祖母奥岳渓谷:川上本谷遡行 2003.08.31 |
■前回(2000年8月)は、気持ちが『沢遊び』にありましたので、黒金尾根取り付き付近から川上渓谷に入渓、水のあるところ追いかけていったらスリウス谷に入り込んでいました。 今回は、できるだけ本谷を遡行するつもりで出かけましたが、最後の詰めのところで、『九州の沢と源流』に表現された本谷と違う支谷を詰めました。違うといっても最後の源流の所ですから沢登の内容にはたいした差はないと思います。 ■黒金尾根取付付近から7:20入渓。第7尾根(下図:『祖母傾最新情報』参照)経由で、第7展望台横の縦走路に出たのが12:55、遡行時間は、5時間半でした。 |
■参加者:新、高木、岡村S、橋本、赤澤、久保、以上6名は沢組。田村、川中、岡田、以上3名は祖母山周遊ハイク。計9名 |
概念図 『祖母傾最新情報』より 転載さてもらいました。 |
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概念図(ノットスケール) |
8/30、北九州は雨模様であったが、ヤフーのピンポイント予報・・・31日、緒方町は快晴・・・・を信じて19:00前後出発、22:30過ぎに尾平着。雨は北部九州方面だけのようで大分は道路が乾いていた。尾平の駐車場も雨漏りのする大テントでOK。寝酒して早目に就寝。 |
川上本谷は、標高約1200mの烏帽子本谷との二俣まで傾斜は緩く、そのためナメ滝が多い。花崗岩の岩床を滑るように流れる様は、周りの原生林とマッチして時間がゆっくり流れる原始の世界に迷い込んだような気持ちにさせる。飽きない程度に直登可能な斜滝や石積の滝が現れ水流をたどり遊ぶ我々に変化を与えてくれる。 |
白いナメと原生林の濃緑の調和が見事。日差しに白と緑のコントラストが映える! |
今日は快晴の為、谷はやけに明るい。東面にあるせいもあり、早くから緑濃い原生林を通し木漏れ日が射す。冷気漂う谷を歩いて、日のあたるスポットに入るとまるで早春のようである。勿論、爽快感あふれる登りも気温の朝の水流がある間だけで、伏流帯になるとジリッ、ジリッと汗がにじんできますが・・・ |
斜滝をシャワーを浴びながら直登して愉しむ! |
黒金谷(約780m)を右に、デケヤマ谷(約820m)とヤセオ谷(約880m)を左に見て進めば標高およそ980mで右に烏帽子小谷が15mの滝を落として出合う。更に進むと1080m付近で二俣。水流は左にありこれが前回入り込んだスリウス谷である。右の烏帽子本谷は伏流になっており水流はない。 |
烏帽子小谷が15m滝を落として出合う | スリウス谷分岐。マップで確認。 |
小休止の後、右の本谷を行く。水の枯れた大岩の多いゴーロをたどれば1200m付近で二俣。右は烏帽子本谷、左俣が川上本谷である。目標である左俣に入り見上げると斜度の強いルンゼにチョックストンをもつ滝や小滝が連続しているようだ。ここからはザイルの御世話になりそうな気配である。 |
チョックストンを持つ滝が連続 | 右から巻いて谷心へ懸垂下降 | 本谷最大の14mの滝 |
手始めの滝から登れそうにないので早速右から高巻く。15m程上がりトラバース気味に行き、立木を利用して15m程懸垂下降する。次は川上本谷最大の14mの滝。よく見ると中段まではいけそうだが、滝頭に出るところがちょいと被り気味である。確保支点は作れそうだがシャワー浴びながらの作業になりそう・・・まあ、今回は、といってもいつもその傾向が強いが、無理すまい。 少し下り右手の苔むした傾斜の強い壁に取り付く。4m程直上(V+〜W-)、ブッシュでビレイを取りさらに7-8m程木登りすれば小尾根に出る。尾根を登ると壁に沿ったバンドがあり楽に滝頭に出る。 |
14mの滝は、少し戻り右壁を直上、巻いて越える | 10mの滝。左から小さく巻く |
続いて10mの滝、落ち口がハング気味なのであっさり左から小さく巻きブッシュを伝って滝頭に出る。右手にラクダ岩方面行?のルンゼを分け左俣に入る。ここは右に行けば本来の川上本谷? 見掛けの派手さにひかれて左俣をとるが見上げるとなかなか厳しそう。V字状に壁が左右から迫る中のチョックストンを持つ滝を2つほど越えていくと、更にチョックストンの滝!左がいけそうだがホールドが乏しい。左壁の草付から巻き壁に沿ってトラバースするが、草付がずり落ちそうでシビア!勿論ザイルフィックスする。 |
左に入ると悪相のルンゼが待っていた | 一つ一つ丁寧に片付ける。バックには傾山が望める |
ここも行けそうにない。左小さく巻いて谷心へ | まだまだ続く!最後は右壁を越えて尾根に這い上がる |
相当な高度に達しているようで傾山が視界に入る。1500m越えると本谷の最後らしいチョックストン。背中を踏台にし乗り越すがその上部は傾斜の強い壁でいけそうにない。仕方ないので元に戻り右壁を巻いて岩尾根に這い上がる。視界がパッと開けて垂直に深くきれこんだ谷をはさんで屹立するラクダ岩がすぐ正面に飛び込んできた。どうやら第7尾根に上がったようである。岩鼻突端まで行き眺望を愉しむ。暑苦しいルンゼから抜け出し秋風を思わせる涼風に吹かれて一気に開放感が押し寄せ、今までの苦労が消飛ぶ。 |
第7尾根、第7展望台からの風景。展望台の周囲はばっさりきれ落ちており、まるで灯台に立っているかのようだ! |
小休止の後尾根を詰めれば数分ほどで縦走路に出た。時刻は、12:55である。休憩も頻繁に取ったし、ザイルも出したので結構時間を食ったようである。右に一投足で、『第7展望台』行の標柱。さきほどの尾根より一段高い岩鼻のため絶景だ。谷を苦労して詰め結果としてこの絶景にありつけるならこのルートも悪くない・・・・かな? |
下山は、黒金尾根にとる。各自それぞれのペースで下山、1.5時間〜2.5時間でした。 (Reported by Y.Kubo & Photo presented by Akazawa) |