尾鈴山系:甘茶谷右俣(万吉谷)〜尾鈴山 2003.06.01 |
北九州から、到達時間をパラメーターにすれば今、九州内で最も遠い?山域:尾鈴山系を訪ねた。"きれい、キレイ"、と小耳に挟んだ『甘茶谷』が目標である。
5月の嵐:台風4号直後なのに、甘茶谷は驚くほど透明な沢水をたっぷり、しかも一気に押し流しており、キレイというより豪快そのもので、十分沢遊びを楽しませてもらいました。今回は、きれいなんだけど、豪快!な甘茶谷だったようですが、新緑の映える明るい渓相は十分に通常期のよさを期待させます。多分、秋も見事でしょう。機会あればのんびり山行をしましょうネ。
5/31、17:00小倉出発、途中、犬飼で新さんと合流、22:20にクエントウ(九重頭)キャンプ場に到着。トイレのある駐車場に幕営する。時刻も早いので寝酒して就寝。勿論、多少遅くても寝酒はしますが・・明かりのない駐車場は、明日の快晴を約束する満天の星空でした。
資料では、キャンプ場近くから入渓になっているが、台風直後ですごい水量、沢歩きは無理と判断、今回キャンプ場〜上部二俣の下流部はパスして上部の二俣から入渓することにする。降雨で荒れた林道を尾鈴登山口まで行く。林道は駐車禁止であるが、今日は勘弁してもらおう。甘茶滝近くの登山届投函箱のある路肩に駐車、身支度を整え7:00出発。林道を少し戻り、右俣/左俣の出会いに下降する。
7:10、早速右俣にはいる。しばらくは小滝や小ナメが続く。資料では殆ど直登可のはずであるが、あふれるように流れ落ちる水量の為直登は出来そうもない。でも折角の沢遊び、できるだけ水流にそっていく。滝は、白一色で岩肌は何も見えない。ナメは、沢水がひたひたと岩盤を覆うように流れてこそナメ、なんだろうけど今日は幅広の水路と化している。しかし、豪快な水量は逆に遡行に躍動感を与えるようだ。すぐ濡れ鼠になり嬉々として遡る。
右俣前半部(〜核心部)は水に体をなじませる! |
やがて右俣(万吉谷)の核心部?釜のある2段の滝(2m、3m)は右岸水際を行く。沢に降り滝頭を左岸に渡渉。続く10m斜滝は水心は見ただけで不可、右をいけそうであるが、出だしにスタンス、ホールド皆無。ここは資料ではショルダーになっているが、待て待て3mほど上部にブッシュがある。投げ縄の要領で何度かチャレンジしてスリングを引っ掛ける。アブミ替りにのれば右手をいっぱい伸ばしたところに予め作ったようなホールドがある。シカッとつかみ思い切って濡れ壁をあがる。ザイルを出し後続をむかえる。次は2条10m、逆層で水量も多く直登不可、右手を高巻く。
右岸を小さく巻く | 上段の滝頭を左岸へ | 右をスリングを使い攀る |
後続をザイルで確保(10m斜滝上部から) | 逆層の10mの滝。ここは右を高巻く |
さてそろそろナメ・・・・・出ました!大ナメ出現!大迫力のナメというか大水路というか、来るならおいで押し流してやるから、といわんばかりの勢いだ。ナメは100m、40m、200mと斜滝やゴーロをはさんで続く。今日は水量が多いのでナメは斜滝のようでもあり斜滝は傾斜の強いナメのようでもある。ともあれ一連の長〜い曝流の水路を右へ左へ、時には水流の中心をそれぞれ思い思いに遡る。
本谷のハイライト!ナメ出現! |
900m付近で右に支流を分けすすむと予定の950mの二俣、左から階段状の斜滝が落ち込む。今日はこの左俣を行く。出だしからシャワー、気温も上がり日も射して気分爽快!左俣は明るく開けており青空も望まれる。多分通常期は水量も少なく容易な岩場やゴーロになっている所も、今日は台風のもたらした天水のおかげでいたるところが滝になっている。まるで青空に続く白いシャワーの階段のようだ。何も考えず、ただただフリーでたっぷりシャワーを浴びながら夢中で登る!このリズムが沢遊びの醍醐味ですヨ。遡行図なんてどうでもよくなります。
斜滝もこんな状態。上部は左へ逃げる | 大岩で一服 | 右に支流を見て左へ! |
やがて小さな二俣。こういうところは慎重に!我にかえって地形図と高度計を見る。コンパスをふる。迷わず左へ!更に、小さな二俣、標高は1200m位、ここは右へ!この辺りから棘のあるブッシュが出てくる。ようやく新兵器の出番だ!新兵器といっても何処でも手にはいる作業用の皮手袋。分厚い皮で出来てるので棘を掴み回しても何ともない。値段は、250円くらい。しかし、この棘のブッシュ帯も僅かで期待するほど出る幕はなかった。
950m地点から左俣へ! | 上部も快適な小滝が続く | シャワーを楽しみながら遡行 |
こういう斜滝は楽しくなります | 青空の下、気分よく詰める |
しつこく水流を追っていくが、やがて水も枯れてきたので右手尾根に移り小休止。標高は1250-80mくらいか、靴を履き替え登攀具をしまいさっぱりした格好で残り僅かの急坂を詰める。しばらくで枯れたスズタケを分ける。何で枯れたんだろう?あれこれ原因を考える間もなく尾鈴神社の鳥居の前に出た。ここは頂上の一角で三角点のある山頂へは一投足だ。それぞれのペースで三々五々到着(10:10〜10:20着)。遡行時間:二俣からおよそ3時間かかった。
頂上は広場になっているが眺望は得られない。用を足したり腹ごしらえをしたりして20分ほどすごし下山にかかる。
山頂にある尾鈴神社 | 山頂の広場 | 今回のメンバーです |
尾鈴直登コースは、一部急な下りがあるものの整備されおおむね歩きやすい。9合目から1合目の標識もきっちり設置され、展望の殆どないこのコースにとっては大事な目標?そういうわけで下るほどに早足になり、30分で駐車地点についてしまった。
帰りは、日向市郊外のスパで汗を流し、三重町経由でのんびり帰北の途についた。遠出したわりには早すぎる18:30頃の小倉着でした。
北九州から食事、風呂、買出し入れて往復約12時間。遊んだのは4時間強!役所流に『費用(この場合、時間)対効果』を問われれば問題なく却下されそうですが、遊びはカテゴリーが違いますのでネ・・・・・でも・・・もう少しゆっくりすればよかったかな。(Y.Kubo記)
■装備:沢装備一式持参したが、ザイル使用したのは10m斜滝の乗越のみ。
■参加者:新、原田、高木、岡村S、赤澤、橋本、久保、以上7名
■お風呂:近くに温泉がないので日向市郊外のスパ:『ひょっとこの湯』にしました。入浴料は450円で、食事も安い!。
10号線沿い、北九州方面に向かって左側にあります。
尾鈴山概念図