尾鈴山系:ケヤキ(欅)谷遡行  2003.08.24

■本年初めて訪れた僅か1週間!の夏らしい夏、滑り込みセーフで夏山を楽しみました。
訪れたのは、前回雨のため中止を余儀なくされたケヤキ谷。

 『九州の沢と源流』は、沢好きなら間違いなく資料として参考にしていると思いますが、改訂版カバー写真は、ケヤキ谷の『白滝』、表紙をめくればカラー17葉、そのうち、およそ1/3の5葉はケヤキ谷です・・・・これにず〜っと誘われていましたから。


 08/24は、天候は晴れ、谷の水量は適量!・・・・ナメはナメらしく透明な水は白い岩肌をさらさらと流れ、直瀑は豪快さを失わない程度で、斜滝や小滝は、シャワーで直登できる程度の水量・・・今年実施した遡行のなかでは、今回がベストだったと思います。

■ケヤキ谷は、広くて明るく大きい。全行程で空が望める。だから開放感たっぷりの遡行が楽しめる。又、尾鈴は二次林が多いがケヤキ谷は両岸原生林に覆われており、終了点まで緑豊かだ。
 入渓から『紅葉の滝』までのプロローグが多少長い、が以降さぎりの滝、白滝を越え上部二俣までは滝が多く飽きることはない。

【写真右:たっぷり楽しんだ8名の参加者(さぎりの滝)

♪:天然記念物の美瀑、名瀑のケヤキ谷、
♪:シャワーの直登で滝登りの楽しさ実感させる小滝・斜滝のケヤキ谷、
♪:心和むナメ滝の多いケヤキ谷・・・・
♪:見て、眺めて、そして溯って愉し楽し!・・・・・今回行けなかった方、来シーズン案内しますゾ!


■前夜は、クエントウキャンプ場の駐車場に幕営する。夜は久しぶりの満天の星空であった。駐車場から50m程上流の橋のたもとから6:35入渓する。紅葉の滝までは巨岩が多くのっこしに結構手間を食う。途中、小滝がいくつかあるがヘツリや巻きで越える。谷自体が広いので行き方各自お好みでだが、『紅葉の滝』出現までのプロローグが多少長い!


大岩の多いプロローグ。泳ぎとボルダリング?長いが楽しめますヨ!

 少々大岩にあきかけた頃、豪快に水流を吐き出している『紅葉の滝』(30m)出現。退屈さがいっぺんに吹っ飛ぶ。今日は登るつもりはないが左岸から接近、中段まで登りルートを偵察。クラックはぬめって滑りそうだ。予定通り右のブッシュ帯を小さく巻くが、浮石が多く要注意!上流の釜を持つ小滝は右岸をヘツリそのまま広いスラブ斜上、草つきを伝う。

 続く斜滝を越えるとナメの対面にはるか見上げるような広大な岩壁から水を落す『すだれの滝』(100m)が出合う。スケールの大きさに感動!黙って見上げるだけだ。

左から越えさらにスラブを伝う
紅葉の滝。登攀ルートを偵察 左をへっつて行けば眼前に
すだれ滝が出現!

すだれの滝。中段の出っ張りから
白いすだれが懸かる
さぎりの滝

 ナメを越えていけば、大きな釜を持つ『さぎりの滝』(35m)。小ハングを何段も重ねた左壁が登攀する場合のルートとのこと。ルートを目で追うが正直言ってあまり意欲は湧かないなあ。ここは少し下れば右岸の壁に木の根っこが出ておりそれを強引に伝い登り右上すれば滝頭に出る。

温泉気分で最高のくつろぎ!

 上流はすばらしいナメが続く。河床に左右から迫る原生林を分つ流れは静かだが、軽やかなリズムだ。緩やかな流れは時間を緩やかにし、気持ちを和ませる。ひたひた流れる水流に抗して登ればゴーロの谷に変わるが、退屈はしない。やがて釜を持つ5mの直瀑、右が登れそうだ。釜の右を廻りこみ中段まで上がる。ホールド十分だが抜け口がどうか?念のためザイルを出し、シャワーを浴びて越える。


少しは緊張感持って!。シャワーで越える5m直瀑

 またナメが続く。やがて二俣。右を取っていけば登山道が横切る。ナメや小滝を超えていけば本谷のハイライト、『白滝』(100m)登場!

 すだれの滝ほどの傾斜はないが青空の彼方から轟々と白い帯をくねらせて流れ落ちる様は圧巻である。左岸を巻いて2段目のテラスに上がり、滝心をトラバースする。全身で白滝の流れを浴び気分は最高潮!


白滝まで退屈せず。釜、ナメ、斜滝がすばらしい!誰でも夢中になります。

本谷のハイライトはやはり白滝。第2テラスをトラバース
シャワーを全身に浴びる・・・気分は最高潮!
中段から上段を仰ぐ 上段は垂壁

第2テラスからは右岸の木登り、途中から滝よりの乾いた岩を右上すれば滝上部の直瀑部直下のテラス横に出る。さらにひと登りで滝頭に出た。見下ろすと谷底の滝見物人が小さい。滝頭で本日のメイン行事を終えた気分で休憩。

白滝から二俣の間も小滝やナメが続く

白滝上流は、小滝やナメが続き、いずれも直登する。次第に源流めいてくる。やがて二俣。ここは下山する登山道に近い左俣を行く。小滝があるがゴーロに変わり水流が細る。所々にある流倒木をくぐれば水は涸れる。間もなく目前に林道が現れる。ここで終了とする。時刻は11:12、遡行時間は4時間半強であった。


歩道展望台からの白滝 歩道からさぎりの滝 歩道からすだれの滝

林道で小休止。身なりを整え下山開始。林道を左に行けば数分で自然歩道に出る。後は駐車場まで駆け下るだけである。途中、歩道から白滝、さぎりの滝、すだれ滝が遠望できる。多数の登山者と挨拶を交わしながら下山、駐車場着が13:05で、林道からの下山時間は約1.5時間でした。
(Reported by Y.Kubo)


尾鈴山系:ケヤキ谷概念図
(手書きのフリーハンドですからノットスケールです)
★参加者:原田、新、高木、岡村S、橋本、赤澤、久保、緒方(九州さんらく会)、以上8名
★装備:ザイルは2回ほど使用。滝の登攀をしないのであれば30m×1あれば十分。