伯耆大山:槍尾根〜弥山 2003.1.12 |
白銀の雪稜を期待して槍尾根に出かけた。11日はぐずついた様であったが12日は風も弱く曇り時々晴れといったところでまずまずの登山日和に恵まれた。このところ大山は積雪豊富で下山駐車場付近の大山道は雪壁1.5Mくらいはある。 槍尾根は期待通り白銀の雪稜、幸いなるかなトレースもなかったためひさしぶりに雪と戯れる登行となった。できれば紺碧の空もほしかった!(そこまで言えば贅沢か)が、延々11時間にわたる行動時間にもかかわらず参加者全員大満足、雪山大山を堪能しましたヨ! |
■1/11、14:10小倉北区発。高速新見IC経由で大山寺へおよそ400kmのドライブ。途中、夕食をとり買出しを済ませ、下山駐車場着が19:20。連休の為、混雑を予想していたが、駐車場はがら空き。連休というのに山屋が少ないのは少々寂しい気がするが、幕営には少ない方がいい。奥のほうに駐車、すぐ横にテント設営。寝酒飲んでしばらく歓談後、早目に就寝。 |
■4時過ぎ起床、登山届を出しキャップランプをつけ5:40出発する。今日は長丁場になる。横手道はトレースがないようであるので文殊堂まで車道を行くことにする。40分ほどで桝水原。ここで左折、ほんの100m位で除雪された車道は終了し除雪車の押しのけた雪塊。はたしてあるか? ありました、ありました放置された雪塊の向うには、ワカンのトレールが。時々もぐるがラッセルすることを思うと贅沢はいえない。スローだが定速で歩く。やがて横手別れ南口。残念ながらトレールはここで終り。あとは自分らで道をつけるしかないネ。よく見るとわずかながら足跡らしきものが残っている。それをはずさずにのんびり歩く。一の沢、二の沢をすぎる。この辺はぶなの紅葉がすばらしいところだ。黄金色に燃え上がる紅葉が見られる。 |
■文殊堂を過ぎ、登山口着8:10。やはり文殊谷ルートは誰も歩いていない。膝くらいのラッセルになりそうなのでヤッケ下(といってもゴアの雨具)を穿く。鳥越峠に向かってスタート。車道よりもさらに遅いペースで行く。5人なので短時間で先頭を交代する。 |
文殊越で一本立てる | 鳥越峠から槍尾根取付に向かう |
尾根を左にとって少し深くなったラッセル開始。丁度、雲の切れ間から日が差し、雪が輝きまぶしい。さわやかな気分で進む。ほんのちょっとで大きな急雪面に出会う。ここが尾根の取り付きで、雪面を登りつめるとキリン峠に続く尾根にでる。小休止の後、ジグザクに登行。振り返れば彼方に烏ヶ山の鋭峰が望まれる。北方に目をやれば甲ヶ山、矢筈ヶ山。昨年の山行が思い出され懐かしい。 しばらくの登行で肩にでる。ここにあがるといきなり豊かな純白の雪をまとった東壁がドンと飛び込んでくる。残念ながらうっすらとガスがかかり今ひとつクリアじゃない。前方にはこれまた白一色の槍尾根。標高差300mちょいなのにやけに高く見える。尾根を左に取り1405mのピークへ足を進める。 |
春の陽光を思わせる光を浴びながら雪面の登行 | 遠くに甲ヶ山、矢筈ヶ山を望む |
1405mピークを越えキリン峠?を経て正面の雪壁(槍尾根)に取付く | 振り返れば烏ヶ山の鋭鋒 |
1405mのピークを越え痩せたリッジを行くと槍尾根に続く雪壁とのコル。東壁側のキリン沢源頭にあたるのでここがキリン峠?このコル付近は眺めもいいし気分もいいので1本立てる。今からが本番、気合を入替えラッセル開始。旧雪と新雪のなじみが悪く、登りづらい。上部は傾斜が強くなってきたので、この辺りでは雪がダンゴになるが安全の為アイゼンを履く。ついでに登攀具もつける。 見上げれば尾根上部は大きな雪庇が東壁側に張り出している。槍ヶ峰の下辺りには巨大な雪庇もみえる。急斜面を登りきって尾根上に出れば、キリン峠を示す標柱がある。勿論、えびの尻尾で何も見えないが。あとは尾根を忠実に詰めるだけであるが、雪庇に要注意!尾根上は風が強いので、岩や細いブッシュに雪がつきえびの尻尾のなっている。その右側の尻尾のない白い部分は雪庇だと考えればいい。 |
登行ルートは、尾根上のえびの尻尾のある部分を忠実にたどることにした。視界が悪いので時間はかかるが万が一を考えアンザイレンする。60m一杯のばしフィックス、カラビナケーブルで通過する方法で、ジワリ、ジワリ高度を上げる。忠実にリッジをたどる。一部、痩せすぎのリッジもあり気を使う。やがて、小さなコブ。小ルンゼを登り頭へたつ。眼前にこの尾根の核心部、槍ヶ峰。夏道は手前のコルから水平に巻いて巻き終わったところから斜上しているが、今はびっしり雪がつき急な雪壁となっている。 |
手前のコルからトラバース開始する。かなり急だ。考えたらトラバースより登る方が危険度合いは少ない。10mほどトラバースし上りやすいところから斜上することにした。50mでピークから派生した支稜にでる。向うにコルが見える。あと15mくらいか。ここからは相当な傾斜である。ザイルが足りなくなりそうなので手持ちのシュリンゲ3本を継ぎ足す。トラバース開始。 悪い、見た目以上に悪い、とそのとき昔の正月の槍尾根登行を思い出した。・・・・あの時、Hは確かこの上のピークに立って写真とったなあ・・・・あの時は向うのコルから容易にピークに立てた・・・・・ということはやばいトラバースをしてコルに出るよりピークに立ってコルに下降したほうが容易なはずだ。方針決定!ちょっとかぶり気味ではあったがアイゼン引っ掛け5m程ののぼりでピークに出る。順次、後続をむかえ核心部終了。 |
槍ケ岳そっくりの槍ヶ峰。左の急な雪壁にザイルをのばす。 |
次は、槍ヶ峰の落書き(ケルンの岩に書いてある)のあるピーク。難なく達する。正面にガスの中にうっすら天狗ヶ峰が見える。もう少しだ。気を引き締めて最後登りきれば天狗。今日は天候が安定していた為か、稜線は縦走者に踏み散らされている。 14:20、天狗ヶ峰着。鳥越峠から4時間ほどかかった。仮にザイル出さなくともゆうに3時間はかかっただろう。今日は時間的に余裕をもって取り組んだので危なげない登行ができたと思う。 |
稜線は立派なトレースがあり、ザイル出す必要もない。剣ヶ峰を通過、例のナイフエッジもすんなり、次のコブの登下降も全く問題なし。時折ガスが切れ白い稜線が顔出すたび、アアッ!とかオオッ!とかいいながら15:25弥山に到着。今日は大して気温も下がらず、風も弱く恵まれた1日であった。しっかり自分の足と手?で歩いたので充実した気分だ。おしまいに全員でにこやかに記念撮影。 |
天狗ヶ峰〜剣ヶ峰〜弥山の痩せた稜線を行く |
縦走路の核心部?今日は難なく通過。夏だったらイヤですぞ、ここは! |
やったね!気分最高!弥山山頂 (背景は縦走路の筈だったんですが、あいにくのガス) |
縦走路。遠くに烏ヶ山、その手前が槍尾根 |
15:30下山開始。夏道を下る。シリセードを交えながら下ればあっという間に6合目避難小屋。アイゼンをとり、小屋の裏手から行者谷めがけてシリセード開始。殆ど歩くことなく谷筋に降り立つ。一投足で元谷の大堰堤。丁度たそがれ時、ガスも取れ稜線がくっきり、薄暮に輝いて見える。 |
雪がまつわりついた頂上小屋とポール | 西日を正面に受け夏道を下降 |
夕映えの大山 |
安全地帯に降り立ったら急に空腹をおぼえる。今日もいつものところに行くか!そうと決まれば早い方がいい。小走りで林道を駆け下り、大神山神社で、今日の無事故を感謝、16:40にはいつもの食堂でアサヒスーパードライで乾杯!していたのでありました。メインディッシュは勿論大山そば定食です。参加者の皆さん、11時間にわたる本日の山行、お疲れ様でした。(Y.Kubo記) |
★主要装備:ザイル60m×1、40m×1、スノーバー2本、、ピッケル、アイゼン、他冬山標準装備一式(厳冬期用ヤッケは持参せず) ★帰北:駐車場17:30出発。新千屋温泉で汗を流し、SAで夕食。小倉着が23:30でした。 ★参加者:原田、高木、橋本、赤澤、久保、以上5名 ◆今回の山行は、1月度入会された高木さんの歓迎山行をかねて実施したものです。 高木さんへ:大物の予感十分です。末永く、嵐とお付き合いください。 |