石鎚山南面:北沢遡行  2003.08.16

2003年夏山:四国編

■恒例の四国遠征。しかし今年は夏にならない夏山。雨!、アメ!、あめ!の毎日でウンザリ。訪れた石鎚山も天候不順!
 大した成果は得られませんでしたが、とりあえず一本登ってきました。


臨機応変、といえば聞こえはいいが・・・なかなか思い通りには行かない。

ちょっと寝坊したため、5:30面河国民宿舎第2駐車場出発。遊歩道沿いに、下熊淵、上熊淵をとおり石鎚登山口のすぐ先で橋を渡り面河本谷左岸にでる。立入禁止のロープをくぐり先に行けば数分で虎ヶ淵、崩れかけていた歩道はホントに崩れてなくなる。ここからは沢歩きになる。沢靴に履き替えようとしたが、みると水量が多く、右岸への渡渉も楽じゃなさそう。以降も番匠谷出合までは何回か渡渉がありそうな気配?目的の南沢出合まで時間かかかりそう、と予想される。一方、メンバー1名も体調万全じゃなさそう。

今日は、日帰りの予定で暗くなる前までには面河に下山したい、面河登山道経由下山でも、土小屋に出てバスで下山するにしてもおおよそ稜線14:00がリミット。今日の天気予報はあいにく午後から雨!思案、思案・・・・。その結果、予定の面河本谷〜南沢を、愛大小屋〜北沢に変更することにした。雨に会うのは仕方ないがこれならギリギリ18:00頃までに下山可能、と判断した。


面河渓谷:遊歩道をたどれば下熊淵、上熊淵、虎ヶ淵を堪能できる

 面河尾根取付の登山口に戻り、気持ちを切り替え6:30出発。愛大小屋までは、朽ちて落ちる寸前の木橋が何ヶ所かあるもののササはきり払われ歩きやすい。
 標高約1600mの愛大小屋に9:15到着。上空は既に雲に覆われてきたが今の所視界良好、正面に面河谷を挟んで石鎚山本体が上部に幕岩と呼ばれる岩壁をまとって面河尾根に対峙している。


面河尾根をトラバース気味に行く やる気満々! 愛大小屋前で英気を養う

 中沢の岩溝が稜線に向かって一直線でのびている。北沢を目で追う。中沢付け根から左上・・・岩場に突き当たる。右に行けば幕岩の間を縫って行けそう、だがルート間違うと立ち往生しかねないなあ。突き当たりから左を巻いて尾根に出れば笹薮+シラベの樹林帯でヤブ分けはいやだが稜線には確実に出られそう。いけるところまで行ってどうするかきめるか・・・一息入れて9:35面河谷の取り付きに向けて下降開始。およそ270m程の下降である。




 ■写真左:稜線左奥が弥山山頂(小屋が見える)でその直下が西壁。
写真中央の大きな岩壁が第二幕岩、その裾を巻くように稜線にのびているルンゼが中沢。
中沢の右の尾根が南尾根、その右の沢が南沢。中沢も南沢も上部はブッシュもなく開けて明るいのがわかる。
写真左端の岩のある尾根の右に沿って北沢は伸びている。厚い樹木に覆われ沢筋は見えない。

■写真右:写真中央の岩壁右から急傾斜で落ち込んでいるルンゼ状の沢が中沢。

藪はうるさくないので下りやすいところを下る。10:15本谷に降り立つ。取り付きよりだいぶ上流に出たので10分ほど谷を下れば北沢/中沢取り付きである。沢支度を整え10:45遡行開始。入り口はゴーロの谷、すぐ左から小沢が出合う。これが北沢である。正面は見覚えのある白い滝が見える。中沢である。

左の北沢に入る。初めは水量僅かな単なるゴーロ、滝とかありそうもない。がしばらく行くと小滝らしきものが出てきた。簡単に越える。又、しばらく行くとやっと源流を思わせる連漠帯だ。考えてみれば北沢は面河本谷の一支流だから源流めいて当たり前か。

北沢/中沢の取付 既に源流の様相。楽に登れる小滝が続く

 岩は順層なので楽勝、楽しく登れる。少しは沢らしくなってきた。トユ状の20mは念のためザイルを出す。上流も小滝が続く。やがて小さな二俣。左を行けば30mほどの滝。右を見ると、先ほどの右俣のを詰めたところにも同じくらいの滝がならんで見える。

20mトユ状の滝。ザイルを出す ここは楽しくノーザイルで!

 
 左が水量が多い。すでに対峙する面河尾根はガスに覆われてきた。見通しが効かなくなるのは時間の問題である。頭の中では愛大小屋からの眺めが残っていたので右手に行けば幕岩のすそを巻いていけるだろうとは思ったが、やがてガスが出、雨になるとどうなるかな?・・・思案・・・結局、いやな藪分けはあるが安全索、即ち左の滝下まで行き右岸の岩に沿って左に巻き、あとはササを分けて上がることにする。

 実は、予定していた南沢は下調べをし目途をつけていたが、北沢については全く下調べはしていない。。南沢の概念図に北沢も記載されているので概略はわかったが、本文は全く目をとおさずじまいだった。帰宅後調べたところ、『ならんで落ちる30mの滝はどちらもいけるが、右手の滝の左岸が簡単。滝を越えると第一幕岩の下にでる。その裾に沿って右に廻りこみ岩場の切れたところを登れば南尖峰に出る』とある。やはりそうだったか、・・・現場では何が起こるかわからない、転進あるべし、で可能性のある所調べておくべきだ、とあらためて思う。しかし資料に目を通していたとしても右に行ったかどうか?

【写真左】:30mの滝(左俣)

 30m滝の当辺り標高はおよそ1600m弱。稜線まで400m弱位である。12:30巻き開始。
巻き道は、ササは深いが丹念に行けば困難なところはない。ササ原は所々分けた跡がある。こちらを巻いた人もいるようである。

 淡々と進むのみであるが、ササを分けると、寝込みを襲われた?ブトが狂奔し頭を中心にまとわりつき、耳や目に入り込むのには参った。ササを漕ぎシラベ林を伝い行けばいつのまにかガスに包まれ視界不良。黙々、進む。体調不十分なメンバーを叱咤激励して進めば14:55岩壁の裾に出た。ガスの中にぼんやり岩壁が高くそして左右に広がっている。

 高度計は1850m近いので、西壁(弥山)直下のようだ。雨も近づいてきたようなので左へ岩壁に沿ってトラバースし登山道に出ることにする。途中、ビール缶、ブリキ板、袋、コンロの残骸、等々ごみが散乱している。小屋から投げられた物だろう。汚水もながれている!

 15:15登山道に出る。ヤレヤレようやく終了!とホット一息つく間もなく雨が降り出した。弥山山頂は次回にし、すぐ下山開始。二の森へ縦走路の分岐を右に見て面河への道を行く。これが長い!3時間はたっぷりかかる。

急いでも仕方ないのでガスと小雨にかすむシコクシラベの原生林を楽しみながらいく。原生林を抜けると面河本谷の源流部にあたるところで晴れていれば一面の笹原、ササを揺らして吹き渡る風が気持ちいいところだが・・・・やがて愛大小屋。大休止。

 ここからは整備された登山道で今朝通過したところ。すでに行動時間は10時間をすぎているので、休憩の判断は各自とし夫々のペースで下降する。

結局、登山口着は18:30〜19:30。最後はキャップランプつけての下降となりました。

 参加者のみなさん、12時間におよぶ山行御疲れ様でした。沢遊びの楽しい時間は僅かで、大半は歩きと藪分けになりましたが、山頂に至る易しいバリエーションルートを一本やった、ということで満足しましょう。
これに懲りずに時々実施する『四国ミニ遠征』にまた御参加ください。(Reported by Y.Kubo)


石鎚山:面河本谷概念図


■参加者:河野、田村、久保、以上3名
■テント持参しましたが、雨の為、又、駐車場でのトラブル防止のため車中泊としました。柴田さんの車借用しましたので快適でした。
 柴田さん、有難う御座いました。
■夜中に到着してテント張るなら石鎚スカイライン入口ゲート左横の無料大駐車場がいい。
■買出し:近くにコンビニ等はない。33号線まで出て松山方面へしばらく行けば右手にコンビニ有り。コンビニ近くの酒屋にビールの自動販売機もある。