間弱。ゴルジュ通過が誤算だったが、よくあることだと思う。流路が限定されるゴルジュは特に自然の影響が出やすいのではないか。一方、ゴルジュは、退却もままならぬ可能性がある。

 今回は、幸い流木がありそれを利用できたが、ハーケン類は持参していたとはいえ流木がなければもう少し手間取ったのではなかろうか、と思う。
 沢・谷はいつも新鮮!課題もいっぱい!(Reported by Y.Kubo)



★ 神原〜祖母山〜障子岳〜古祖母山〜尾平越縦走 ★

【10/10】
 神原登山道からあがる。神原の登山口駐車場に立派なトイレができていたが、なぜか水が出ない!
五合目小屋までは、歩き易い登山道であるがそこを過ぎると、道は溝のようになり、雨も手伝いドロドロになっている。時間はタップリあるのでのんびり歩く。国観峠の真中にあったお地蔵さんが隅っこに移動していた。


峠には北谷から登ってきた多くの登山者が休憩している。私たちは体のわりにはでっかいザックを背負っているので皆さん驚いていたようです。見た目ほど重くはないのですが・・・・峠から山小屋まで40分ほどかかる。12時ごろテント場到着。


 テント設営、持ち上げた僅かなお酒を飲み話に花が咲く。15時過ぎからすごい雨になる。明日の山行が気になる。沢組と電話連絡を試みるが連絡とれず。酒も話も尽きたので早すぎるが18時過ぎ就寝。



【10/11】
 6:00起床、7:30出発。20分ちょっとで祖母山頂。傾への縦走路は岩場で、梯子が出てくる。雨で濡れているので慎重に下る。岩場の通過に少し時間を食ったが、後はルンルン気分で予定タイムより速く歩けた。縦走路は、すごく整備されており歩き易い。古祖母山に11:15到着。

 山頂には、地元の方々が沢山!来週、小学生が集団登山するということで、岩場の梯子の架け替えや補助ロープの取付にきているとのことだ。御苦労様です!沢組と連絡が取れ、すぐ近くにいるとのこと。5分後に、めでたく合流する。ニッコリ、Vサインで記念撮影し尾平へ向かう。

 山頂から尾平よりの岩場に架け替えられたばかりのアルミ梯子を下る。この頃から日が射し、幾分紅葉した明るい樹林帯を快適に下る。尾平越から高千穂側へ下降するが、緒方側より歩き易い。しかもトンネル口の駐車場は明るく広い。

 1ヶ月のボッカトレーニングが役立ったのか、愉しく歩くことができた。天候は、いまひとつでしたが愉しい山行になったと思います。残りの傾までの縦走路を歩けることを楽しみに・・・・皆さん、御疲れ様でした。(Reported by R.Tetsui)




5合目小屋

国観峠 9合目小屋 祖母山頂

■神原登山口(立派なトイレ、広い駐車場あり)よりなだらかな道を進み5合目小屋(広いがかびくさい)で休憩、国見峠に向けひたすら登る。けっこう長い 手垢を付けるから言いといったが、デジカメを渡され証拠写真を写せとの事、国見峠で写真撮影。

 女性3名+ザックの大きさにやたらと声をかけられる、テント設営後雨がはげしく降る・・・・沢組はどうしているかな?・・・明日の山頂直下の岩場は?・・・あれやこれや心配しつつ、すくなーいアルコールと喋りすぎに疲れ6時就寝。明朝、7時30分出発、黒土のドロドロの中を岩場、梯子場となんなく?クリア、きたなーい紅葉を見つつ障子岳(今話題の熊社、熊の墓?あり)通り、古祖母山頂で沢組みと合流し尾平越に直行。今度はブナ広場〜本谷山に登って見たいです。( by M.Tamura)

■剣岳へ向かってこの一ヶ月の頑張り?をこのままでは終わらせたくないと思い臨んだ 祖母・傾縦走 全行程二日間半、天気は全て秋晴れとはいかなかったけれど、気持ちは秋晴れ、剣岳へ行けなかった悔しさはほぼ燃焼し尽せました。しかし心残りは竹田の”花水月”のトンカツ定食 やっぱ〜食べたかったな〜。(by Y.Kawanaka)

★沢組は、前日は下界。まんりょう谷終了後、竹田へ出て”花水月”で入浴、同レストランで”トンカツ定食”を賞味。1000円で美味しい上にボリュームたっぷり⇒⇒⇒皆さん、食い気満々で寄りましたが、残念ながら”準備中”。17時からオープンでした。


古祖母山〜尾平越:いまは、色づきもさることながら度重なる台風の影響で、多くが落葉し木々はちょっと寂しそうです。



■ 成瀬谷遡行〜古祖母山

昨夜は満点の星だった。明日の好天が期待される。

 5:30起床。6:00過ぎると明るくなる・・・・昨日は夜到着したためわからなかったが、ここ高千穂側の南向きの駐車場は、広く明るく開放的だ。 天気は上々、期待通りひさしぶりに陽光を浴びる沢登りが楽しめそうだ。


テント撤収し、7:00出発。林道を500mほど行った所が成瀬谷取付である。
7:10、取付着。見たところ奥深い感じは無く、明るく軽いノリで行けそうだ。7:20、支度整えて早速入谷。谷はまだ日が射さず、少し肌寒い感じだ。すぐ小滝に出合う。水量は多目?水流を行けば腰下はすぐ濡れそうなので水際を行く。小滝を越えると倒木が少しうるさい。歩を進めると斜滝群登場!いずれも水際右または左を直登する。なかなか愉しい所だ。



 くの字状のトユ滝を越えると、赤色の岩盤を清流がサラサラ流れるナメ!谷にも日が射しはじめ、白い水流が際立つ。朝のすがすがしい気分でナメを行けば傾斜が増し斜滝になる。この斜滝、右手水際を直登、上部で水流中にでるが落口付近、水流中のスタンスの確認が難しく少し微妙・・・・水量少なければ易しいかもしれません。

トユ状滝を越えるとナメ 赤い岩盤のナメが続く ナメを越えると斜滝

 斜滝を越えると・・・・本谷遡行のハイライト!眼前に、幅広い白い帯を大空からうねるように垂らした『ナメ滝とも斜滝ともつかぬ』大滝出現!初秋らしい紅葉に飾られ、木漏れ日に照らし出された大滝に感嘆の声があがる。下段は緩傾斜で赤色の岩盤を白い水流が滑り落ちる・・・・右手をスタンスを確認しながら登ると傾斜は緩みナメ状になる。

 上段は少し傾斜があるが、中心にある黒いリッジが行けそうだ。ぬめった黒いリッジに取り付く。下部は階段だが上部は、外傾・・・いやらしそうなので一旦下降し水際を登り直すが・・・・結局、一旦下降しザイルを出し水流左側を登るが、見た目より難しそうなので無理をせず上部でブッシュに逃げる。


下部は緩傾斜、ノーザイルで適当に登るが、上段はザイルを出す 最終的には左手を登り上部でブッシュに逃げる

 振り返れば谷は大きく開けており、足許が白いスロープで落ちているのでタップリとした空間、遠くに本谷山方面の山並みが望め気持ちいい開放感が味わえる。
 滝はもう1段続く。傾斜はないが最後の落口の様子がわからないのでザイルを出す。落口は、またいで右手に移り滝上に出る。しばらくで二俣。資料では本谷の美味しい部分は通過したようなので、左が水量多いが、稜線の近い右を行く。


谷は大きく開け本谷山が望める 最上段の斜滝。これで美味しい所はオシマイ!

 谷幅は狭くなり水流は細くなる。流木や倒木が多くなり歩きにくい。所々、現れる小滝を越していくと開けた場所に出る。左に細い水流があり、ヌタ場のようだ。ここも開けて明るい。小休止の後、ヤブにはいる。鹿道があり、それを辿る。多少は漕がねばならないが、きつい箇所もなく、10:20 標高1430mあたりの縦走路に出る。

 大休止していると、30名近いグループが、アルミ製の梯子や、トラロープを持参して古祖母方面に向かわれた。梯子場の補修?20分ほど休んで縦走組をむかえるべく古祖母に向かう。山頂手前の岩場につくと先程のグループが梯子設置中。御疲れ様です。

 しばらく待機。ここで縦走組と電話連絡が取れる。いま古祖母山頂、とのこと。どうやら予定通りの時間に合流できそうだ。

 5分ほどで設置完了、新設の梯子1番乗りで山頂へ向かい、11:20 めでたく合流!御疲れ様でした。

二俣を右に取ると源流域。小滝を越えスズタケを漕いで稜線(縦走路)へ向かう

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